ボトルをいくらで置くか、近くの店に合わせてなんとなく決めている。
そのままにしておくと、出るほど粗利が減っていることに気づけません。
ボトルキープの値段は、1杯あたりに割り戻してから決めます。
ボトルで出すと、ショットで出すより1杯の単価は必ず下がります。
その下がった分で、次の来店を買っているのがボトルキープという仕組みです。
そして決めた金額は、接待をする店なら風営法17条の表示義務がかかります。
この記事では、値段の組み立て方と、表示まわりで外してはいけない点を整理します。
読み終えたら、いま置いているボトルの値段が1杯いくらに相当するかを計算して、付け直せます。
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ボトルキープの値段は1杯あたりで考える
ボトル1本をいくらにするか、という決め方だと比べる相手がいません。
同じ酒をショットで出したときと並べて、はじめて高いか安いかが分かります。
だから最初に1本から何杯取れるかを出します。
700mlのボトルは30mlで23杯
シングル30mlで注ぐ前提なら、700÷30で23杯です。
仕入原価2,000円のウイスキーで比べます。
| ショットで出す | ボトルキープ | |
|---|---|---|
| 1杯の値段 | 800円 | 348円 |
| 1本あたりの売上 | 18,400円(23杯) | 8,000円 |
| 原価率 | 10.9% | 25.0% |
| 粗利 | 16,400円 | 6,000円 |
同じ1本から取れる粗利は3分の1近くまで落ちます。
それでも成り立つのは、23杯分の来店がほぼ確定するからです。
粗利はセット料金のほうで取る
ボトル単体で見ると割に合いません。
キープ客が来るたびにセット料金やチャージが乗るので、そちらで回収する構造です。
セット3,000円の店で、1本を6回に分けて飲み切るなら18,000円が別に入ります。
ボトルの値段を決めるときは、この回数を先に見積もるのが実務です。
飲み切らなかった分をあてにしない
期限が切れて残ったボトルは、そのまま粗利になるように見えます。
ただし期限切れのボトルを店が自由に処分してよいとは限りません。
所有権と保管責任の話になるので、値段の設計に織り込むのは危ない部分です。
扱いはボトルキープの期限と紛失で条文から整理しました。
ボトルキープの値段も料金表示の対象になる
値段を決めたら、次は出し方です。
接待をする店には、風営法17条の表示義務がかかります。
この義務の範囲が、思っているより広いところです。
「名義のいかんを問わず」に含まれる
施行規則34条は、表示すべき料金を「名義のいかんを問わず」としています。
ボトル代、キープ料、預かり料、どの呼び方でも対象です。
会計のときに初めて金額を伝える形は、この条文を満たしていません。
表示の方法と2025年に加わった説明義務は風営法の料金表示にまとめています。
届出だけの店には17条はかからない
17条の主語は風俗営業者です。
接待をせず33条の届出で営業しているバーには、この義務はありません。
ただし消費税法63条の総額表示は業態を問わずかかります。
メニューに「ボトル8,000円」と書くなら、税込で書く必要があります。
残量で値段が変わるなら先に決めておく
ハーフボトルや、残りを詰め替える運用をしている店があります。
金額が変わる条件を決めていないと、会計のたびに説明が必要になります。
2025年改正の18条の3第1号は、料金について事実と違う説明や誤認させる説明を禁じています。
口頭で毎回変わる運用は、ここに触れるおそれがあります。
ボトルキープは酒を売ったことになる
もう1つ押さえておく点があります。
ボトルキープは、代金を受け取って酒を渡し、それを店が預かる形です。
つまり売買と預かりの2階建てになっています。
店内で飲む限り免許は要らない
酒税法9条1項のただし書が、酒場や料理店その他もっぱら自己の営業場において飲用に供する業を除いています。
キープしたボトルを店で飲ませる限り、この範囲です。
分かれ目は開栓したかどうかではなく、どこで飲まれるかです。
持ち帰らせると免許の話になる
「残っているから持って帰る」と言われる場面があります。
営業場の外で飲まれる酒を渡すことになるので、酒類販売業免許の対象に入ります。
無免許で売ると酒税法56条1項1号で1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
免許の範囲は酒類販売業免許で扱っています。
売上を立てる時期は先に決めておく
代金を受け取った日に売上を立てるか、飲んだ分だけ立てるかで、期末の数字が変わります。
ボトルを渡した時点で所有権が客に移っていると整理するなら、受け取った日に売上を立てるのが素直です。
どちらで処理するかは決算に影響するため、顧問税理士に確認して統一してください。
どちらにしても、何本預かっていて残量がどれだけあるかの記録は要ります。
開店時にそろえる酒は、開業資金の見積もりにも入れておく費目です。全体の組み方はスナックの開業資金にまとめました。
まとめ:ボトルキープの値段の決め方
- 単位:1本いくらではなく、1杯あたりに割り戻してショットと比べる
- 目安:700mlをシングル30mlなら23杯。原価2,000円・8,000円で原価率25%
- 回収:ボトル単体では粗利が落ちる。セット料金とチャージで回収する設計にする
- 織り込まない:飲み残しをあてにしない。処分してよいかは別の問題
- 表示:接待をする店は風営法17条。施行規則34条の「名義のいかんを問わず」に入る
- 届出の店:17条はかからないが、消費税法63条の総額表示はかかる
- 持ち帰り:営業場の外で飲まれるなら酒類販売業免許の対象
- 記録:売上をいつ立てるかに関わらず、預かり本数と残量の記録は要る
値段を決める作業は、そのまま何を記録するかを決める作業でもあります。
店全体の原価率の水準はバーの原価率は20%で統計から確かめました。
この記事は条文をもとにした一般的な整理です。
売上計上の時期や消費税の扱いは個別の事情で結論が変わるため、具体的な判断は顧問税理士か所轄税務署に確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(17条・18条の3)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(33条・34条)
- 酒税法(9条・56条)
- 消費税法(63条)

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