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風俗営業の管理者|なれない人と、2店舗で兼任できない理由

風俗営業の管理者になれない人と2店舗で兼任できない理由を解説する記事のアイキャッチ

2店舗あるので、管理者は自分ひとりで兼ねている。

資格試験が無いぶん、置き方のルールは見落とされがちです。

管理者は営業所ごとに専任で1人置く必要があり、2店舗を1人で兼ねることは原則できません。

そして見落とされやすいのですが、労働基準法違反で罰金を受けると、その執行が終わってから5年間は管理者になれません。

年少者を深夜に働かせた場合の罰条も、この5年に含まれています。

この記事では、誰がなれるのか、何をする人なのか、講習はいつ来るのか、置かなかったときの罰則までを条文で整理します。

読み終えたら、いまの管理者の置き方が条文どおりかどうかを点検できます。

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目次

風俗営業の管理者は営業所ごとに1人

まず、置く義務の範囲を確認します。

根拠は風営法24条1項です。

選ぶ範囲まで条文が決めている点に注意してください。

選べるのは「業務の実施を統括管理する者」から

風俗営業者は、営業所ごとに、当該営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから、第三項に規定する業務を行う者として、管理者一人を選任しなければならない。ただし、管理者として選任した者が欠けるに至つたときは、その日から十四日間は、管理者を選任しておかなくてもよい。

風営法 第24条1項

「統括管理する者のうちから」とあるので、名前だけ借りた人は選任できません。

実際に店を回している人、つまりオーナーや店長、ママが選ばれるのが通常です。

ただし書の14日間も押さえてください。

管理者が辞めた場合、猶予はその日から14日間しかありません。

2店舗の兼任は原則できない

多店舗にしたときに必ず問題になるのがここです。

法第二十四条第一項の規定により選任される管理者は、営業所ごとに専任の管理者として置かれなければならない。ただし、一の風俗営業者に係る二以上の営業所において、当該二以上の営業所が相互に接し、その間を客が自由に往来できるものであつて、かつ、……公安委員会の承認を受けたときは、専任の管理者を置くことを要しない。

風営法施行規則 第37条

原則は専任です。

例外が認められるのは、店同士が接していて客が自由に行き来できる場合に限られます。

同じビルの別フロアで2店舗、という形は客が自由に往来できないので、この例外には当たりません。

しかも例外を使うには公安委員会の承認が要ります。

2店舗目を出すなら、任せられる人を先に育てておく必要がある、ということです。

なお、許可はそのままで他人に営業を任せると名義貸しになります。

罰則は無許可営業と同じ重さなので、風営法の名義貸しで確かめてください。

風俗営業の管理者になれない人

管理者に資格試験や講習の事前受講はありません。

その代わり、なれない人が条文で決められています。

法24条2項が3つ挙げていて、2号がさらに許可の欠格事由を引いています。

風俗営業の管理者になれなくなる労働基準法の罰条一覧と、罰金から執行終了、そこから5年の欠格期間までの流れを示した図
夜の店に直接効くのは労基法61条の年少者の深夜業です。

法24条2項が挙げる3つ

  • 未成年者(1号)
  • 許可の欠格事由に当たる者(2号)|法4条1項の1号から4号まで、6号、8号から10号まで
  • 心身の故障により業務を適正に実施できない者(3号)|精神機能の障害により必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない者(施行規則37条の2)

2号が引いている法4条1項の中身は、破産して復権を得ていない者(1号)、一定の刑に処せられた者(2号)、集団的・常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある者(3号)、アルコールや薬物の中毒者(4号)などです。

許可を取り消されてから5年を経過しない者(6号)も入ります。

労働基準法違反でも5年間なれなくなる

ここが最も見落とされる部分です。

法4条1項2号は、一定の罪で1年未満の拘禁刑または罰金に処せられた場合も、執行を終わった日から5年を経過するまで欠格としています。

その「一定の罪」を並べたイからカまでの中に、労働基準法の罰条が入っています。

ト 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百十七条、第百十八条第一項(同法第六条又は第五十六条に係る部分に限る。)又は第百十九条第一号(同法第六十一条又は第六十二条に係る部分に限る。)……の罪

風営法 第4条1項2号ト

条番号だけでは分かりにくいので、中身に置き換えます。

罰条違反の中身
労基法117条強制労働の禁止(5条)
労基法118条1項のうち6条中間搾取の排除
労基法118条1項のうち56条最低年齢(満15歳になった年度末まで使用禁止)
労基法119条1号のうち61条年少者の深夜業(満18歳未満を22時〜翌5時に使用)
労基法119条1号のうち62条年少者の危険有害業務

夜のお店に直接関わるのは、下から2つめの61条です。

18歳未満を深夜に働かせて罰金を受けると、その執行が終わってから5年間、管理者にも許可の申請者にもなれません。

どこからが違反になるのか、年齢をどう確かめれば過失がないといえるのかは別に整理しています。

詳しくは風営法で18歳未満は雇えるかをご覧ください。

労基法61条1項の深夜は22時から翌5時までで、風営法の制限とは終わりの時刻が1時間ずれています。

このずれは深夜手当は何時からかで条文ごとに整理しました。

2025年の改正で「処分逃れ」も加わった

欠格事由は2025年の改正で広がりました。

警察庁が公表した改正の概要は、追加されたものとして「警察による立入調査後に許可証の返納(処分逃れ)をした者」を挙げています。

条文でいえば法4条1項8号で、立入りが行われた日から聴聞決定予定日までの間に許可証を返納した者が5年間の欠格になります。

法24条2項2号は8号も引いているので、この追加は管理者の欠格にもそのまま及びます。

風俗営業の管理者がやる10の業務

次に、何をする人なのかです。

法24条3項が助言と指導を挙げ、具体的な業務を施行規則38条が10項目定めています。

「名前を置くだけ」では務まらない中身になっています。

施行規則38条の中身

スナックやキャバクラに関係する項目を抜き出すと、次のようになります。

  • 従業者への指導計画|計画を作り、実地に指導し、その記録を作成する(1号)
  • 構造・設備の点検|技術上の基準に適合するよう点検し、記録の記載を管理する(2号)
  • 苦情の処理|営業所の業務に関する苦情を処理する(5号)
  • 未成年者への対応|立ち入らせてはならない未成年者を発見したときに立退きを勧告する等の措置(7号)
  • 従業者名簿の管理|法36条の従業者名簿とその記載を管理する(8号)
  • 確認記録の管理|接待飲食等営業では、法36条の2の確認に係る記録を管理する(9号)

8号と9号のとおり、従業者名簿と本人確認の記録は管理者の担当業務として名指しされています。

書く項目や保存期間は風営法の従業者名簿にまとめました。

オーナーは管理者の助言を無視できない

管理者を従業員から選んだ場合に効いてくるのが4項です。

風俗営業者又はその代理人は、管理者が前項に規定する業務として行う助言を尊重しなければならず、風俗営業者の使用人その他の従業者は、管理者がその業務として行う指導に従わなければならない。

風営法 第24条4項

雇っている側であっても、管理者の助言を尊重する義務が条文に書かれています。

オーナー自身が管理者を兼ねる店が多いのは、この関係を整理しやすいからでもあります。

管理者講習は3年ごとに来る

選任して終わりではありません。

法24条6項にもとづく講習があり、種別と間隔は施行規則39条が定めています。

受けさせるのは風俗営業者の義務です(法24条7項)。

定期・処分時・臨時の3種類

種別いつ
定期講習管理者として選任された日からおおむね3年ごとに1回
処分時講習営業停止を命じられた場合に、処分の日からおおむね1年以内に1回
臨時講習特別の事情があるとき、その必要の都度

定期講習の講習時間は4時間以上6時間以下とされています。

内容は法令に関することと、24条3項および施行規則38条の業務を適正に実施するための知識・技能です。

講習にも手数料がかかり、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の別表は営業所の管理者に対する講習を1時間につき650円としています。

定期講習は4時間以上6時間以下なので、2,600円から3,900円が目安になります。

通知は30日前、受けられないときは10日前までに届出

手続きの期限も決まっています。

公安委員会は実施予定期日の30日前までに、風俗営業者へ管理者講習通知書で通知します(施行規則40条1項)。

病気などやむを得ない理由で受講させられないときは、実施予定期日の10日前までに理由を記載した書面を提出する必要があります(同条2項)。

黙って欠席する形にはなっていない、という点を押さえてください。

管理者を置かなかったときの罰則は50万円以下

最後に罰則です。

選任義務の違反には、はっきりと罰金が定められています。

料金表示のように行政処分だけ、という形ではありません。

法55条5号が選任義務違反を罰している

次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
五 第二十四条第一項……の規定に違反したとき。

風営法 第55条

他の義務と並べると、金額の重さが分かります。

義務罰則
管理者の選任(24条1項)50万円以下の罰金(55条5号)
従業者名簿の備付け・記載(36条)100万円以下の罰金(54条3号)
料金の表示(17条)罰金刑なし。指示・営業停止の対象
無許可営業(3条1項)5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(49条1号)

料金表示との違いは風営法の料金表示で扱っています。

解任を勧告されることもある

罰金とは別に、法24条5項の仕組みもあります。

管理者が欠格事由に当たると認められたとき、またはその職務に関し法令に違反して管理者として不適当と認められたときに、公安委員会が風俗営業者へ解任を勧告できます。

勧告を受けて解任すれば、また14日以内に次の管理者を選ぶことになります。

まとめ|風俗営業の管理者で外さない点

この記事の要点をまとめます。

  • 資格試験はない。ただし「業務の実施を統括管理する者」から選ぶ必要があり、名義だけの選任はできない
  • 営業所ごとに専任で1人。2店舗の兼任は、相互に接して客が自由に往来でき、かつ公安委員会の承認を受けた場合だけ
  • 欠けたら14日以内。猶予はその日から14日間しかない
  • 労基法違反でも5年間なれない。強制労働・中間搾取・最低年齢・年少者の深夜業と危険有害業務が対象(法4条1項2号ト)
  • 2025年に処分逃れが追加。立入り後の許可証返納も5年の欠格になり、管理者の欠格にも及ぶ
  • 業務は施行規則38条の10項目。従業者名簿と本人確認記録の管理も含まれる
  • 定期講習はおおむね3年ごと。4〜6時間。通知は30日前、受けられないなら10日前までに書面
  • 置かなければ50万円以下の罰金(55条5号)

2店舗目を考えているなら、物件より先に管理者を務められる人がいるかを確かめてください。

開業の手続き全体はスナック開業の手順にまとめています。

管理者を置けるかどうかは4条2項3号で許可の要件にもなっています(風営法の許可4種類)。

店に置く選任者は管理者だけではありません。全体像はスナック経営に資格は要るかにまとめています。

処分を受けた後の欠格期間はガールズバーの摘発でも扱っています。

この記事は条文をもとにした一般的な整理です。

欠格事由に当たるかどうかの判断や、兼任の承認が得られるかは個別の事情で結論が変わるため、所轄の警察署(生活安全課)や風営法に詳しい行政書士に確認してください。

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