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スナックとバーの違い|法律にない区分と、許可で分かれる線

スナックとバーの違いが許可と届出で分かれることを示すアイキャッチ

自分の店はスナックなのかバーなのか、届出の書類を前にして手が止まる。

呼び名で分けようとすると、いつまでも決まりません。

「スナック」と「バー」を分ける条文は、どの法律にもありません。

風営法の条文に「バー」は2回出てきますが、「スナック」は1回も出てきません。

法律が見ているのは看板の名前ではなく、接待をするか、照度を落とすか、見通せない客席を作るか、深夜に酒を出すかの4点です。

この記事では、その4点で実際にどう分かれるのかを、条文と全国の実数で整理します。

読み終えたら、自分の店がどの手続きをする店なのかを、看板ではなく中身から決められます。

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目次

スナックとバーの違いは条文に書かれていない

開業の相談でまず出るのが「うちはスナックかバーか」という問いです。

ところが手続きの上では、この分け方は使われていません。

条文を開くと、業態の名前はまったく別の使われ方をしています。

風営法に「バー」は2回、「スナック」は0回

2条1項の号を並べると、名指しの仕方が分かります。

  • 1号:キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
  • 2号:喫茶店、バーその他……営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの
  • 3号:喫茶店、バーその他……他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの

接待をする1号に「バー」はありません。

「バー」が出てくるのは2号と3号で、どちらも照度と客席の広さが条件になっています。

条文が「バー」を挙げているのは、バーだから風俗営業だという意味ではありません。

普通の飲食店でも、照明を落としたり見通せない小さな個室を作れば許可の対象になる、という向きの規定です。

食品衛生法の許可はどちらも同じ「飲食店営業」

入口の許可も共通です。

解釈運用基準は「飲食店営業」を「設備を設けて客に飲食をさせる営業で食品衛生法第55条第1項の許可を受けて営むもの」と定義しています。

スナックでもバーでも、保健所に出す許可は同じ飲食店営業です。

屋台等で単に立食をさせる営業は含まれませんが、卓や椅子を設ければ含まれるとも書かれています。

開業に要る3つの手続きはスナック開業の手順にまとめています。

スナックとバーを実務で分けるのは接待の有無

では現場では何で分かれているのか。

接待をするかどうかの1点です。

ママやキャストが客の隣に付く形なら1号、カウンター越しに酒を出すだけなら届出、という分かれ方になります。

接待をする接待をしない
手続き3条1項の許可(2条1項1号)33条1項の届出
営業時間午前0時〜午前6時は営業できない条文に終了時刻の定めなし
18歳未満接待をさせることが全面禁止22時〜翌6時の接客と立入りが禁止
料金表示17条の義務あり17条はかからない
無許可・無届出5年以下の拘禁刑又は1,000万円以下50万円以下の罰金
風営法で必要な手続きを行為と設備から判定する図。接待をすれば1号営業、照度10ルクス以下なら2号営業、見通し困難かつ5平方メートル以下の客席があれば3号営業の許可、0時以降に酒を出すだけなら深夜酒類提供飲食店営業の届出
スナックかバーかではなく、この5つのどれに当たるかで手続きが決まります。

接待の線引きは6類型で決まっている

接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」です(2条3項)。

解釈運用基準は、談笑・お酌、歌唱、ショー、ダンス、遊戯、身体接触の6つの類型で、当たる行為と当たらない行為を対で示しています。

水割りを作って速やかに立ち去るのは接待に当たらず、客の近くにはべって継続して談笑するのは接待に当たります。

行為別の対応は風営法の接待とはで扱っています。

照度と客席で取るルートは全国で20件しかない

条文上は、接待をしなくても2号と3号で許可の対象になります。

ただ、実数を見るとこの2つはほとんど使われていません。

種別令和7年末の許可数令和7年の行政処分
1号(キャバレー等)59,675件2,480件
2号(低照度飲食店)19件0件
3号(区画席飲食店)1件0件

接待飲食等営業59,695件のうち、99.97%が1号です。

2号と3号への行政処分は、令和3年から令和7年まで5年連続で0件でした。

つまり実務上の分岐は「1号の許可を取るか、33条の届出で済ませるか」の2択とみてほぼ差し支えありません。

4種類の許可の全体像は風営法の許可4種類で判定できます。

深夜に酒を出すならスナックもバーも届出が要る

接待をしない側を選んでも、深夜に酒を出すなら手続きは残ります。

そしてこの届出の要否を決める条文に、「バー」がもう一度出てきます。

ここが3回目の名指しです。

「バー、酒場」が条文に書かれている

2条13項4号が「酒類提供飲食店営業」を定義しています。

飲食店営業……のうち、バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業(営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除く。以下「酒類提供飲食店営業」という。)で、午前六時から午後十時までの時間においてのみ営むもの以外のもの

風営法2条13項4号(抜粋)

これに当たる営業を深夜に営むなら、33条1項の届出が要ります。

解釈運用基準は「酒類を提供して営む」の酒類をアルコール分1度以上の飲料とし、提供する量の多寡を問わないとしています。

手続きの流れと期限は深夜酒類提供飲食店営業の届出にまとめています。

分かれ目は主食を出しているかどうか

括弧書きの除外が、居酒屋やダイニングとの境目になります。

「通常主食と認められる食事」について、解釈運用基準は具体的な品目まで挙げています。

「通常主食と認められる食事」とは、社会通念上主食と認められる食事をいい、米飯類、パン類(菓子パン類を除く。)、めん類、ピザパイ、お好み焼き等がこれに当たる。

解釈運用基準 第11の7(2)ウ

菓子パンは外れます。

乾き物とフルーツ盛りが中心のスナックやバーは、当然この除外に当たりません。

「最後に茶漬を出す」は通らない

「シメにおにぎりを出せば届出が要らないのでは」という話が現場で出ます。

同じ基準が、「営業の常態として」の解釈でこれを正面から否定しています。

  • 時間帯:営業時間中客に常に主食を提供していることを要する。平日のみ、昼間のみ提供する店は当たらない
  • 割合:客が飲食している時間のうち大部分の時間は主食を提供していることを要する
  • 逐語:大半の時間は酒を飲ませているが、最後に茶漬を提供するような場合はこれに当たらない

警察庁が「最後に茶漬」という例を名指しで否定しています。

メニューに主食を足すだけでは、届出の要否は動きません。

スナックとバーの違いは人件費にも出る

接待をするかどうかは、営業できる時間を決めます。

営業できる時間は、深夜割増を何時間分払うかを決めます。

ここが開業前に見落とされやすいところです。

深夜割増が乗るのは22時から5時まで

労基法37条4項が、午後10時から午前5時までの労働に25%以上の割増を求めています。

許可を取った店は午前0時で閉めるので、この7時間のうち使うのは2時間です。

届出の店が深夜まで開ければ、6時間でも7時間でも乗ります。

時給1,200円のスタッフ5人、月22日で比べます。

接待あり(18時〜24時)接待なし(20時〜翌4時)
深夜帯の労働2時間6時間
1人1日の深夜割増600円1,800円
5人・月22日66,000円198,000円
年間792,000円2,376,000円

差は年158万円です。

どちらの形で開けるかは、初年度の人件費をこの幅で動かします。

払っていないと3年分さかのぼる

深夜割増は請求されれば過去の分も払うことになります。

賃金請求権の時効は労基法115条で5年ですが、附則143条3項で当分の間3年とされています。

上の届出の店の例だと、3年で712万円が未払いの母数になります。

労基法114条の付加金が同額まで乗りうることも押さえておくところです。

計算の手順は給与計算のやり方にまとめています。

スナックでもバーでも同じにかかる義務

最後に、看板の違いで変わらないものを並べます。

ここを「うちはバーだから関係ない」と考えると、行政処分の多数派に入ります。

3つあります。

従業者名簿は届出の店にも義務がある

法36条は、風俗営業者に加えて33条6項の酒類提供飲食店営業を営む者も名宛人にしています。

末尾では、酒類を出さない深夜の飲食店営業まで対象に入れています。

違反は54条3号で100万円以下の罰金です。

令和7年の行政処分3,693件のうち、名簿の備付義務違反が890件で最多でした。

項目は従業者名簿テンプレートで1枚にまとめています。

18歳未満の除外はどちらにも当たらない

法32条3項が22条1項(3号を除く)を飲食店営業に準用し、午後10時から翌午前6時までの接客と立入りを禁じています。

施行規則102条に除外がありますが、1号は主食を提供する店、2号は酒類を提供しない店です。

スナックもバーも、どちらの号にも入りません。

解釈運用基準は2号について、茶菓類以外の飲食物を出す店でも午後10時以後に酒類を提供すれば除外から外れると注意しています。

消費税の簡易課税はどちらも第4種

税務でも区分は同じです。

飲食店業はみなし仕入率60%の第4種事業に当たります。

スナックだから、バーだからで率は変わりません。

適用の条件は飲食店の簡易課税で扱っています。

まとめ:スナックとバーの違いで外さない点

  • 区分は無い:風営法に「スナック」は出てこない。「バー」は2条1項2号・3号と2条13項4号の3か所
  • 分岐は接待:接待をすれば1号の許可、しなければ33条の届出
  • 2号・3号は使われていない:全国で19件と1件。行政処分は5年連続0件
  • 届出の判定:バー・酒場その他酒類を提供して営む営業。酒はアルコール分1度以上で量を問わない
  • 主食の除外:米飯類・パン類(菓子パン類を除く)・めん類・ピザパイ・お好み焼き等を常に提供する店だけ
  • 茶漬は不可:大半の時間は酒を飲ませて最後に茶漬を出す形は除外に当たらない
  • 共通の義務:従業者名簿、22時以降の18歳未満、簡易課税の第4種

どちらの名前で開くかより、接待をするかどうかを先に決めるほうが実務は進みます。

そこが決まれば、営業時間も、18歳未満の扱いも、深夜割増の負担も自動的に決まります。

接待をしない形を選んだときの時間の線はガールズバーの営業時間で整理しました。

営業中に区分が変わる場面はバーと風営法で5つに分けました。

公庫の統計も同じ業態を許可の有無で割っています(バーの原価率は20%)。

公庫の統計も同じ業態を許可の有無で分けています(バー経営が難しい理由)。

この記事は条文と警察庁の公表資料をもとにした一般的な整理です。

接待に当たるかどうかは店の実態で結論が変わるため、具体的な判断は所轄の警察署に確認してください。

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