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風営法違反の一覧|罰則が出るものと行政処分で効くもの

風営法違反の罰則と行政処分の違いを解説する記事のアイキャッチ

罰金が無いと書いてあったから、そこまで重い話ではないと思っていた。

風営法はここが読みにくく、痛いほうが見えづらい作りになっています。

罰則がまったく無い違反ほど、営業停止や許可取消しという形で店に効きます。

営業時間の制限も、料金表示も、2025年の改正で新しく入った色恋営業の規制も、条文をたどると罰金刑がありません。

そのかわり行政処分で効きます。

そして店にとって痛いのは、多くの場合こちらのほうです。

この記事では、店主が知らずに踏みやすい違反を条文ごとに並べ、どれがいくらの罰金でどれが行政処分なのかを整理します。

読み終えたら、自分の店の運用のうち、営業停止につながりうるものがどれかを洗い出せます。

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目次

風営法違反は刑事罰と行政処分の2系統に分かれる

最初に全体の作りを押さえます。

風営法の罰則は49条から56条までにまとまっています。

ここに名前が出てこない義務は、違反しても罰金にはなりません。

罰則は8つの条文で段階が分かれている

条文上限
49条5年以下の拘禁刑/1,000万円以下の罰金(併科あり)
50条2年以下の拘禁刑/200万円以下の罰金
51条1項1年以下の拘禁刑/100万円以下の罰金
52条1年以下の拘禁刑/100万円以下の罰金
53条6月以下の拘禁刑/100万円以下の罰金
54条100万円以下の罰金
55条50万円以下の罰金
56条30万円以下の罰金

拘禁刑があるのは53条までで、54条から下は罰金だけです。

法人が罰せられるのは57条

57条1項が両罰規定で、従業者が業務に関して違反したときに法人も罰せられます。

ここで49条だけが3億円以下の罰金と別格の扱いになっています。

50条・51条1項・53条から56条までは「各本条の罰金刑」なので、法人への金額も本条と同じです。

風営法違反で最も重いのは無許可営業

49条は5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金で、併科もできます。

2025年の改正で、拘禁刑が2年以下から5年以下に、罰金が200万円以下から1,000万円以下に引き上げられました。

古い解説を読むときは金額の桁に注意してください。

49条に並ぶ4つはどれも同じ重さ

店に関係するのは1号から4号です。

  • 1号:3条1項の許可を受けないで風俗営業を営んだとき
  • 2号:偽りその他不正の手段で許可または承継の承認を受けたとき
  • 3号:11条違反(名義貸し)
  • 4号:26条などの公安委員会の処分に違反したとき

名義貸しが無許可営業と同じ条文に置かれている点に注意してください。

4号は、営業停止を命じられている間に営業した場合です。

詳しくは風営法の名義貸しと風営法の許可4種類で整理しています。

接待に当たると気づかず営業している場合も1号

無許可営業は、届出だけで営業している店が接待に当たる行為をしていた場合にも成立します。

客と一緒に歌う、客の近くにはべって継続して談笑する、口許まで飲食物を差し出す。

いずれも解釈運用基準が接待に当たる例として挙げているものです。

線引きは風営法の接待にあたる行為で6類型ごとに整理しています。

風営法違反のうち刑事罰があるもの

ここからは店主が知らずに踏みやすいものを、罰則の重い順に並べます。

いずれも条文を開いて中身を確認したものです。

該当する記事があるものはリンクを付けています。

51条1項:無承認の改装と18歳未満

号違反の中身
1号9条1項の承認を受けずに営業所の構造・設備を変更した
2号偽りその他不正の手段で変更の承認を受けた
4号22条1項3号(18歳未満に接待をさせる)、4号〜6号(22時〜翌6時に18歳未満を客に接する業務に従事させる/18歳未満を客として立ち入らせる/20歳未満に酒類・たばこを提供する)

4号の22条1項4号から6号は、32条3項により飲食店営業を営む者一般にも準用されます。

届出だけの店でも同じということです(風営法の18歳未満の制限)。

1号は、パーテーション1枚の追加でも承認の対象になりえます(風営法の変更承認)。

53条:客引きと、2025年新設の威迫

53条1号が22条1項1号・2号、つまり客引きと、客引きのために人の身辺に立ちふさがる・つきまとう行為です。

これも32条3項で飲食店営業一般に準用されます。

53条2号が22条の2で、2025年の改正で新設された条文です。

1号が「注文や支払をさせる目的で客を威迫して困惑させること」、2号が「売春など違法な方法で金銭を得ることを客に要求すること」です。

かかるのは2条1項1号の営業、つまり接待をする店だけです。

54条:名簿・本人確認・立入拒否で100万円以下

号違反の中身
3号36条違反。従業者名簿を備えない、必要な記載をしない、虚偽の記載をした
4号36条の2第1項違反。接客従業者の生年月日・国籍等を確認しなかった
5号36条の2第2項違反。確認の記録を作らない、虚偽の記録、保存しなかった
6号37条1項の報告・資料提出をしない、虚偽の報告・資料を出した
7号37条2項の立入りを拒み、妨げ、忌避した

従業者名簿の義務は、許可も届出もない深夜の飲食店にもかかります(風営法の従業者名簿)。

立入りの範囲と断れる場面は風営法の立入検査にまとめています。

55条・56条:管理者・届出・許可証の掲示

55条(50万円以下)で店に関係するのは次の3つです。

  • 1号:許可申請書または添付書類に虚偽の記載をして提出した
  • 5号:24条1項違反。管理者を選任しなかった
  • 6号:33条1項違反。深夜酒類提供飲食店営業の届出をしないで営業した

56条(30万円以下)は、6条の許可証の掲示義務違反、7条5項の許可証の書換えを受けない、9条3項・33条2項の変更の届出をしない、10条1項の許可証の返納をしない、といったものです。

金額は小さいのですが、立入検査で真っ先に見られる部分でもあります。

誰が管理者になれるかは風俗営業の管理者、届出の手続きは深夜酒類提供飲食店営業の届出で扱っています。

28条13項のスカウトバックの禁止は性風俗店が対象で、接待飲食等営業には職業安定法のほうがかかります。切り分けはスカウトバックは違法かにまとめています。

風営法違反でも罰則が置かれていない義務がある

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

49条から56条までを全部読むと、出てこない条文があります。

いずれも店の日常に直結する義務です。

罰則条文に出てこない7つ

条文義務の中身
13条営業時間の制限(0時〜6時の営業禁止など)
15条騒音及び振動の規制
16条広告及び宣伝の規制
17条料金の表示
18条年少者の立入禁止の表示
18条の2接客従業者に対する拘束的行為の禁止(高額債務・旅券等の保管)
18条の3料金の虚偽説明、恋愛感情につけ込む行為、注文前の提供の禁止

従業者名簿の不備が54条3号で100万円以下の罰金になるのと比べると、扱いの差がはっきりします。

営業時間については風営法の営業時間、料金表示については風営法の料金表示で詳しく扱っています。

2025年改正の新設2条文は扱いが分かれた

2025年の改正では18条の3と22条の2が新設されました。

どちらも悪質な接客飲食店への対策ですが、罰則の扱いが分かれています。

  • 18条の3(虚偽説明・色恋・注文前提供):罰則条文に出てこない。行政処分で効く
  • 22条の2(威迫・売春等の要求):53条2号で6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

報道では一括りに語られがちですが、条文をたどると別の扱いです。

18条の3の1号が「第十七条に規定する料金について」と名指ししているので、17条の料金表示の範囲がそのまま虚偽説明の禁止の対象になります。

風営法違反の行政処分は店にとってより重い

罰則が無いから軽い、とはなりません。

行政処分は店を開けられるかどうかに直接効きます。

しかも刑事罰と行政処分は両方かかりえます。

25条の指示と26条の営業停止

25条は、法令またはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合の指示です。

26条1項は、著しく風俗環境を害するおそれがあるときや、処分・許可条件に違反したときの、許可の取消しまたは6月を超えない範囲での営業停止です。

25条が「法令」と書いているので、風営法以外の違反も対象になります。

26条2項で飲食店営業まで止められる

26条2項が実務では重く効きます。

公安委員会は、前項の規定により風俗営業……の許可を取り消し、又は風俗営業の停止を命ずるときは、当該風俗営業を営む者に対し、当該施設を用いて営む飲食店営業について、六月(前項の規定により風俗営業の停止を命ずるときは、その停止の期間)を超えない範囲内で期間を定めて営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

風営法26条2項

風営法の許可を失っても保健所の飲食店営業許可は残りますが、その飲食店営業まで止められます。

「風俗営業をやめて普通のバーとして続ける」という逃げ道は、条文で塞がれています。

取消しから5年は許可が取れない

4条1項6号が、26条1項で許可を取り消された者は取消しの日から5年間許可を受けられないと定めています。

法人の場合は、聴聞の期日・場所が公示された日の前60日以内に役員だった者にも及びます。

さらに8号で、立入りが行われたあとに自分から許可証を返納しても5年の欠格になります。

処分の前に廃業して逃れる形が塞がれているということです。

聴聞は公開で行われる

26条の処分をするときは、41条1項により必ず聴聞が行われます。

通知は期日の1週間前までで、期日と場所は公示されます(41条2項)。

そして41条4項により、聴聞の期日における審理は公開で行われます。

まとめ|風営法違反で外さない点

最後に要点を並べます。

  • 罰則は49条〜56条の8段階。拘禁刑があるのは53条まで、54条以下は罰金のみ
  • 最も重いのは49条(5年以下・1,000万円以下)。無許可営業・不正取得・名義貸し・処分違反が同じ重さ。法人は57条1項1号で3億円以下
  • 18歳未満と客引きは届出だけの店にもかかる。32条3項が22条1項を飲食店営業一般に準用している
  • 13条・15条・16条・17条・18条・18条の2・18条の3には罰則が無い。行政処分で効く
  • 2025年新設の2条文は扱いが違う。18条の3は行政処分、22条の2は53条2号で刑事罰
  • 26条2項で飲食店営業まで止まる。風俗営業をやめて続ける形は塞がれている
  • 取消しから5年は許可が取れない。立入り後の自主返納も5年の欠格(4条1項8号)

罰金の額だけを見て軽重を判断すると、実際に効く順番を見誤ります。

店で起きやすいトラブルを法令別に分けたものはスナック経営のトラブルにまとめています。

罰則の無い16条がどう効くかは風営法の広告規制で整理しました。

違反態様ごとの件数はガールズバーの摘発で警察庁の公表値を並べました。

気づかないうちに無許可営業になる経路はバーと風営法にまとめました。

この記事は条文をもとにした一般的な整理です。

個別の行為が違反に当たるかどうかは事情によって結論が変わるため、所轄の警察署(生活安全課)や風営法に詳しい専門家に確認してください。

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