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源泉所得税の納期の特例|ホステス報酬は対象外

源泉所得税の納期の特例とホステス報酬の扱いを解説する記事のアイキャッチ

納期の特例を受けているので、源泉所得税は年2回まとめて納めている。

キャストの分も同じ扱いにしていると、そこが納付漏れになります。

納期の特例を受けていても、ホステス報酬から預かった源泉所得税は翌月10日までに納めます。

所得税法216条が特例に含めている報酬・料金は204条1項2号だけで、ホステス報酬の6号は入っていないためです。

給与だけを年2回にまとめるつもりで、キャストの分も7月まで置いてしまうと納付漏れになります。

この記事では、特例の条件と納付期限、対象から外れるもの、申請から承認までの流れを条文で整理します。

読み終えたら、今月預かった分のうちどれを翌月10日までに納めるかを仕分けられます。

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目次

源泉所得税の納期の特例は年2回にまとめる制度

まず原則を確認します。

源泉徴収した所得税は、支払った月の翌月10日までに納めるのが原則です。

小規模な事業所は、これを半年分まとめられます。

条件は給与の支給人員が常時10人未満

216条は、事務所等のうち「給与等の支払を受ける者が常時十人未満であるものに限る」としています。

判定するのは事業者単位ではなく事務所等の単位です。

そして所轄税務署長の承認を受けた場合に限られます。

納付期限は7月10日と翌年1月20日

源泉徴収した期間納付期限
1月〜6月7月10日
7月〜12月翌年1月20日

下半期だけ1月20日で、10日ではありません。

納付期限が土日祝に当たるときは、休み明けの日が期限になります。

源泉所得税の納期の特例にホステス報酬は入らない

ここがこの記事の核です。

特例の対象は「給与等と退職手当等」に加えて、報酬・料金のうち一部だけです。

その一部がどれなのかを、条文が号で指定しています。

216条が含めているのは204条1項2号だけ

216条の括弧書きを読むと、対象に含まれる報酬・料金がはっきり書かれています。

……当該事務所等において支払つた給与等及び退職手当等(非居住者に対して支払つた給与等及び退職手当等並びに第二百四条第一項第二号(源泉徴収をされる報酬又は料金)に掲げる報酬又は料金を含む。……)について……

所得税法216条

204条1項2号は、弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士などの業務に関する報酬です。

国税庁も「税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税……に限られています」と書いています。

ホステス報酬は6号なので対象外

204条1項6号は、キャバレー・ナイトクラブ・バーその他これらに類する施設で客に侍して接待することを業務とするホステス等の報酬です。

2号ではないので、納期の特例の対象に入りません。

204条1項の柱書のとおり、徴収の日の属する月の翌月10日までに納めることになります。

キャストに報酬として支払っている店は、給与は年2回、ホステス報酬は毎月という二本立てになります。

所得税法は6号を2か所で別扱いしている

6号が単独で外れているのは、ここだけではありません。

条文列挙されている号6号の扱い
204条2項2号(源泉徴収義務の免除)1号〜5号・7号・8号入っていない
216条(納期の特例)2号入っていない

204条2項2号に入っていないことの意味は、給与を1円も払っていない個人事業主でもホステス報酬の源泉徴収義務は残るということです。

徴収の義務も、納付のタイミングも、6号だけ別に置かれていると考えてください。

ホステス報酬の計算方法はホステス報酬の源泉徴収で扱っています。

客から渡された分も店が支払者とみなされる

もうひとつ、204条3項に見落とされやすい規定があります。

客からバー等の経営者を通じてホステス等に支払われるものがある場合、その経営者が支払をする者とみなされます。

店を経由して渡るものは、店の源泉徴収の対象に入るということです。

源泉所得税の納期の特例の申請と承認

手続は申請書1枚です。

ただし、いつから特例が効くのかに癖があります。

提出した月の分は、まだ原則どおりです。

217条5項のみなし承認

第一項の申請書の提出があつた場合において、その申請書の提出があつた日の属する月の翌月末日までにその申請につき承認又は却下の処分がなかつたときは、同日においてその承認があつたものとみなす。

所得税法217条5項

却下の通知が来なければ、提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされます。

承認の通知を待つ必要はありません。

効き始めるのは提出した月の翌月から

国税庁が例を示しています。

2月中に申請書を提出した場合、2月支給分は3月10日が納期限で、3月から6月の支給分が7月10日になります。

提出した月に支払った分まで半年後にできるわけではありません。

却下されることがある3つの場合

217条2項が却下できる場合を3つ挙げています。

  • 1号:給与等の支払を受ける者が常時10人未満と認められないこと
  • 2号:承認の取消しの通知を受けた日以後1年以内に申請書を提出したこと
  • 3号:現に国税の滞納があり、その徴収が著しく困難であることなど

滞納があると通らない場合がある点は押さえておいてください。

源泉所得税の納期の特例は10人以上で外れる

人が増えたときの手続も決まっています。

自動では切り替わりません。

採用が続く店は、ここを見落としがちです。

要件に該当しなくなったことの届出書

給与の支給人員が常時10人以上になったら、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出します。

提出すると、その提出日が属する納期の特例の期間から承認の効力が失われます。

税務署長の側から217条3項により取り消されることもあります。

キャストが報酬なら人数に数えない

10人未満の判定は「給与等の支払を受ける者」の数です。

報酬として支払っているキャストは、この人数には入りません。

ただし、報酬として扱っていることが労務上の労働者性の判断を決めるわけではありません。

その線引きはキャバクラの業務委託で裁判例をもとに整理しています。

まとめ|源泉所得税の納期の特例で外さない点

最後に要点を並べます。

  • 原則は翌月10日、特例は7月10日と翌年1月20日。下半期だけ20日
  • 条件は事務所等ごとに給与の支給人員が常時10人未満(216条)
  • 特例に含まれる報酬は204条1項2号だけ。弁護士・税理士・司法書士など
  • ホステス報酬(6号)は対象外。翌月10日までに納付する
  • 204条2項2号の免除列挙にも6号は入っていない。給与を払っていなくても徴収義務は残る
  • 客から店を通じて渡る分は店が支払者とみなされる(204条3項)
  • 却下の通知がなければ提出月の翌月末日にみなし承認(217条5項)。効くのは翌月支給分から
  • 10人以上になったら届出が必要。自動では切り替わらない

給与とホステス報酬で納期が違うことだけは、先に決めておくと事故になりません。

毎月の計算の流れは給与計算のやり方にまとめています。

同じ「10人」でも労働基準法とは数え方が違います。違いは就業規則は10人未満でも必要かにまとめました。

翌年1月に出す支払調書についてはホステス報酬の支払調書で扱っています。

この記事は条文と国税庁の公表資料をもとにした一般的な整理です。

給与か報酬かの判断や人数の数え方は個別の事情で結論が変わるため、具体的な処理は所轄の税務署または税理士に確認してください。

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