店を人に任せているけれど、許可の名義は自分のままにしてある。
引き継ぎや共同経営のときに、いちばん起きやすい形です。
風営法の名義貸しは、無許可営業とまったく同じ重さで罰せられます。
5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金で、併科もあります。
条文自体は一文しかありませんが、その一文が「自己の名義をもつて、他人に風俗営業を営ませてはならない」と広く書かれています。
店を人に任せた、共同経営にした、引き継いだ。
この記事では、どこからが名義貸しになるのか、罰則の重さ、そして正しい引き継ぎ方を条文で整理します。
読み終えたら、いまの店の任せ方が名義貸しに当たるかどうかを確かめられます。
紙とExcelの給与計算を、LINEだけで終わらせる
シメルンは、スナック・ガールズバー・小さなバーのための給与計算サービスです。スタッフが出勤と退勤の時刻をLINEから入れて、オーナーが確認して確定すると、月末に支給額が出ます。日をまたぐ勤務と深夜割増の計算は、こちらで持ちます。
- アプリのインストールは不要。LINEの中で完結します
- 他のスタッフの時給や支給額は見えません
- オーナーを含めて2人まで、ずっと無料で使えます
はじめてご利用の店舗は、次の締めが終わるまで無料です。カードの登録は要りません。
先に中身を見たい方は シメルンの紹介ページ へ
風営法の名義貸しは一文で禁止されている
まず条文を見ます。
法11条は、これだけです。
第三条第一項の許可を受けた者は、自己の名義をもつて、他人に風俗営業を営ませてはならない。
風営法 第11条
「営ませる」かどうかで見る
条文が問題にしているのは、誰が営業を営んでいるかです。
許可を受けた人の名義のまま、実質的に別の人が営業を回していれば名義貸しになります。
契約書の形や、報酬をどう呼んでいるかは決め手になりません。
売上と損失が誰に帰属しているか、仕入れや人の採用を誰が決めているか、といった実態で判断されます。
許可は人と店に紐づいている
そもそも風俗営業の許可は、営業所ごとに、その人に対して出るものです(法3条1項)。
許可の際には、破産や一定の前科などの欠格事由に当たらないかが審査されます(法4条1項)。
名義だけ借りて別の人が営業すると、この審査が意味をなさなくなります。
審査を通っていない人が実質の営業者になってしまうからです。
欠格事由の中身は風俗営業の管理者で条文ごとに開いています。
名義貸しの罰則は無許可営業と同じ
罰則の位置を確認すると、この規定の重さが分かります。
法11条違反は、法49条3号に置かれています。
49条は、無許可営業と同じ条文です。
5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
風営法 第49条
一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだとき。
……
三 第十一条の規定に違反したとき。
1号が無許可営業、3号が名義貸しです。
同じ条文に並んでいるので、法定刑はまったく同じになります。
この金額は2025年の改正で引き上げられたもので、改正前は2年以下・200万円以下でした。
法人には3億円以下の罰金
法人で店を持っている場合は、両罰規定がさらに重く効きます。
法57条1項1号は、49条の違反行為について法人に3億円以下の罰金刑を科すとしています。
| 違反 | 行為者 | 法人 |
|---|---|---|
| 無許可営業(3条1項) | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金 | 3億円以下 |
| 名義貸し(11条) | 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金 | 3億円以下 |
| 無承認の構造変更(9条1項) | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 各本条の罰金刑 |
| 管理者の選任(24条1項) | 50万円以下の罰金 | 各本条の罰金刑 |
風営法の中で最も重い部類にある規定だ、と理解してください。
許可の取消しと5年の欠格もついてくる
刑事罰とは別に、行政処分もあります。
法26条1項により、許可の取消しか6月を超えない範囲の営業停止が命じられえます。
そして許可を取り消されると、法4条1項6号により、取消しの日から5年を経過するまで新たに許可を受けられません。
同じ期間、管理者にもなれません(法24条2項2号)。
名義貸しになりやすい3つの場面
悪意なく踏んでしまう場面があります。
どれも「許可を取り直すのが面倒」という動機から始まります。
条文に照らすと、いずれも他人に営ませている状態です。
店を人に任せて自分は退く
よくあるのが、体調や家庭の事情で現場を離れるときです。
許可は自分の名義のまま、実際の経営は任せた人がやる形にすると、法11条の状態になります。
雇われ店長として給与を払い、売上と損失が自分に帰属しているなら、営んでいるのは自分です。
その線をどこで引くかが、実務上の分かれ目になります。
店舗を引き継ぐ・居抜きで入る
前の経営者の許可をそのまま使うことはできません。
許可は人に対して出ているので、営業する人が変われば取り直しが必要です。
「許可付き物件」として紹介された場合でも、自分の名義で許可を受け直す必要があります。
内装をそのまま使えることと、許可を引き継げることは別の話です。
共同経営にする
途中から出資者を入れて共同経営に切り替える場合も注意が要ります。
実質的な経営の主体が移っていれば、名義だけが残っている状態になります。
法人化して法人名義に変える場合も、個人の許可を法人へ引き継ぐことはできず、新たに許可を受けることになります。
名義貸しを避ける進め方
避け方は単純で、営業する人の名義で許可を取ることです。
そのうえで、切り替えの時期を設計します。
許可には審査期間があるので、引き継ぎ日から逆算する必要があります。
雇うのか、任せるのかを先に決める
実務では、次のどちらなのかをはっきりさせるのが先です。
- 雇う|売上と損失は自分に帰属し、相手には給与を払う。営んでいるのは自分なので許可はそのまま
- 任せる(営業主体が移る)|相手が営業者になるので、相手の名義で許可を受け直す
雇う形にするなら、雇用契約と給与の実態をそろえておく必要があります。
契約の形と実態がずれたときに何が起きるかはキャバクラの業務委託は可能かで裁判例と合わせて扱っています。
管理者の選任とは別の話
混同されやすいのですが、管理者を置くことは名義貸しではありません。
法24条1項は、営業所ごとに管理者を1人選任することを義務づけています。
従業員を管理者にしても、営業者が自分である限り問題ありません。
管理者に誰を選べるかは風俗営業の管理者にまとめました。
まとめ|風営法の名義貸しで外さない点
この記事の要点をまとめます。
- 条文は一文。自己の名義で他人に風俗営業を営ませてはならない(法11条)
- 罰則は無許可営業と同じ条文。5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、併科あり(法49条3号)
- 法人には3億円以下(法57条1項1号)。2025年の改正で引き上げられた
- 許可取消し+5年の欠格もついてくる(法26条1項・4条1項6号・24条2項2号)
- 許可は引き継げない。居抜きでも法人化でも、営業する人の名義で取り直す
- 判断は実態。売上と損失の帰属、仕入れや採用を誰が決めているかで見られる
- 管理者を置くことは名義貸しではない。営業者が自分なら従業員を管理者にしてよい
引き継ぎの相談が出たら、まず「営業者が変わるのか」を確かめてください。
開業時の手続き全体はスナック開業の手順にまとめています。
許可を承継できるのは相続・合併・分割の3つだけです(風営法の許可4種類)。
相続で引き継ぐ場合の手続きは風営法の許可の相続で扱っています。
この記事は条文をもとにした一般的な整理です。
個別の形態が名義貸しに当たるかは実態で判断されるため、所轄の警察署(生活安全課)や風営法に詳しい行政書士・弁護士に確認してください。
紙とExcelの給与計算を、LINEだけで終わらせる
シメルンは、スナック・ガールズバー・小さなバーのための給与計算サービスです。スタッフが出勤と退勤の時刻をLINEから入れて、オーナーが確認して確定すると、月末に支給額が出ます。日をまたぐ勤務と深夜割増の計算は、こちらで持ちます。
- アプリのインストールは不要。LINEの中で完結します
- 他のスタッフの時給や支給額は見えません
- オーナーを含めて2人まで、ずっと無料で使えます
はじめてご利用の店舗は、次の締めが終わるまで無料です。カードの登録は要りません。
先に中身を見たい方は シメルンの紹介ページ へ
この記事で参照した一次情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(3条1項・4条1項6号・11条・24条・26条1項・49条・51条・55条・57条1項1号)
- 警察庁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(概要)

コメント