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風営法の許可4種類|必要な手続きを業態別に判定

風営法の許可4種類の見分け方を解説する記事のアイキャッチ

「風営法の許可」を取ればいいと言われたものの、調べると種類がいくつも出てくる。

業態の名前で探していると、ここで必ず止まります。

風営法まわりの手続きは1つではなく、許可が2種類・届出が1種類・別の法律の許可が1種類の計4つに分かれています。

どれが必要かは、業態の名前ではなく、店で何をするか(接待するか、遊興させるか)と、客席をどう作るか(照度と広さ)で決まります。

スナックでもバーでも、同じ看板のまま必要な手続きが変わります。

この記事では4つの手続きの切り分けから、許可が下りない要件、申請書に書くこと、手数料、無許可のときの罰則までを条文で整理します。

読み終えたら、自分の店がどの手続きをすればいいかを、業態ではなく中身から判定できます。

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目次

風営法の許可は4種類に分かれている

まず全体の地図から確認します。

夜の店が関係する手続きは4つあり、根拠になる条文も窓口も別です。

このうち3つが風営法、1つは食品衛生法です。

手続き根拠区分窓口
風俗営業の許可風営法3条1項許可公安委員会(所轄警察署)
特定遊興飲食店営業の許可風営法31条の22許可公安委員会(所轄警察署)
深夜酒類提供飲食店営業風営法33条1項届出公安委員会(所轄警察署)
飲食店営業の許可食品衛生法55条1項許可保健所

4つのうち、どの店でも必ず要るのは保健所の飲食店営業許可だけです。

残り3つは、店でやることによって「どれか1つ」または「どれも要らない」に分かれます。

3条1項の風俗営業許可は5つの種別に分かれる

風営法3条1項は、種別ごとに営業所ごとに許可を受けることを求めています。

風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

風営法3条1項

種別は2条1項の1号から5号までです。

  • 1号:キャバレー、待合、料理店、カフェーその他、設備を設けて客の接待をして遊興または飲食をさせる営業
  • 2号:喫茶店、バーその他、客に飲食をさせる営業で、営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの
  • 3号:喫茶店、バーその他、客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難でかつ広さ5平方メートル以下の客席を設けて営むもの
  • 4号:まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他、射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
  • 5号:スロットマシン、テレビゲーム機などの遊技設備を備える店舗で客に遊技をさせる営業

スナック・キャバクラ・ガールズバー・ホストクラブが関係するのは1号から3号です。

この1号から3号をまとめて「接待飲食等営業」と呼びます(2条4項)。

特定遊興飲食店営業は深夜の遊興のための許可

2条11項の特定遊興飲食店営業は、客に遊興をさせ、かつ酒類を提供する営業のうち、深夜の時間帯にかかるものです。

この法律において「特定遊興飲食店営業」とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。

風営法2条11項

条文の「午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの」という書き方が読みにくいのですが、要するに0時をまたいで遊興させる店を指しています。

接待をしないクラブやライブバーで、深夜も踊らせたり歌わせたりする店がここに入ります。

末尾の括弧書きで「風俗営業に該当するものを除く」とあるので、接待をしているなら1号の許可であって、この許可ではありません。

33条1項は許可ではなく届出

深夜酒類提供飲食店営業は、審査を経る許可ではなく、営業開始前の届出です。

接待をせず、遊興もさせず、深夜に酒を出す店がここに当たります。

普通のバーやスナックの多くはこの区分です。

届出なので人的な欠格要件の審査はありませんが、営業所の構造・設備は基準に適合させる義務があります(32条1項)。

手続きの中身は深夜酒類提供飲食店営業の届出、設備の基準は深夜酒類提供の構造基準にまとめています。

飲食店営業許可は風営法ではない

保健所で取る飲食店営業許可は食品衛生法55条1項のもので、風営法の条文ではありません。

ただし風営法の側もこれを前提にしていて、2条13項4号は飲食店営業を「食品衛生法第五十五条第一項の許可を受けて営むもの」と定義しています。

順番としては保健所の許可が先で、風営法の許可・届出はその後です。

許可を取らないバーであれば、そろえる資格は2つで足ります。要否の判定はバー開業に必要な資格にまとめました。

風営法の許可が要るかは行為と設備で決まる

ここが実務でいちばん取り違えられる場所です。

2条1項1号から3号の条文には、業態の名前ではなく行為と設備が書かれています。

「バー」を名乗っていても、この3つのどれかに当たれば許可が必要です。

風営法で必要な手続きを行為と設備から判定する図。接待をすれば1号営業、照度10ルクス以下なら2号営業、見通し困難かつ5平方メートル以下の客席があれば3号営業の許可、0時をまたいで遊興させ酒を出すなら特定遊興飲食店営業の許可、0時以降に酒を出すだけなら深夜酒類提供飲食店営業の届出
業態の名前ではなく、店でやることと客席の作りで分かれます。

接待をするなら1号

接待の定義は2条3項で「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」とされています。

この一文だけでは判断できないため、警察庁の解釈運用基準が6つの類型で当たる例と当たらない例を対にして示しています。

たとえば客の近くにはべって継続して談笑すれば接待、水割りを作って速やかに立ち去れば接待ではありません。

判断の分かれ目は風営法の接待にあたる行為で6類型ごとに整理しています。

照度10ルクス以下なら2号

2号の条文には「喫茶店、バーその他」と業態が名指しで書かれています。

接客が一切なくても、営業所内の照度を10ルクス以下にして営めば風俗営業です。

雰囲気を出すために照明を落とした結果、意図せずここに入る店があります。

なお深夜酒類提供飲食店営業の側の基準は施行規則99条5号と101条で20ルクスなので、10ルクス超20ルクス以下は深夜に営業する区分を選べない帯になります(風営法の照度)。

見通し困難で5平方メートル以下の客席なら3号

3号は「他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席」を設けた場合です。

条文が「かつ」でつないでいるので、見通せない個室でも5平方メートルを超えていれば3号には当たりません。

逆に、狭いボックスをパーテーションで仕切っていくと、内装の都合だけで風俗営業になります。

風営法の許可が下りない人と場所

4条は拒否事由を2つの項に分けて書いています。

1項が申請者そのものについて、2項が営業所について定めています。

どちらか一方でも当たると許可されません。

4条1項は人についての13号

1項は1号から13号まであります。

破産して復権を得ていない者、1年以上の拘禁刑を受けた者、アルコールや薬物の中毒者、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者などです。

見落とされやすいのは2号トで、労働基準法違反の罰金でも5年間は許可が下りません。

対象は労基法117条(強制労働)、118条1項のうち6条(中間搾取)と56条(最低年齢)、119条1号のうち61条(年少者の深夜業)と62条(危険有害業務)です。

18歳未満を22時以降に働かせて罰金を受けると、そこから5年、風俗営業の許可が取れなくなります。

4条2項2号は条例で定める地域

場所の制限は条文に具体的な地名も距離も書かれていません。

営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。

風営法4条2項2号

政令の基準に従って都道府県の条例が地域を定める、という二段構えです。

学校や病院からの距離も、用途地域の区分も、条例で決まります。

都道府県ごとに違うので、物件を決める前に所在地の条例を確認してください。

制限される用途地域と保全対象施設からの距離は風営法と用途地域で、東京都を例に条文のまま確認しています。

4条2項3号は管理者を置けるかどうか

3号は「営業所に第二十四条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由があるとき」です。

設備でも人柄でもなく、管理者を置ける体制があるかが許可の要件になっています。

管理者は営業所ごとに専任で1人必要で、2店舗の兼任は原則できません。

誰がなれるかは風俗営業の管理者で条文ごとに整理しています。

災害で店が滅失したときは4条3項の救済がある

あまり知られていませんが、4条3項に例外が置かれています。

火災や震災など自分の責めに帰することができない事由で営業所が滅失して廃業した人は、禁止地域であっても許可を受けられる場合があります。

条件は4つで、廃止から5年以内、滅失前または滅失後にその地域に含まれたこと、おおむね同一の場所、おおむね等しい面積、のすべてを満たすことです。

風営法の許可申請でそろえるもの

申請書の記載事項は5条1項が6つ挙げています。

添付書類は内閣府令に委ねられているので、所轄の警察署で最新の一覧を確認してください。

ここでは条文に書かれている6項目だけを確実に押さえます。

5条1項の6項目

  1. 氏名または名称および住所、法人はその代表者の氏名
  2. 営業所の名称および所在地
  3. 風俗営業の種別
  4. 営業所の構造および設備の概要
  5. 24条1項の管理者の氏名および住所
  6. 法人はその役員の氏名および住所

5番目に注目してください。

申請書に管理者の氏名と住所を書くので、申請する時点で管理者が決まっている必要があります。

許可が下りてから探すのでは順番が逆になります。

許可証は営業所に掲示する

許可が下りると許可証が交付されます(5条2項)。

6条は許可証を営業所内の見やすい場所に掲示する義務を定めています。

紛失したときは速やかに届け出て再交付を受けます(5条4項)。

内装を変えるときは事前に承認がいる

許可を取ったあとも、営業所の構造または設備を変更するときはあらかじめ承認が必要です(9条1項)。

軽微な変更は除かれますが、その範囲は内閣府令が除外リスト方式で定めていて、仕切り設備の変更は軽微に入りません。

何が承認の対象になるかは風営法の変更承認で整理しています。

風営法の許可は売れないが相続・合併・分割は承継できる

許可は申請者に対して与えられるものなので、売買や譲渡で引き継ぐことはできません。

居抜きで店を買っても、個人から法人に変えても、原則として取り直しです。

ただし条文には3つだけ承継の仕組みが用意されています。

事由条文申請の時期
相続7条1項死亡後60日以内
法人の合併7条の2第1項あらかじめ
法人の分割7条の3第1項あらかじめ

相続だけが事後、合併と分割は事前です。

相続については7条2項が、承認または不承認の通知を受ける日まで被相続人への許可を相続人へのものとみなすと定めているので、申請さえしていればその間も店を閉めずに済みます。

いずれの承認にも4条1項が準用されるので、承継する側が欠格事由に当たれば承認されません。

他人の許可でそのまま営業する形は名義貸しになり、無許可営業と同じ条文で処罰されます(風営法の名義貸し)。

風営法の許可の手数料は政令で決まっている

手数料は「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」が標準額を定めています。

実際の額は各都道府県の条例で決まるため、ここでは政令の標準額を挙げます。

調べていて分かったことがひとつあります。

よく見る24,000円は特定遊興飲食店営業の額

「風俗営業の許可申請は24,000円」と書かれていることがありますが、政令の別表に3条1項の許可申請手数料は載っていません。

24,000円は31条の22の特定遊興飲食店営業の許可申請に対する審査の額です。

同じ特定遊興でも、3か月以内の期間を限って営む場合の申請は14,000円と別に定められています。

風俗営業の許可申請の額は所在地の条例で確認してください。

政令に額があるのは承認・書換え・講習

事務標準額
営業所の構造・設備の変更の承認(9条1項)9,900円
相続に係る承認(7条1項)9,000円
法人の合併に係る承認(7条の2第1項)12,000円
法人の分割に係る承認(7条の3第1項)12,000円
特例風俗営業者の認定(10条の2第1項)13,000円
許可証の書換え(9条4項)1,500円
許可証の再交付(5条4項)1,200円
管理者講習(24条6項)1時間につき650円

管理者講習は4〜6時間なので、定期講習の実費はおおむね2,600〜3,900円になります。

許可の実費のほかに、店を作る費用と開けてからの運転資金が要ります。全体の組み方はバーの開業資金で整理しました。

風営法の許可を取らずに営業したときの罰則

無許可営業は風営法のなかで最も重い罰則が置かれています。

2025年の改正で大きく引き上げられました。

金額の桁が変わっているので、古い解説を読むときは注意してください。

49条1号は5年以下・1,000万円以下

次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだとき。

風営法49条

同じ49条の2号は「偽りその他不正の手段により許可を受けたとき」で、3号が名義貸しです。

取り方を偽った場合も、他人に名義を貸した場合も、無許可営業と同じ重さで扱われます。

法人には3億円以下の罰金が科される

57条1項1号が両罰規定を置いています。

従業者が業務に関して49条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人に3億円以下の罰金が科されます。

他の条文の違反(50条・51条1項・53条以下)は「各本条の罰金刑」なので、49条だけが別格の扱いです。

許可を取り消されると飲食店営業まで止まる

刑事罰とは別に、26条1項で許可の取消しまたは6月を超えない範囲の営業停止があります。

ここで効いてくるのが26条2項です。

公安委員会は風俗営業の許可を取り消すとき、同じ施設で営む飲食店営業についても6月を超えない範囲で停止を命じることができます。

風営法の許可を失っても保健所の許可は残るので普通のバーとして続けられる、とはなりません。

なお営業停止や取消しの聴聞は、41条4項により公開で行われます。

まとめ|風営法の許可で外さない点

最後に要点を並べます。

  • 手続きは4つ。風俗営業許可(3条1項)・特定遊興飲食店営業許可(31条の22)・深夜酒類提供の届出(33条1項)・飲食店営業許可(食品衛生法55条1項)
  • 判定は業態名でなく行為と設備。接待で1号、照度10ルクス以下で2号、見通し困難5平方メートル以下の客席で3号
  • 拒否事由は人と場所の2本立て。4条1項が申請者、4条2項が営業所。労基法違反の罰金でも5年間は取れない
  • 管理者は申請時点で必要。5条1項5号が氏名と住所を記載事項にしている
  • 24,000円は特定遊興の額。3条1項の許可申請手数料は政令の別表にない
  • 承継できるのは相続・合併・分割の3つだけ。相続は死亡後60日以内、他は事前
  • 無許可は5年以下・1,000万円以下、法人は3億円以下。取消し時は飲食店営業も止められる

物件を決める前に、条例の地域制限と管理者の当てを確認しておくと後戻りが減ります。

開業の手順全体はスナック開業の手順とバー開業の手順にまとめています。

許可を取ると助成金の扱いも変わります。詳しくは風俗営業と助成金で扱っています。

2号・3号の許可が実務でほぼ使われていない点はスナックとバーの違いで扱っています。

飲食店にゲーム機を置いた場合の5号の扱いはバーと風営法で扱っています。

この記事は条文をもとにした一般的な整理です。

どの区分に当たるか、地域制限にかかるかは個別の事情で結論が変わるため、所轄の警察署(生活安全課)や風営法に詳しい行政書士に確認してください。

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