摘発されるとしたら無許可営業だろうと思って、そこだけ気をつけている。
実際の集計を見ると、店が落ちている場所は別のところでした。
ガールズバーの摘発として実際に一番多いのは、無許可営業ではなく従業者名簿の不備です。
警察庁が令和8年4月に公表した集計では、風営適正化法に基づく行政処分3,693件のうち、従業員名簿の備付義務違反が890件で最多でした。
無許可営業は212件で、名簿の4分の1しかありません。
この記事では、公表された実数と条文をもとに、何がどれくらいの重さで来るのかを整理します。
読み終えたら、実際に処分が多い順に、自分の店の穴を埋められます。
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ガールズバーの摘発は刑事事件より行政処分が多い
「摘発」と報道されるものには、2つの別々の系統が混ざっています。
警察が検挙する刑事事件と、公安委員会が出す行政処分です。
件数で見ると、店に届くのは圧倒的に後者のほうです。
令和7年は行政処分3,693件、検挙662件
警察庁生活安全局保安課「令和7年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について」の数字です。
| 系統 | 令和7年 | 内訳 |
|---|---|---|
| 行政処分 | 3,693件 | 指示3,364/停止命令等259/取消し・廃止命令等70 |
| 刑事の検挙 | 662件・844人 | 無許可営業170件335人が最多 |
行政処分は検挙の5.6倍あります。
しかも行政処分の9割(3,364件)は指示で、店を止める命令ではありません。
逮捕や起訴の手前に、書面で是正を求められる段階が分厚くあるということです。
指示も不服申立てができる行政処分
指示は「注意」ではありません。
解釈運用基準は「『指示』は、行政処分であり、施行規則第112条第1項の書面に不服申立てをすることができる旨を記載して行うものである」としています。
同じ基準は、指示が比例原則に則って行うべきもので、営業者に過大な負担を課すものであってはならないとも書いています。
内容は違反状態の解消と将来の防止のための措置を具体的に示すものでなければなりません。
同じ基準は「違反し」たの意義について、送致・起訴・刑の言渡し等が既になされているか否かを問わないとしています。
刑事の結論を待たずに処分が出るということです。
2店舗以上を持つ場合、1店の違反を根拠に他店へも指示ができるとも書かれています。
ガールズバーの摘発で最も多い違反は書類と記録
行政処分3,693件を違反の中身で分けると、上位が偏っています。
接客の中身ではなく、店に備える書類と記録が並びます。
令和7年の内訳は次のとおりです。
| 違反態様 | 令和7年 | 令和3年 |
|---|---|---|
| 従業員名簿の備付義務違反 | 890件 | 879件 |
| 従業者の確認義務違反等 | 539件 | 439件 |
| 営業時間の制限違反 | 494件 | 432件 |
| 変更届出義務違反等 | 443件 | 510件 |
| 構造・設備の維持違反 | 273件 | 310件 |
| 無許可営業 | 212件 | 121件 |
| 料金表示違反 | 40件 | 24件 |
| 照度規制違反 | 23件 | 14件 |
| 20歳未満の者への酒類等の提供 | 13件 | 20件 |
| 年少者使用 | 11件 | 19件 |

上位4つで全体の64%を占める
名簿・確認・営業時間・変更届の4つを足すと2,366件です。
3,693件の64%がこの4項目に集中しています。
いずれも接客をどうするかではなく、記録を残しているかどうかで決まる項目です。
採用した日と辞めた日、本人確認をした記録、店を開けている時間、届け出た内容と現状のずれ。
この4つを揃えておけば、処分の多数派からは外れられる計算になります。
名簿は許可を取っていない店にも義務がある
ここを誤解している店が多いところです。
法36条の名宛人は風俗営業者だけではありません。
風俗営業者、……特定遊興飲食店営業者、第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者及び深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者は、……従業者名簿を備え、……記載しなければならない。
風営法36条(抜粋)
33条6項の酒類提供飲食店営業とは、午前6時から午後10時までの時間においてのみ営むものを除いた酒類提供飲食店営業です。
接待をせず届出だけで営業しているガールズバーは、ここに入ります。
末尾の「深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者」まで含むので、酒を出さない深夜のラーメン屋にも名簿の義務があります。
記載事項と、労働者名簿で代用できる条件は風営法の従業者名簿にまとめています。
確認義務違反は名簿とセットで来る
2番目に多い539件は、法36条の2の本人確認です。
確認に使える書類には本籍地都道府県名の記載が要るため、運転免許証やマイナンバーカードでは足りません。
採用時に住民票記載事項証明書を取っていない店は、名簿と確認記録の両方で引っかかります。
刑事のほうでも、名簿の備付義務が40件、接客従業者の国籍等の確認が26件で検挙されています。
ガールズバーの摘発は無許可と無届出で20倍違う
同じ「許可も届出も無い状態」に見えても、罰条はまったく別です。
接待をしていたかどうかで、上限が20倍変わります。
ここが摘発報道を読むときの分かれ目です。
| 無許可営業 | 無届出営業 | |
|---|---|---|
| 中身 | 接待をしていたのに3条1項の許可が無い | 接待はないが33条1項の届出が無い |
| 罰条 | 49条1号 | 55条6号 |
| 上限 | 5年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金 | 50万円以下の罰金 |
| 法人 | 3億円以下の罰金(57条1項1号) | 各本条の罰金刑(57条1項2号) |
| 令和7年の検挙 | 170件・335人 | 統計は「無届営業・届出書の虚偽記載等」で合算(20件・20人) |
法人だけ3億円まで跳ね上がる
両罰規定の57条1項は、1号と2号で扱いを分けています。
49条の違反だけ法人に3億円以下の罰金刑を科すと書き、それ以外は「各本条の罰金刑」としています。
57条2項は、49条の違反で法人を罰する場合の時効期間も、49条の罪の時効期間によるとしています。
2025年の改正で罰則が引き上げられた経緯は風営法改正2025の4つの変更点で扱っています。
1件あたり約2人が検挙されている
無許可営業は170件に対して335人です。
1件あたり2人近くが検挙されている計算で、経営者1人で終わっていません。
公表されている主要検挙事例も、山梨県警・福井県警の2件がいずれも「飲食店経営者の男ら」と複数形です。
福井県警の事例は、無許可営業と、18歳未満と知りながら接待させた行為の2つで検挙されています。
年齢を知らなかったは通らない
18歳未満がからむと、法51条2項が正面から逃げ道を塞いでいます。
当該十八歳未満の者の年齢を知らないことを理由として、前項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
風営法51条2項
出口は「過失のないとき」だけです。
そこで効いてくるのが、さきほどの本人確認の記録です。
詳しい線引きは風営法で18歳未満は雇えるかで扱っています。
ガールズバーの摘発の入口は立入検査
行政処分も検挙も、多くは法37条の立入りから始まります。
この立入りには、条文上はっきりした性格づけがあります。
そこを取り違えると、対応を誤ります。
立入りは犯罪捜査のためのものではない
法37条4項がそう書いています。
第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
風営法37条4項
立入りは、法の施行に必要な限度で営業の状態と書類を見るための権限です。
そしてその場で見られるのは、たいてい名簿と確認記録と営業時間です。
上位4項目が処分の64%を占めるのは、ここで見える情報だからです。
何を見られるかは風営法の立入検査にまとめています。
拒めば100万円以下の罰金
法54条7号は、立入りを拒み、妨げ、又は忌避したときを100万円以下の罰金としています。
同じ54条には、報告や資料の提出を拒んだとき(6号)も並んでいます。
無届出営業の50万円より、立入りを拒むほうが重い形になっています。
客が在室している個室には入れない
法37条2項のただし書に、入れない場所が書かれています。
風俗営業の営業所などに設けられた個室その他これに類する施設で、客が在室するものです。
ただし2項7号は「設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)」も立入りの対象に挙げています。
届出すらしていない深夜営業の店も、立入りの対象からは外れません。
摘発の後に効くのは営業停止と5年の欠格
罰金の額よりも、店の将来に効くのはこちらです。
営業を止められる期間と、次に許可を取れない期間の2つがあります。
どちらも年単位で効きます。
停止命令に違反すると無許可営業と同じ重さ
法26条1項は、許可の取消しか、6月を超えない範囲の営業停止を命じられるとしています。
そして法49条4号が、26条の処分に違反したときを5年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金に置いています。
停止期間中に店を開けると、無許可営業と同じ枠に入るということです。
法26条2項は、風俗営業を止めるときに、同じ施設で営む飲食店営業も併せて止められるとしています。
「接待をやめて普通の飲食店として開ける」という逃げ道も、条文で塞がれています。
取消しから5年、罰金からも5年
許可の欠格事由は法4条1項にあります。
- 6号:26条1項で許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
- 2号イ:49条・50条・51条1項の罪で刑に処せられ、執行を終わった日から5年を経過しない者
- 12号:法人で、役員のうちに1号から6号又は8号から10号に当たる者があるもの
2号イは罰金刑でも5年です。
無許可営業で罰金を払って終わりにしたつもりでも、そこから5年は許可を取って営業し直せません。
許可証を返して逃げる形も塞がれた
2025年の改正で法4条1項8号が追加されています。
取消処分の聴聞が公示されてから処分までの間(イ)と、法37条2項の立入りが行われた日から聴聞決定予定日までの間(ロ)に許可証を返納した者は、返納から5年が経過するまで欠格になります。
聴聞決定予定日は、立入りを受けた日から10日以内に公安委員会から通知されます。
処分が出る前に廃業届を出して次の店を開く、という形を封じるための号です。
ガールズバーの摘発率は業態で16倍違う
同じ統計から、営業所数と処分件数を並べられます。
接待をする店と、しない店で差がはっきり出ます。
令和7年末の数字です。
| 営業所数 | 行政処分 | 比 | |
|---|---|---|---|
| 接待飲食等営業(許可) | 59,695件 | 2,480件 | 4.15% |
| 深夜酒類提供飲食店営業(届出) | 258,163件 | 654件 | 0.25% |
許可を取った店のほうが処分は多い
営業所数に対する処分件数の比で、許可の店は届出の店の16倍です。
許可を取ると義務が増え、立入りの対象としても優先されるためと考えられます。
もっとも、これは「許可を取らないほうが安全」という意味ではありません。
接待をしているのに届出で営業すれば、比較の土俵が無許可営業に移るだけです。
2号と3号の店は処分がゼロ件
接待飲食等営業への処分2,480件は、全件が1号(キャバレー等)です。
2号(低照度飲食店)と3号(区画席飲食店)は、令和3年から令和7年まで5年連続で0件でした。
もともと全国の許可数が2号19件、3号1件しかないためです。
「照度を落として2号で取る」という設計は、実務ではほぼ存在していません。
まとめ:ガールズバーの摘発で先に整えるもの
- 多いのは書類:行政処分3,693件の64%が名簿・本人確認・営業時間・変更届の4項目
- 名簿は届出の店にも要る:法36条は深夜に飲食店営業を営む者も名宛人にしている
- 差は20倍:無許可営業は5年以下・1,000万円以下、無届出営業は50万円以下
- 法人は3億円:57条1項1号が49条の違反にだけ置いている
- 入口は立入り:拒めば100万円以下。立入り自体は犯罪捜査の権限ではない
- 後に効くのは5年:取消しからも、罰金の執行終了からも5年は許可が取れない
採用日・退職日・本人確認・実際の勤務時間が残っていれば、処分の多数派は避けられます。
その記録は給与計算でも同じものを使うので、別々に作る必要はありません。
名簿に入れる項目は従業者名簿テンプレートで1枚にまとめています。
不法就労助長罪も5年の欠格につながります(外国人を雇えるか)。
この記事は条文と警察庁の公表資料をもとにした一般的な整理です。
個別の事案で何が問題になるかは店の実態によって変わるため、具体的な判断は所轄の警察署や行政書士に確認してください。
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- アプリのインストールは不要。LINEの中で完結します
- 他のスタッフの時給や支給額は見えません
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はじめてご利用の店舗は、次の締めが終わるまで無料です。カードの登録は要りません。
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この記事で参照した一次情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(4条・26条・36条・37条・49条・51条・54条・55条・57条)
- 警察庁生活安全局保安課「令和7年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について」(令和8年4月)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(令和8年7月1日付)

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