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スナックの営業時間|0時以降も同じ店で開けるための3条件

スナックの営業時間と0時以降も開けるための3条件を示すアイキャッチ

0時を過ぎても常連が残っているのに、そこで閉めなければならないのか。

許可を取っているスナックで、いちばん切実なところです。

0時で完全に店を閉めなければならない、という意味ではありません。

ママやチーママが客の隣に座る形で営業しているなら、それは接待で、風営法13条1項により午前0時から午前6時までは営業できません。

ただし警察庁の解釈運用基準は、3つの条件を満たせば、同じ営業所を飲食店営業として使い続けてよいとしています。

この記事では、その3条件と、0時以降を別営業にしたときに人件費がどう動くかまでを条文で整理します。

読み終えたら、0時以降も開ける場合に何を変えればいいかが決まります。

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目次

スナックの営業時間は午前0時までが原則

スナックという業態を名指しした条文はありません。

決まるのは接待をするかどうかで、接待をすれば2条1項1号の風俗営業になります。

そして風俗営業には、営業時間の上限が置かれています。

スナックが接待をする場合に営業できない午前0時から6時までを、深夜割増の22時から翌5時、18歳未満の22時から翌6時と並べて示した図
0時で線が引かれるのは営業のほうで、割増は22時から始まっています。

風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。

風営法13条1項本文

ママが隣に座る時点で接待に当たる

接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」です(2条3項)。

解釈運用基準は、特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑やお酌をする行為を接待に当たるとしています。

一方で、水割りを作って速やかに立ち去る、カウンター内で注文に応じるといった行為は接待に当たりません。

客と一緒に歌うデュエットも接待です。

行為別の線引きは風営法の接待とはで6類型ごとに扱っています。

許可を取る店の99.97%が1号

警察庁の集計では、令和7年末の接待飲食等営業の許可数は5万9,695件です。

その内訳は1号(キャバレー等)が5万9,675件、2号(低照度飲食店)が19件、3号(区画席飲食店)が1件でした。

照度や客席の作りで許可を取るルートは、実務ではほぼ使われていません。

スナックが許可を取るなら、ほぼ確実に1号になります。

業態の名前と手続きの関係はスナックとバーの違いで整理しました。

13条には罰金刑が置かれていない

時間を超えて営業しても、直接の罰金はありません。

効くのは法25条の指示と、法26条1項の許可取消し・6月を超えない範囲の営業停止です。

罰金が無いほうが軽い、という話ではありません。

停止命令に違反すると、今度は49条4号で5年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金になります。

スナックの営業時間を0時以降に延ばせる地域

13条1項にはただし書があります。

都道府県の条例が指定した地域に限って、0時を超えて営業できます。

店が自分で決められるものではなく、住所で決まります。

日の区分で2つに分かれている

  • 1号:習俗的行事その他の特別な事情のある日として条例で定める日と、その事情のある地域
  • 2号:それ以外の日について、政令で定める基準に従い条例で定める地域

東京都の場合、公安委員会規則が延長後の時刻を午前1時と定めています。

対象は営業延長許容地域として告示された商業地域で、住居集合地域から20メートル以下の区域は除かれます。

ただし幹線道路の各側端から外側50メートル以下の区域は、その除外からさらに外されます。

延長できる時刻は都道府県ごとに違うので、所轄で確認してください。

延ばすと義務が2つ増える

13条3項と4項が、延長して営業する店にだけ追加の義務を置いています。

周辺に迷惑を及ぼさないための措置と、苦情の処理に関する帳簿の備付けです。

13条2項では逆に、条例で営業時間を短く制限することもできるとされています。

制度の全体像は風営法の営業時間にまとめています。

0時以降も同じ店で開けるスナックの3条件

ここがこの記事の本題です。

解釈運用基準は、風俗営業を終えた後で同じ営業所を飲食店営業として使うことを、条件つきで認めています。

前提は「営業の継続性が完全に断たれる」ことです。

風俗営業終業後に引き続き同一の営業所を利用して特定遊興飲食店営業又は飲食店営業を営むことは、時間外営業等の脱法行為を誘発するおそれがあるので、次のような措置が講じられ、営業の継続性が完全に断たれる場合に限り、特定遊興飲食店営業又は飲食店営業としての継続を認めるものとする。

① 接待飲食等営業については、全ての客を帰らせるとともに、接客従業者も帰らせ(客としても残らせないものに限る。)、別会計にして営業すること。

解釈運用基準 第17の2

条件1|全ての客を帰らせる

0時の時点で、いまいる客を一度すべて帰します。

「常連だけそのまま残す」は、継続性が断たれていないと見られます。

行政処分で営業時間の制限違反が年494件出ているのは、この境目です。

条件2|接客従業者も帰らせる

見落とされるのがここです。

基準は括弧書きで「客としても残らせないものに限る」と書いています。

キャストを退勤させたうえで、そのまま客席に座らせる形も認められません。

0時以降に店に立てるのは、接客従業者に当たらない人だけになります。

条件3|別会計にする

0時をまたいで1本の伝票で精算すると、そこで継続性が残ります。

レジを締めて、0時以降は別の会計として記録します。

売上の記録が2つに分かれていること自体が、条件を満たした証拠になります。

領収書と印紙の扱いはスナックの領収書で扱っています。

0時以降も酒を出すなら届出が別に要る

3条件を満たしても、それで終わりではありません。

0時以降に酒を出す形は、法33条1項の深夜酒類提供飲食店営業に当たります。

つまり風俗営業の許可と、深夜酒類提供飲食店営業の届出を両方持つことになります。

届出をしないまま深夜に酒を出せば、55条6号で50万円以下の罰金です。

手続きと期限は深夜酒類提供飲食店営業の届出にまとめています。

スナックの営業時間違反は行政処分の3番目に多い

この境目が守られていない店は、実際に少なくありません。

警察庁が公表した令和7年の行政処分3,693件を違反の中身で分けると、順位がはっきり出ます。

上位はこうなっています。

違反態様令和7年令和3年
従業員名簿の備付義務違反890件879件
従業者の確認義務違反等539件439件
営業時間の制限違反494件432件
変更届出義務違反等443件510件
無許可営業212件121件

5年間で増えている数少ない違反

令和3年の432件から令和7年の494件へ、14%増えています。

同じ期間に変更届出義務違反は510件から443件へ減りました。

営業時間は立入りでその場に見えるので、拾われやすい項目です。

摘発で多い違反の全体像はガールズバーの摘発にまとめました。

スナックの営業時間は深夜割増の量を決める

ここからは労務の話です。

0時で閉める店は、深夜割増の範囲が最初から決まっています。

労基法37条4項の深夜帯は午後10時から午前5時までなので、重なるのは2時間だけです。

0時閉店なら22時からの2時間で固定される

時給1,400円のスタッフ3人、月24日で計算します。

金額
1人1日の深夜割増(22時〜24時)700円
3人・月24日50,400円
年間604,800円

接待をしない業態が朝5時まで開ける場合、深夜帯は7時間になります。

同じ条件なら年間211万6,800円で、3.5倍です。

営業形態別の比較はガールズバーの営業時間で試算しています。

3条件で延長しても人件費は増えにくい

3条件のうち条件2が、そのまま労務の答えになっています。

接客従業者を帰らせる以上、0時以降にキャストの人件費は発生しません。

0時以降に立つのはオーナー本人か、接客従業者に当たらない人になります。

売上が伸びる形かどうかは、その人が1人で回せるかで決まります。

閉店作業は営業時間ではないが労働時間になる

風営法が禁じているのは0時以降に「営業を営む」ことです。

客を帰した後の片付けやレジ締めは、営業ではありません。

ただし労基法では、指揮命令下にある以上その時間は労働時間です。

0時20分まで片付けをしたなら、その20分にも深夜割増が乗ります。

賃金台帳は労基則54条1項6号で深夜労働時間数を別に書くことを求めているので、記録が要ります。

計算の手順は給与計算のやり方にまとめています。

まとめ:スナックの営業時間で外さない点

  • 原則:接待をすれば1号の風俗営業。13条1項で午前0時〜午前6時は営業できない
  • 延長:条例が指定した地域だけ。東京都は午前1時まで。延ばすと迷惑防止の措置と苦情処理簿が増える
  • 3条件:全ての客を帰らせる/接客従業者も帰らせる(客としても残らせない)/別会計にする
  • 酒を出すなら:0時以降は33条1項の届出が別に要る。無届出は55条6号で50万円以下
  • 罰則:13条に罰金刑は無い。効くのは25条の指示と26条の営業停止
  • 処分の実数:営業時間の制限違反は年494件で、行政処分の3番目に多い
  • 深夜割増:0時閉店なら22時からの2時間で固定。片付けが0時を超えればその分も乗る

0時以降を別営業にするなら、売上の記録と勤怠の記録を同じ境目で切っておくと説明が早くなります。

この記事は条文と警察庁の公表資料をもとにした一般的な整理です。

延長できる地域と時刻、3条件の運用は都道府県で違うため、具体的な判断は所轄の警察署に確認してください。

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