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バーの原価率は20%|それでも利益が出ない理由を統計で見る

バーの原価率が20%でも利益が残らない構造を示すアイキャッチ

酒は原価が低いはずなのに、月末に手元がほとんど残らない。

バーをやっていると、この感覚と帳簿のズレがずっと引っかかります。

日本政策金融公庫の統計では、バー・キャバレー・ナイトクラブの原価率は20.0%で、飲食業のなかで最も低い数字です。

一般飲食店の35.0%と比べると、半分強しかありません。

ところが同じ統計で、売上高営業利益率はマイナス0.7%です。

この記事では、原価で浮いたはずの分がどこへ消えているのかを、業種別の実数で追います。

読み終えたら、自店の試算表のどの行を先に見ればいいかが決まります。

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目次

バーの原価率は一般飲食店の半分

使うのは日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」です。

飲食店・宿泊業の業種別経営指標に、バーとスナックが別建てで載っています。

原価率は、売上高総利益率を100から引いた数字です。

業種調査対象数原価率営業利益率
一般飲食店46435.0%-2.2%
酒場、ビヤホール21232.2%-1.8%
遊興飲食店29629.0%-1.5%
バー、キャバレー、ナイトクラブ8020.0%-0.7%
スナック717.5%+3.0%
飲食業の業種別の原価率と営業利益率を棒グラフで比べた図。一般飲食店35.0%、酒場・ビヤホール32.2%、遊興飲食店29.0%、バー・キャバレー・ナイトクラブ20.0%、スナック17.5%で、原価率がいちばん低いバーの営業利益率はマイナス0.7%
原価率がいちばん低い業種が、いちばん儲かっているわけではありません。

酒は原価が低いので当然こうなる

料理を出す店ほど原価率が上がり、酒に寄るほど下がります。

一般飲食店35.0%、酒場・ビヤホール32.2%、バー20.0%という並びがそのまま食事の比重を表しています。

チャージやセット料金には原価がほぼ無いので、そこも原価率を押し下げます。

つまりバーの原価率が低いのは、経営がうまいからではありません。

平均値と黒字企業平均は別に出ている

この調査は、全体の平均値と「黒字かつ自己資本プラス企業」の平均を分けて載せています。

バーの場合、原価率は平均20.0%に対し、黒字企業平均は20.4%です。

ほとんど差がありません。

黒字の店と赤字の店を分けているのは、原価率ではないということです。

原価が低いのは開けたあとの話で、開けるまでにいくら要るかは別の調査で見ます。開業費用の実額はバーの開業資金にまとめました。

統計はバーを風営法の許可で分けている

この調査には、業態の分け方そのものに面白い点があります。

「バー、キャバレー、ナイトクラブ」が2回出てきて、注記で分けられています。

片方が「風営適正化法に定める許可を得ているもの」、もう片方が「得ていないもの」です。

区分注記調査対象数
バー、キャバレー、ナイトクラブ(合計)—80
同上風営適正化法に定める許可を得ているもの73
スナック風営適正化法に定める許可を得ていないもの7

統計上の「スナック」は許可を持たない店のこと

73と7を足すと80になります。

つまりこの調査は、同じ業態を風営法の許可の有無だけで2つに割り、許可のないほうを「スナック」と呼んでいます。

看板の名前でも、料理の内容でも、客層でもありません。

法律に業態の区分が無く、実務の分岐が許可か届出かだけである、という構造がそのまま統計の分類になっています。

その構造はスナックとバーの違いで条文から整理しました。

スナックの数字は7件なので一般化できない

ここは注意が要ります。

スナックの原価率17.5%、営業利益率プラス3.0%という数字は、調査対象がわずか7件です。

黒字かつ自己資本プラスの企業に絞ると4件しかありません。

「スナックの原価率は15%前後」と断言している記事を見かけますが、母数を確かめてから使ってください。

自分の店の数字と比べるなら、調査対象80件のバーの側を見るほうが安全です。

原価率が低いのに営業利益が残らない

本題はここからです。

原価率がいちばん低いバーが、いちばん儲かっているわけではありません。

売上に対する費用の比率を並べると、どこへ消えているかが見えます。

業種原価率人件費諸経費損益分岐点比率
一般飲食店35.0%32.9%30.7%104.5%
酒場、ビヤホール32.2%32.2%32.9%103.8%
バー、キャバレー、ナイトクラブ20.0%30.7%39.2%101.7%
スナック(7件)17.5%34.7%36.5%94.5%

バーだけ諸経費が39.2%で突出している

一般飲食店の30.7%に対して、バーは39.2%です。

8.5ポイントの差があり、原価率で浮いた15ポイントの半分以上をここで返しています。

家賃、内装の償却、酒の在庫、カラオケやおしぼりのリース、深夜の光熱費。

どれも売上が減っても勝手には下がらない費用です。

損益分岐点比率101.7%の意味

損益分岐点比率は、損益分岐点売上高が実際の売上高の何%かを示す数字です。

100%を超えていれば、いまの売上では分岐点に届いていません。

バーの平均は101.7%なので、足りないのは1.7%分です。

月商200万円の店なら月34,000円にあたります。

黒字かつ自己資本プラス企業の平均は95.3%なので、届いている店とそうでない店の差は6.4ポイントです。

原価を下げても利益が残らないなら、次に疑うのは客数と人の配置です。どちらから見るかはバーの集客で先に見る数字で整理しました。

バーは原価率より人件費のほうが動かしにくい

月34,000円なら届きそうに見えます。

ところが費用側から詰めようとすると、どれも動かしにくい構造になっています。

3つを順に見ます。

原価を下げても効き幅が小さい

月商200万円で原価率20.0%なら、原価は40万円です。

ここを5%安く仕入れても2万円しか浮きません。

分母が小さいので、率を削っても金額が動かないということです。

しかも銘柄を落とすと、単価そのものが下がる方向に効きます。

人件費は法律の側から下限が決まっている

人件費対売上高比率はバー30.7%、スナック34.7%です。

原価より大きいうえに、下げようとすると最低賃金と深夜割増が壁になります。

22時から翌5時の労働には25%以上の割増が乗るので、夜の店の時間単価は制度上かさ上げされています。

バックや歩合で払っていても、最低賃金の判定からは逃れられません。

その計算は歩合給と最低賃金にまとめています。

動かせるのは営業時間の設計

原価も家賃も法定の割増率も、店の側では決められません。

残るのは、何時から何時まで、誰を入れるかです。

深夜帯に何時間かかるかで、同じ人件費でも割増部分が変わります。

営業形態別の試算はガールズバーの営業時間で出しました。

人件費にオーナーの報酬が入るかどうかは、個人か法人かで変わります。器による違いはバー経営の年収で整理しました。

ボトルキープはバーの原価率を押し上げる

最後に、統計の20.0%と自分の店の数字がずれる理由を1つ挙げます。

ボトルキープの比重です。

同じ酒でも、出し方で原価率が変わります。

ショットで出すボトルキープ
仕入原価2,000円2,000円
売上(700ml・30ml換算)18,400円(800円×23杯)8,000円
原価率10.9%25.0%

キープ比率が高い店ほど統計から外れる

ボトル中心の店は、原価率が統計の20.0%より上に出ます。

それ自体は失敗ではありません。

1杯あたりの粗利を下げる代わりに、来店回数を買っているからです。

そのぶんをセット料金とチャージで取り返す設計になっているかを見ます。

値付けの組み立てはボトルキープの値段の決め方で扱っています。

飲み残しを利益に数えない

期限切れのボトルが残ると、そのぶん原価率は下がります。

ただし預かっている酒の所有権は客にあるので、勝手に処分できる前提で計算するのは危険です。

扱いはボトルキープの期限と紛失で条文から整理しました。

まとめ:バーの原価率で外さない点

  • 水準:バー、キャバレー、ナイトクラブは20.0%。一般飲食店35.0%の半分強
  • 理由:酒中心でチャージに原価が無いから。経営がうまいからではない
  • 分類:統計は同じ業態を風営法の許可の有無で割り、許可のないほうを「スナック」と呼んでいる
  • 母数:スナックは調査対象7件(黒字企業は4件)。一般化しない
  • 消えている先:バーは諸経費が39.2%で突出。一般飲食店より8.5ポイント高い
  • 分岐点:損益分岐点比率101.7%。月商200万円なら月34,000円足りない
  • 優先順位:原価は分母が小さく効き幅が小さい。人件費は最低賃金と深夜割増で下がらない
  • ボトルキープ:原価率25%で統計より高く出る。来店回数を買っている構造

原価率だけを見ていると、いちばん動く費用を見落とします。

倒産統計まで含めた収支の全体像はバー経営が難しい理由で分解しました。

この記事は日本政策金融公庫の公表資料をもとにした一般的な整理です。

業種別の数字は調査対象数が少ないものを含むため、自店の判断は顧問税理士と実際の試算表で行ってください。

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  • アプリのインストールは不要。LINEの中で完結します
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