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風営法の接待とは|スナックで許可が要る行為の線引きと罰則

風営法の接待とは。スナックで許可が要る行為の線引きと罰則を解説する記事のアイキャッチ

隣に座って話を聞くのは接待になるのか、カウンター越しならいいのか。

この線が引けないまま営業していると、手続きも閉店時刻も決められません。

風営法の「接待」に当たるかどうかで、必要な手続きも、閉店できる時刻も変わります。

接待をするなら風俗営業の許可が要り、その代わり原則として深夜0時で営業を終えなければなりません。

深夜も営業したいなら届出で足りますが、その場合は接待が一切できません。

そして2025年の法改正で、無許可営業の罰則が2年以下・200万円以下から5年以下・1,000万円以下に引き上げられました。

この記事では、警察庁が示している接待の判断基準を6つの類型ごとに見たうえで、手続きの分かれ方と罰則を整理します。

読み終えたら、自分の店の接客が接待に当たるかを、類型ごとに突き合わせて判断できます。

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目次

風営法の接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」

まず条文を確認します。

接待の定義は、風営法2条3項にあります。

この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条3項

条文はこの一文しかない

法律が書いているのは、この一文だけです。

「歓楽的雰囲気」と言われても、自分の店のカラオケが当たるのかは判断できません。

実務で使われているのは、警察庁が全国の警察に示している解釈運用基準のほうです。

現行の基準は令和8年7月1日付の通達

ここは確認しておく価値があります。

解釈運用基準は改定されていて、現在有効なのは令和8年7月1日付の警察庁丙保発第3号ほかによるものです。

……「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」(令和7年10月20日付け警察庁丙保発第14号ほか。以下「旧通達」という。)により示達しているところ、昨今の風俗環境の状況に鑑み、同基準を新たに別添のとおり定めたので…… なお、旧通達は、廃止する。

警察庁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(令和8年7月1日)

解説記事を読むときは、どの版を引いているかを確かめてください。

この記事は令和8年7月1日付の現行通達から引用しています。

判断の軸は「相手を特定して」「通常伴う役務を超えて」

通達は、定義の意味をこう言い換えています。

営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して4の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。

警察庁 解釈運用基準(令和8年7月1日)第2の2

判断の軸は2つです。

特定の客に向けているか、そして飲食に通常伴う範囲を超えているか。

なお通達は、接待をする人について「女給、仲居、接待婦等その名称のいかんを問うものではない」とし、異性によるものに限られないことも明記しています。

ママ本人がやれば接待ではない、という理屈は通りません。

風営法の接待に当たるかは6つの類型で判断する

通達は、接待の判断基準を6つに分けています。

どれも「当たる行為」と「当たらない行為」が対で書かれているのが特徴です。

自分の店の営業がどちら側にあるかを、1つずつ当てはめて確かめてください。

談笑・お酌|「はべる」と「速やかに立ち去る」で分かれる

最も問題になるのがここです。

特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たる。
これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は、接待に当たらない。

警察庁 解釈運用基準(令和8年7月1日)第2の4(1)

効いている言葉は「はべり」と「継続して」です。

水割りを作ること自体も、社交儀礼上の挨拶も、若干の世間話も、それだけなら接待ではありません。

カウンターの内側から注文に応じて出すだけの営業が接待に当たらないのは、この部分が根拠です。

逆に、特定の客の隣に座って話し相手を続ければ、酒を注いでいなくても接待になります。

歌唱|スナックのカラオケが最も線の上にある

カラオケを置いている店は、ここをいちばん丁寧に読んでください。

特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為又は客と一緒に歌う行為は、接待に当たる。
これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、若しくは不特定の客の歌に対し拍手をし、若しくは褒めはやす行為、不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為又は歌の伴奏のため楽器を演奏する行為等は、接待には当たらない。

警察庁 解釈運用基準(令和8年7月1日)第2の4(3)

デュエットは、はっきり接待に当たると書かれています。

手拍子や拍手も、特定の客の近くでやれば接待です。

分かれ目は「客の近くに位置しているか」と「特定か不特定か」で、カウンター越しに店全体へ拍手を送るのとは扱いが違います。

ショー・ダンス・遊戯

残りの3つは、まとめて押さえておけば足ります。

類型接待に当たる当たらない
ショー等特定少数の客に、その客の用に供している客室や区画された場所で見せる・聴かせるホテルのディナーショーのように不特定多数へ同時に見せる
ダンス特定の客と身体を接触しながら踊らせる。接触しなくても近くで継続して一緒に踊る十分な能力を有する者が技能・知識の修得を目的に教授する
遊戯等特定少数の客と共に遊戯・ゲーム・競技等を行う客一人で、または客同士で行わせる

ダーツやゲームを置いている店は、遊戯等の行に注意してください。

客同士でやらせるぶんには問題になりませんが、従業者が混ざって一緒に遊べば接待です。

身体接触と、口許まで差し出す行為

6つめは「その他」としてまとめられています。

客と身体を密着させたり、手を握ったりするなど客の身体に接触する行為は、接待に当たる。ただし、社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触等は、接待に当たらない。
また、客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。これに対して、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、コート等を預かる行為等は、接待に当たらない。

警察庁 解釈運用基準(令和8年7月1日)第2の4(6)

握手とコートを預かることは、接待には入りません。

同じ基準は、コンセプトカフェのような新しい業態にもそのまま当てはまります。

席について話す、客と一緒にゲームをするといった行為の扱いはコンカフェに風営法の許可は要るかで当てはめました。

接待をする店は、接客従業者の生年月日・国籍・在留資格を書類で確認する義務も負います(法36条の2)。

確認の方法と、あわせて備える名簿については風営法の従業者名簿にまとめました。

酔った客を介抱するための接触も、必要な限度であれば除かれています。

風営法の接待をするかどうかで必要な手続きが変わる

接待に当たるかどうかが、そのまま手続きの分岐になります。

ここを取り違えると、無許可営業になります。

どちらの道を選ぶかは、店の営業スタイルそのものを決める判断です。

接待をするなら公安委員会の許可(法3条1項)

接待をして飲食させる営業は、風営法2条1項1号の風俗営業に当たります。

一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業

風営法 第2条1項1号

この営業をするには、営業所ごとに都道府県公安委員会の許可が必要です(法3条1項)。

届出ではなく許可なので、営業所の構造や設備、場所の要件を満たさなければ下りません。

接待をしないなら深夜酒類提供飲食店営業の届出

接待をせず、深夜にも酒を出して営業するなら、届出のほうです。

法33条1項が、営業所ごとに公安委員会へ届出書を提出することを求めています。

提出する期限や添付書類、出し忘れたときの扱いは深夜酒類提供飲食店営業の届出にまとめました。

なお、深夜(午前0時以降)に営業しないのであれば、この届出自体が不要です。

接待をしていなくても許可が要る2つの場合

見落とされやすいのですが、接待をしていなくても風俗営業になる類型があります。

根拠内容
法2条1項2号客に飲食をさせる営業で、営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの
法2条1項3号他から見通すことが困難で、広さが5平方メートル以下の客席を設けて営むもの

雰囲気を出そうとして照明を落としすぎると、接待をしていなくても2号営業になります。

小さな個室やボックスを仕切って作る場合も、3号に当たらないか確かめてください。

風営法の接待をすると深夜0時で閉めることになる

ここが実務でいちばん重い制約です。

許可を取れば何でもできるようになるわけではなく、むしろ営業時間が縛られます。

根拠は法13条1項です。

法13条1項が午前0時から午前6時までの営業を禁じている

風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。ただし、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、次の各号に掲げる日の区分に応じそれぞれ当該各号に定める地域内に限り、午前零時以後において当該条例で定める時までその営業を営むことができる。

風営法 第13条1項

ただし書があるとおり、条例で定めた地域では午前0時以降も営業できます。

どの地域が該当し、何時までかは都道府県ごとに違うので、所轄の警察署で確かめてください。

延長地域で午前0時以降に営業する場合は、周辺への迷惑防止措置と苦情処理の帳簿が別に義務づけられます(法13条3項・4項)。

「深夜まで営業」と「接待」は原則として両立しない

2つを並べると、店が選べる形が見えてきます。

接待をする(1号営業)接待をしない(深夜酒類提供)
手続き公安委員会の許可(法3条1項)公安委員会への届出(法33条1項)
営業時間原則、午前0時まで(条例地域は延長可)深夜も営業できる
隣に座って話すできるできない
客とデュエットできるできない

「深夜も開けたいし、隣で話し相手にもなりたい」は、原則として両立しません。

届出だけで深夜営業をしている店が、つい隣に座って一緒に歌ってしまう。

これが摘発される典型で、形の上では無許可の風俗営業になります。

風営法の深夜と労基法の深夜は1時間ずれている

紛らわしいので、ここも押さえてください。

風営法13条1項の深夜は午前0時から午前6時までです。

一方、深夜手当を払う根拠になる労働基準法37条4項の深夜は、午後10時から翌午前5時までです。

終わりの時刻が1時間ずれているので、給与計算の時間帯は深夜手当は何時から何時までかのほうで確認してください。

風営法の接待を誤ったときの罰則は2025年に強化された

ここは数字が大きく変わったところです。

悪質なホストクラブの問題を背景に法改正が行われ、令和7年11月28日までに全面施行されました。

古い解説記事は改正前の数字のままになっていることがあるので、注意してください。

無許可営業は5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金

法49条1号が、許可を受けずに風俗営業を営んだ場合を定めています。

次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだとき。

風営法 第49条

「若しくは」ではなく「併科する」と書かれているので、拘禁刑と罰金の両方が科されることもあります。

法人には3億円以下の罰金(法57条1号)

法人で店を経営している場合は、さらに重い規定があります。

従業者が違反すれば、行為者を罰したうえで法人にも罰金が科される両罰規定です。

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を……科する。
一 第四十九条 三億円以下の罰金刑

風営法 第57条1項

警察庁が公表した改正の概要では、変更幅がこう整理されています。

対象改正前改正後
無許可営業(拘禁刑)2年以下5年以下
無許可営業(罰金)200万円以下1,000万円以下
両罰規定による法人の罰金200万円以下3億円以下

法人の罰金は150倍になっています。

「うちは小さい店だから」で済む金額ではなくなった、というのが今回の改正の要点です。

2025年の改正で接待飲食営業に遵守事項が加わった

罰則の強化と同時に、守るべきことも増えました。

新しく入った規定は、接待をする1号営業にだけかかります。

接待をしない店には適用されないので、ここでも接待の線引きが効いてきます。

法18条の3|料金の虚偽説明・恋愛感情・注文前の提供

新設された18条の3は、客の正常な判断を著しく阻害する行為を3つ挙げています。

  • 料金の虚偽説明|17条の料金について事実に相違する説明をし、または客を誤認させるような説明をすること
  • 恋愛感情につけ込む行為|客と接客従業者が互いに好意を抱いていると客が誤信しているのを知りながら、関係が破綻する、従業者が業務上の不利益を受けるなどと告げて困惑させ、飲食等をさせること
  • 注文前の提供|客が注文の意思表示をする前に飲食等を提供して困惑させ、それによって飲食等をさせること

3つめは、注文を取らずにボトルやフードを出す運用が該当しうる規定です。

料金表示そのものは17条で以前から義務づけられているので、あわせて見直してください。

表示の対象は「名義のいかんを問わず」なので、チャージや指名料、サービス料も入ります。

何をどこに出すかは風営法の料金表示で条文ごとに整理しました。

法22条の2|威迫と、売春等の要求

22条の2は、罰則つきの禁止行為です。

注文や料金の支払いをさせる目的で客を威迫して困惑させること、そして料金の支払いのために売春や性風俗店での稼働などを要求することが禁じられています。

要求される行為として、売春防止法違反、性風俗店での就業、性行為映像制作物への出演、外国での売春が条文に列挙されています。

売掛金を回収する場面で踏み込みやすい領域なので、回収の方法も含めて見直す必要があります。

18条の3は2条1項1号の営業にだけかかるので、集客の手法にも許可の有無で線が入ります。切り分けはバーの集客で先に見る数字にまとめました。

まとめ|風営法の接待で外さない点

この記事の要点をまとめます。

  • 条文は一文だけ。判断の中身は警察庁の解釈運用基準にあり、現行は令和8年7月1日付(令和7年10月20日付は廃止)
  • 軸は2つ。特定の客に向けているか、飲食に通常伴う範囲を超えているか
  • カウンター越しは接待でない。水割りを作って速やかに立ち去る、若干の世間話までは含まれない
  • デュエットは接待。近くで手拍子や褒めはやす行為も当たる
  • 接待をすると原則0時まで。深夜営業と接待は原則として両立しない
  • 接待をしなくても許可が要る場合がある。照度10ルクス以下、または見通し困難で5平方メートル以下の客席
  • 無許可は5年・1,000万円、法人は3億円。2025年の改正で引き上げられた

迷ったときは、自分の店の営業を「誰に」「どのくらいの時間」「どこから」やっているかで書き出すと判断しやすくなります。

開業の手順全体はスナック開業の手順に、キャストとの契約をどう組むかはキャバクラの業務委託は可能かにまとめています。

接待に当たると1号の許可が必要になりますが、許可そのものは4種類に分かれています(風営法の許可4種類)。

接待をしなくても照度で許可が要る場合があります(風営法の照度)。

18条の3の趣旨は広告の判断にも及びます。詳しくは風営法の広告規制で扱っています。

接待の有無は雇用関係助成金の可否にも効きます(風俗営業と助成金)。

接待をやめた場合の営業時間はガールズバーの営業時間で扱っています。

この記事は条文と警察庁の通達をもとにした一般的な整理です。

接待に当たるかどうかは個々の営業の実態で判断され、条例の内容も都道府県で異なるため、開業前や営業形態を変える前に所轄の警察署(生活安全課)や行政書士に確認してください。

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