料金表にはセット料金を出してあるから、表示の義務は果たしている。
指名料やチャージを別に扱っていると、ここが抜けます。
表示するのはセット料金だけではなく、名前が何であれ客が払うことになる料金すべてです。
国家公安委員会規則が「名義のいかんを問わず」と書いているので、チャージも指名料も同伴料も対象に入ります。
サービス料は、それらとは別の枠でもう一度出す必要があります。
そして2025年の改正で、表示するだけでなく、料金について客を誤認させる説明をすること自体が禁止行為になりました。
この記事では、誰に義務があるのか、何をどこに出すのか、守らなかったときに何が起きるのかを条文で整理します。
読み終えたら、いまの料金表に足りない項目を洗い出して、書き直せます。
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風営法の料金表示は接待をする店の義務
まず、自分の店に義務があるかどうかを確かめます。
根拠は風営法17条です。
短い条文ですが、主語に注意して読んでください。
法17条の主語は「風俗営業者」
風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第17条
風俗営業者とは、許可を受けて風俗営業を営む者のことです(法2条2項)。
スナックやキャバクラでいえば、接待をするために2条1項1号の許可を取っている店が当たります。
どこからが接待になるかは風営法の接待とはで類型ごとに整理しました。
深夜酒類提供飲食店営業には17条はかからない
接待をせず、届出だけで深夜営業をしている店はどうなるか。
法17条の主語は風俗営業者なので、届出だけの店にこの条文は及びません。
届出で何ができて何ができないかは深夜酒類提供飲食店営業の届出にまとめています。
ただし、風営法がかからないことと、料金を出さなくてよいことは別です。
消費税の総額表示は業態を問わずかかる
価格を表示するなら、消費税法63条が別に効いてきます。
事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合……において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。
消費税法 第63条
括弧書きのとおり、免税事業者は対象から外れています。
課税事業者であれば、メニューに出す金額は税込にする必要があります。
風営法の表示義務と消費税の総額表示は別の法律なので、両方を満たす形で1枚に収めるのが実務です。
料金表示の対象は「名義のいかんを問わず」全部
ここがこの記事でいちばん大事なところです。
「セット料金を貼っておけばいい」という理解は、規則の文言と合っていません。
種類を定めているのは施行規則34条です。

施行規則34条は2種類に分けている
一 遊興料金、飲食料金その他名義のいかんを問わず、当該営業所の施設を利用して客が接待を受けて遊興又は飲食をする行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金
風営法施行規則 第34条(法2条1項1号の営業の場合)
二 サービス料金その他名義のいかんを問わず、客が当該営業所の施設を利用する行為について、その対価又は負担として客が支払うべき料金で前号に定めるもの以外のものがある場合にあつては、その料金
1号が飲食・遊興そのものの対価、2号がそれ以外の負担です。
どちらにも「名義のいかんを問わず」と書かれているので、店が付けた呼び名では逃げられません。
チャージも指名料も同伴料も1号に入る
夜のお店でよくある項目を当てはめると、こうなります。
| 項目 | どちらか | 理由 |
|---|---|---|
| セット料金・時間料金 | 1号 | 接待を受けて飲食する行為の対価そのもの |
| チャージ・テーブルチャージ | 1号 | 名義が違うだけで、飲食のために客が払う負担 |
| 指名料・同伴料 | 1号 | 接待を受ける行為に対する対価または負担 |
| ボトル・ドリンク・フード | 1号 | 飲食料金 |
| サービス料・TAX表記の上乗せ | 2号 | 飲食そのものの対価ではない施設利用の負担 |
この分類は条文の文言から素直に読んだものです。
個別の料金がどちらに当たるかは店の運用で変わることがあるので、料金表を作り替えるときは所轄の警察署で確認してください。
サービス料は「別に」出す必要がある
2号がわざわざ立てられている意味を考えてください。
1号の料金を並べたうえで、サービス料のような上乗せがあるなら、それも表示の対象になります。
会計のときに初めて30%や40%の上乗せが出てくる形は、この2号を満たしていない状態です。
後述する2025年の改正とあわせて、いま最も指摘を受けやすい部分でもあります。
風営法の料金表示の方法は3通り
次に、どこにどう出すかです。
施行規則33条が方法を3つ挙げていて、このいずれかであればよいとされています。
壁に貼る以外の形も認められている点が実務では効きます。
施行規則33条の3つの方法
法第十七条の規定による料金の表示は、次の各号のいずれかの方法によるものとする。
風営法施行規則 第33条
一 壁、ドア、ついたてその他これらに類するものに料金表その他料金を表示した書面その他の物(以下この条において「料金表等」という。)を客に見やすいように掲げること。
二 客席又は遊技設備に料金表等を客に見やすいように備えること。
三 前二号に掲げるもののほか、注文前に料金表等を客に見やすいように示すこと。
1号は壁やドアに掲げる形、2号は客席に備え置く形です。
3号は、席に着いた客へ注文前にメニューを渡す形が当たります。
共通しているのは「注文の前」であること
3つの方法に通っている考え方は同じです。
客が注文を決める前に、料金が目に入る状態にしておくということです。
3号だけが明文で「注文前に」と書いていますが、1号も2号も見やすい場所に置く前提なので結論は変わりません。
会計時に渡す伝票は、この表示には当たらないと考えてください。
料金表示を守らなかったときに起きること
罰則を調べると、意外なことに分かります。
風営法の罰則は49条から56条までに並んでいますが、そこに17条は出てきません。
ただし「罰金がないから軽い」という話にはなりません。
直接の罰金刑は定められていない
無許可営業なら49条で5年以下の拘禁刑、従業者名簿の不備なら54条で100万円以下の罰金があります。
名簿のほうの詳細は風営法の従業者名簿にまとめました。
これに対して、17条の料金表示には対応する罰条が置かれていません。
効いてくるのは指示と営業停止
代わりに働くのが行政処分です。
法25条は、風俗営業者が当該営業に関し法令の規定に違反した場合で、善良の風俗等を害するおそれがあると認めるときに、公安委員会が必要な指示をすることができると定めています。
さらに法26条1項は、著しく害するおそれがあると認めるときなどに、許可の取消しか営業停止を命じることができるとしています。
……当該風俗営業者に対し、当該風俗営業の許可を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
風営法 第26条1項
罰金と違い、営業停止は売上が直接止まります。
金額の大小ではなく、店が開けられるかどうかで効いてくる義務だと考えてください。
2025年の改正で料金表示に加えて説明も規制された
ここからが新しい話です。
悪質なホストクラブの問題を背景にした改正が、令和7年11月28日までに全面施行されました。
表示だけでなく、説明の仕方と提供の順番まで規制が入っています。
法18条の3第1号|料金の虚偽説明と誤認させる説明
第二条第一項第一号の営業を営む風俗営業者は、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
風営法 第18条の3第1号
一 第十七条に規定する料金について、事実に相違する説明をし、又は客を誤認させるような説明をすること。
条文が「第十七条に規定する料金について」と書いている点が重要です。
17条で表示すべき料金、つまり名義を問わず客が払うことになる料金すべてが対象になります。
サービス料の上乗せを伝えずにセット料金だけ案内する形は、この「誤認させるような説明」に近づきます。
注文していない飲食の提供も禁止された
同じ18条の3の3号も、料金と地続きの規定です。
客が注文の意思表示をする前に飲食等を提供して困惑させ、それによって飲食等をさせる行為が禁じられました。
注文を取らずにボトルやフードを出す運用は、見直す必要があります。
施行規則33条3号が「注文前に」料金表を示すこととしているのと、方向は同じです。
これらは1号営業にだけかかる
18条の3の主語も「第二条第一項第一号の営業を営む風俗営業者」です。
つまり接待をする店に限られ、届出だけの店には直接はかかりません。
ここでも、接待に当たるかどうかの線引きが手続きと規制の両方を決めています。
まとめ|風営法の料金表示で外さない点
この記事の要点をまとめます。
- 義務があるのは風俗営業者。法17条の主語は許可を受けた店で、届出だけの店には及ばない
- 消費税の総額表示は別の話。課税事業者が価格を表示するなら税込(消費税法63条、免税事業者は除く)
- 出すのは名義を問わず全部。チャージ・指名料・同伴料も1号に入る(施行規則34条)
- サービス料は2号として別に出す。会計時に初めて上乗せが出る形は満たしていない
- 方法は3通り。壁等に掲げる、客席に備える、注文前に示す(施行規則33条)
- 17条に罰金刑はない。ただし指示(25条)と6月以内の営業停止・許可取消し(26条)の対象になる
- 2025年に説明も規制された。料金の虚偽説明・誤認させる説明と、注文前の提供が禁止(18条の3)
先に手を付けるなら、いまの料金表に載っていない項目が会計に出ていないかを、直近の伝票と突き合わせるところからです。
開業時の手続き全体はスナック開業の手順にまとめています。
料金表示の義務がかかるのは風俗営業者なので、自分の店の区分は風営法の許可4種類で確認できます。
看板に料金だけを出す場合の扱いは風営法の広告規制にまとめています。
18条の3と逆向きの規制はスナックのカスハラ対策で整理しました。
ボトル代も「名義のいかんを問わず」に入ります(ボトルキープの値段の決め方)。
この記事は条文をもとにした一般的な整理です。
個別の料金がどの号に当たるかや、表示の具体的な様式は運用で異なることがあるため、所轄の警察署(生活安全課)や風営法に詳しい行政書士に確認してください。
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- 他のスタッフの時給や支給額は見えません
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この記事で参照した一次情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(2条1項1号・2条2項・17条・18条の3・25条・26条・49条〜56条)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(33条・34条)
- 消費税法(63条)
- 警察庁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(概要)
- 警察庁 悪質ホストクラブ対策について

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