在留カードに資格外活動許可の印があるから、留学生を入れても大丈夫だと思っていた。
夜の店では、この印だけでは判断できません。
留学生などの資格外活動許可は、風俗営業が営まれている営業所では使えません。
接待をするスナックやラウンジは、ホールでも厨房でも対象外です。
一方で、接待をせず届出だけで営業している店は、条文の除外リストに入っていません。
ただし「入っていない=雇える」ではありません。
この記事では、外国人を雇うときに店側で判断できる線と、判断を誤ったときの代償を条文で整理します。
読み終えたら、面接に来た人の在留資格で自分の店が雇えるかを確かめられます。
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外国人を雇えるかは営業の種類で決まる
夜の店で外国人を雇うときに最初に見るのは、職種ではありません。
その営業所がどの手続きで営業しているかです。
接待をして風営法3条1項の許可を取っているか、接待をせず33条1項の届出だけか。
在留資格は大きく3つの入口がある
- 資格外活動:留学・家族滞在などの人が、許可を受けて週28時間以内で働く形
- 特定技能1号(外食業):試験と日本語要件を満たした人が飲食業で働く形
- 身分系:永住者・日本人の配偶者等・定住者など、就労に制限が無い在留資格
このうち前の2つには、風営法と直接つながる制限がかかっています。
制限がかかるのは人ではなく、働く場所のほうです。
外国人留学生の資格外活動が使えない営業所
資格外活動許可の内容は、入管法19条2項を受けて施行規則が定めています。
週28時間以内という上限のほかに、括弧書きで除外が置かれています。
ここが夜の店にそのまま効きます。
一週について二十八時間以内……の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律……第二条第一項に規定する風俗営業、同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業若しくは同条第十一項に規定する特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うもの……を除き……)
出入国管理及び難民認定法施行規則19条5項1号(抜粋)
「営業所において行うもの」なので職種は関係ない
条文は業務の中身ではなく、場所で切っています。
接客をさせなければいい、という理屈は通りません。
厨房でも、皿洗いでも、掃除でも、その営業所で報酬を受ける活動なら除外されます。
対象は風俗営業(2条1項)、店舗型性風俗特殊営業(2条6項)、特定遊興飲食店営業(2条11項)の3つです。
接待をするスナックやラウンジは1号の風俗営業なので、ここに入ります。
28時間の数え方にも例外がある
原則は1週について28時間以内です。
留学の在留資格の人は、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときだけ1日8時間以内になります。
また留学の人の活動は、教育機関に在籍している間に行うものに限られます。
退学や除籍の後も働かせていると、そこも違反になります。
届出だけの店は外国人の除外リストに入っていない
除外の3つを並べ直すと、抜けているものが見えます。
深夜酒類提供飲食店営業が入っていません。
接待をせず33条1項の届出だけで営業しているガールズバーやバーは、風俗営業ではないからです。
| 店の形 | 根拠 | 資格外活動の除外 |
|---|---|---|
| 接待をする(1号の許可) | 風営法2条1項1号 | 除外される |
| 照度10ルクス以下(2号)/見通し困難な5㎡以下の客席(3号) | 風営法2条1項2号・3号 | 除外される |
| 深夜にイベントをやる(特定遊興の許可) | 風営法2条11項 | 除外される |
| 接待をしない(33条の届出だけ) | 風営法2条13項4号 | 条文には書かれていない |
「書かれていない」を「雇える」と読まない
除外リストに無いことは、許可が下りることを保証しません。
資格外活動許可は個別に審査されるもので、28時間の上限も業務の内容も別に見られます。
そして営業の実態が接待に当たると判断されれば、その店は1号の風俗営業です。
届出だけで営業しているつもりでも、実態が接待なら除外側に移ります。
接待の線引きは風営法の接待とはで6類型ごとに扱っています。
許可の有無で分かれる構造は他の制度と同じ
この「1号の許可か33条の届出か」という分岐は、営業時間でも同じ形で出ます。
許可を取れば0時で閉め、届出なら終了時刻の定めがありません。
詳しくはガールズバーの営業時間で整理しました。
採用の前に、自分の店がどちらなのかを確定させておく必要があります。
特定技能で外国人を雇う道はいま止まっている
もう1つの入口が特定技能1号の外食業分野です。
ただしこちらは、2026年の時点で新規の受入れが止まっています。
検索で出てくる解説記事の多くは、この措置より前のものです。
令和8年4月13日以降の申請は不交付
農林水産省と出入国在留管理庁が令和8年3月27日に公表した内容です。
在留者数が令和8年2月末で約4万6千人となり、受入れ上限の5万人を超える見込みになったためとされています。
- 認定証明書:令和8年4月13日以降に受理した交付申請は不交付
- 在留資格変更:同日以降に受理した申請は原則として不許可
- 在留期間更新:通常どおり審査
- 試験:外食業特定技能1号評価試験は当面の間、国内外ともに実施しない
すでに外食業分野で特定技能1号として在留している人の転職に伴う申請は、通常どおり審査されます。
つまり新規に呼ぶ道は閉じていて、いま国内にいる人の移動だけが残っている状態です。
そもそも風俗営業の営業所では就労させられない
受入れが再開されたとしても、夜の店には別の制限がかかります。
外食業分野の運用方針が、特定技能所属機関に対して特に課す条件を3つ置いています。
- ア:風営法2条1項の風俗営業を営む営業所で就労を行わせないこと(旅館・ホテル営業の許可がある場合を除く)
- イ:風営法2条5項の性風俗関連特殊営業を営む営業所で就労を行わせないこと
- ウ:風営法2条3項の「接待」を行わせないこと。確実な履行を図るため必要な措置を講じること
資格外活動の除外リストと並べると、範囲が少し違うことが分かります。
資格外活動は特定遊興飲食店営業も除外していますが、この運用方針のア・イには入っていません。
制度ごとに線の引き方が違うので、片方の知識をもう片方に持ち込まないほうが安全です。
外国人を雇うときに店が負う確認と届出
在留資格の判断とは別に、手続きの義務が3つあります。
どれも日本人を雇うときには出てこないものです。
そして3つとも、やらなければ罰則があります。
在留カードと資格外活動許可を実物で見る
在留カードの表面で在留資格と在留期間を、裏面で資格外活動許可の記載を確認します。
資格外活動許可は、在留カードの裏面に記載されるか、旅券に証印シールが貼られる形で示されます。
写真や画像だけで済ませると、後で「過失がなかった」と言えなくなります。
ハローワークへの届出は雇入れと離職の両方
労働施策総合推進法28条1項が、外国人雇用状況の届出を義務づけています。
新たに雇い入れた場合と、離職した場合の両方が対象です。
氏名・在留資格・在留期間その他を確認したうえで届け出ます。
届出をしない、または虚偽の届出をした場合は同法40条2号で30万円以下の罰金です。
辞めたときの手続きは従業員が辞めたときの手続きにまとめています。
風営法の従業者名簿は国籍まで確認させる
許可や届出のある店には、風営法36条の2の確認義務もかかります。
接客従業者について国籍等を確認し、その記録を作成して保存するものです。
令和7年はこの確認義務違反等で行政処分が539件、刑事の検挙が26件出ています。
記載事項は風営法の従業者名簿にまとめました。
知らなかったでは済まない|外国人の不法就労と5年
ここが判断を誤ったときの代償です。
入管法と風営法が連動していて、罰金で終わりません。
店を続けられるかどうかに直結します。
不法就労助長罪は3年以下・300万円以下
入管法73条の2第1項が、事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者を罰しています。
法定刑は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金で、併科もあります。
そして2項に、風営法51条2項とそっくりの規定が置かれています。
前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
入管法73条の2第2項
出口は「過失のないとき」だけです。
在留カードを実物で確認して記録を残しているかどうかが、そのまま過失の有無の材料になります。
罰金を受けると5年間は許可が取れない
風営法4条1項2号は、許可の欠格事由を並べたうえで、その対象となる罪をイからカまで列挙しています。
そのヲが「出入国管理及び難民認定法第七十三条の二第一項の罪」です。
不法就労助長罪で刑に処せられると、執行を終わった日から5年は風俗営業の許可が取れません。
罰金刑でも同じです。
4条1項12号により、法人はその役員が該当するだけで許可が取れなくなります。
欠格の連鎖はガールズバーの摘発でも扱っています。
給与計算は日本人と同じ扱いになる
在留資格の話と、雇った後の労務は別です。
労基法も最低賃金法も国籍で扱いを変えないので、深夜割増も同じように発生します。
週28時間の上限がある人は、勤怠の記録がそのまま在留資格の証拠になります。
28時間を超えた記録が残っていれば、店も本人も守れません。
計算の手順は給与計算のやり方にまとめています。
まとめ:外国人を雇うときに外さない点
- 場所で切られる:資格外活動は風俗営業・店舗型性風俗・特定遊興が営まれている営業所で使えない
- 職種は無関係:条文は「営業所において行うもの」。厨房でも皿洗いでも同じ
- 届出だけの店:深夜酒類提供飲食店営業は除外リストに無い。ただし実態が接待なら1号になる
- 特定技能:外食業は令和8年4月13日以降の新規申請が不交付。試験も当面実施されない
- 運用方針:風俗営業の営業所での就労と、接待をさせることは認められない
- 届出:ハローワークへ雇入れと離職の両方。怠れば30万円以下の罰金
- 罰則の連鎖:不法就労助長罪は3年以下・300万円以下。罰金でも5年は風俗営業の許可が取れない
- 28時間:勤怠の記録がそのまま在留資格の証拠になる
在留カードの確認日と、週ごとの労働時間。
この2つを残しておくことが、「過失のないとき」を主張できる唯一の準備になります。
事故の報告では在留資格の区分まで書きます(労働者死傷病報告)。
この記事は条文と、農林水産省・出入国在留管理庁の公表資料をもとにした一般的な整理です。
在留資格の該当性は個別の事情で結論が変わるため、具体的な判断は地方出入国在留管理官署や行政書士に確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 出入国管理及び難民認定法(19条・73条の2)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則(19条5項1号)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(2条・4条・36条の2・51条)
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(28条・40条)
- 外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針
- 農林水産省・出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」(令和8年3月27日)

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