隣の街の店は朝まで開けているのに、うちは0時で閉めるよう言われた。
同じ業態なのに扱いが違うので、納得しにくいところです。
風俗営業は午前0時から午前6時まで営業できないのが原則で、延長できるのは条例が指定した地域だけです。
その地域は好きに決められるわけではなく、政令が「1平方キロメートルにつきおおむね300か所以上の店が集まっていること」という密度の基準を置いています。
逆に住居が集まっている地域では、条例で朝10時まで開けられなくなることもあります。
この記事では原則の時間、延ばせる条件、短くされる場合、延長したときに増える義務、そして深夜酒類提供と特定遊興との違いを条文で整理します。
読み終えたら、自分の店の所在地で何時まで開けられるかを、どの条例のどこを見れば確かめられるかが分かります。
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風営法の営業時間は0時から6時までが原則禁止
まず原則を押さえます。
根拠は風営法13条1項です。
ここでいう「深夜」は法律が自分で定義しています。

風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。
風営法13条1項本文
対象は風俗営業者、つまり3条1項の許可を受けて営業している店です。
接待をするキャバクラやスナック、照度を10ルクス以下にしたバーはここに入ります。
どの許可に当たるかは風営法の許可4種類で整理しています。
13条には罰金刑が置かれていない
意外に思われるところですが、営業時間違反に直接の罰則はありません。
風営法の罰則は49条から56条までですが、そのどこにも13条は出てきません。
従業者名簿の不備が54条3号で100万円以下の罰金になるのとは対照的です。
13条が出てくるのは41条(聴聞の特例)で、つまり行政処分の側で効きます。
効くのは25条の指示と26条の営業停止
25条は法令違反があったときの指示、26条1項は許可の取消しまたは6月を超えない範囲での営業停止です。
さらに26条2項で、同じ施設で営む飲食店営業についても停止を命じることができます。
罰金がないから軽い、ではなく、店を開けられるかどうかで効く義務だと考えてください。
この構造は料金表示の義務(17条)と同じです(風営法の料金表示)。
風営法の営業時間を0時以降に延ばせる地域の条件
13条1項にはただし書があり、条例に特別の定めがあれば0時以降も営業できます。
ただし「何時まで」は法律ではなく条例が決めるので、全国一律で1時までというわけではありません。
そして条例が地域を指定するときの基準を政令が定めています。
延長できるのは店が密集している地域だけ
風営法施行令9条1号イが、密度を数字で示しています。
店舗が多数集合しており、かつ、風俗営業、遊興飲食店営業……並びに深夜……において営まれる酒類提供飲食店営業及び興行場営業の営業所が一平方キロメートルにつきおおむね三百箇所以上の割合で設置されている地域
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令9条1号イ
1平方キロメートルにおおむね300か所以上という要件です。
繁華街の中心部でなければ満たしません。
同じ市内でも、駅前は延長できて2駅離れると延長できない、という差はここから生まれます。
住居が集まっている地域は指定できない
政令9条1号ロは、密度を満たしていても除外される地域を挙げています。
- 住居集合地域
- 住居と商業・工業が混在し、住居が相当数集合しているため深夜の風俗環境の保全に特に配慮を要する地域
- 上の2つに隣接する地域(幹線道路の各側端から外側おおむね50メートルを限度とする区域内を除く)
3つめの「隣接する地域」に注意してください。
自分の店の周りが商業地でも、隣が住宅地なら延長許容地域から外れることがあります。
特別な事情のある日だけ延ばす仕組みもある
13条1項ただし書は、2つの号に分けて日と地域を組み合わせています。
1号は「習俗的行事その他の特別な事情のある日」として条例が定める日で、地域も条例が定めます。
2号がふだんの日で、こちらが政令9条の基準にかかる営業延長許容地域です。
つまり年末年始や祭礼の日だけ別扱いになる地域がありえます。
自分の店がどちらに当たるかは所在地の条例で確認してください。
風営法の営業時間は逆に短くされることもある
13条2項は、延長とは反対方向の規定です。
都道府県は条例で地域を定めて、風俗営業の営業時間を制限できます。
ここにも政令10条が枠をはめています。
制限できる時間帯は決まっている
政令10条3号は、営業してはならない時間を指定できる範囲を地域の区分ごとに定めています。
| 地域 | 制限できる時間 |
|---|---|
| 住居集合地域(特別日の延長許容地域に当たるもの) | 午前6時後〜午前10時/午後11時〜翌日の午前0時前 |
| 住居集合地域(上記以外) | 午前6時後〜午前10時/午後11時〜翌日の午前0時前 |
| 住居と商業・工業が混在し早朝の配慮を要する地域 | 午前6時後〜午前10時 |
注目してほしいのは、どの区分にも「午前6時後から午前10時まで」が入っていることです。
0時から6時までの禁止が明けても、条例の指定があれば朝10時まで開けられません。
朝まで営業して片付けたあと、そのまま昼営業に移る形を考えているなら、ここを先に確認してください。
制限は地域と営業の種類ごとに指定される
政令10条1号は、制限を「地域及び風俗営業の種類ごとに」行うとしています。
同じ地域でも、1号営業とぱちんこ屋で扱いが違うことがあるということです。
条例を読むときは、地域だけでなく種別の行も確認してください。
風営法の営業時間を延ばすと義務が2つ増える
ここが実務でいちばん見落とされます。
13条3項と4項は、ただし書で延長営業をするときだけかかる義務を定めています。
延長できる地域だと分かって安心して終わりにすると、この2つが抜けます。
迷惑防止の措置は施行規則27条の5つ
13条3項が求める措置の中身は、施行規則27条1項が5つ挙げています。
- 周辺に迷惑を及ぼしてはならない旨を書面で掲示するか、客に交付する
- 同じ内容を口頭で説明するか、音声で知らせる
- 泥酔した客に酒類を提供しない
- 営業所内と周辺を定期的に巡視し、迷惑行為を行うおそれのある客の有無を確認する
- そうした客がいれば、取りやめるよう求める
3番目は延長営業をする店にだけかかる明文の義務です。
さらに27条2項が、これらの措置について従業員教育を行う義務を課しています。
教育は営業所の管理者に行わせてもかまいません(風俗営業の管理者)。
苦情処理簿は5項目・3年保存
13条4項は、営業所ごとに苦情の処理に関する帳簿を備え付けることを求めています。
記載事項は施行規則28条1項の5つです。
- 苦情を申し出た者の氏名と連絡先(明らかでない場合はその旨)および苦情の内容
- 原因究明の結果
- 苦情に対する弁明の内容
- 改善措置
- 苦情処理を担当した者
保存期間は最終の記載をした日から起算して3年間です(施行規則28条2項)。
従業者名簿の3年保存と期間は同じですが、起算点が違います(風営法の従業者名簿は退職日から起算)。
立入検査ではこうした備付け書類がそろっているかを見られます(風営法の立入検査)。
深夜酒類提供と特定遊興は営業時間の扱いが違う
13条は風俗営業者にかかる条文です。
接待をしない店は、そもそも13条の対象ではありません。
ここを取り違えると、開けられる時間の見立てが丸ごと変わります。
深夜酒類提供飲食店営業に時間の上限はない
33条1項の届出をした店は、深夜も営業できます。
そのかわり接待は一切できません。
接待をするなら3条1項の許可で13条1項の時間制限がかかり、深夜も開けたいなら届出で接待を捨てる、という二者択一になります。
何が接待に当たるかは風営法の接待にあたる行為で6類型ごとに整理しています。
条例で禁止地域を定められるが既存店には及ばない
33条4項は、都道府県が条例で地域を定めて深夜の酒類提供飲食店営業を禁止できるとしています。
政令27条1号により、指定できるのは住居集合地域内に限られます。
そして33条5項に既存店の扱いが書かれています。
前項の規定に基づく条例の規定は、その規定の施行又は適用の際現に第一項の届出書を提出して深夜において酒類提供飲食店営業を営んでいる者の当該営業については、適用しない。
風営法33条5項
条例ができる前から届出を出して営業していれば、その店には及びません。
特定遊興には13条1項が準用されない
特定遊興飲食店営業について準用される条文を並べているのが31条の23です。
そこには「第十三条(第一項を除く。)」と書かれています。
つまり0時から6時までの営業禁止はかかりません。
深夜に遊興させる営業のための許可なので、当然といえば当然ですが、条文で確かめておく価値があります。
そのかわり政令24条1号で、条例が午前5時から午前6時までの時間内、または深夜から引き続き午前6時後から午前10時までの時間内を営業禁止に指定できるとされています。
13条3項・4項は準用されるので、迷惑防止措置と苦情処理簿の義務はこちらにもあります(施行規則98条1項)。
風営法の営業時間と18歳未満の時間制限は別
店を開けられる時間と、18歳未満を働かせてよい時間は別の条文です。
しかも風営法と労働基準法で終わりの時刻が1時間ずれています。
両方かかるので、厳しいほうに合わせることになります。
風営法は22時から翌6時まで
22条1項4号は、営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間に18歳未満の者を客に接する業務に従事させることを禁じています。
3号は時間を問わず18歳未満に接待をさせることを禁じています。
32条3項により、この22条1項(3号を除く)は飲食店営業を営む者一般にも準用されます。
届出だけの店でも同じということです(風営法の18歳未満の制限)。
労働基準法は22時から翌5時まで
労基法61条1項は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間に使用してはならないと定めています。
風営法は翌6時まで、労基法は翌5時までで、終わりが1時間違います。
接客業・飲食店は労基法別表第一の十四号なので、61条4項の適用除外(六号・七号・十三号)には入りません。
労基法61条違反の罰金は、風営法4条1項2号トにより5年間の許可の欠格事由にもなります。
まとめ|風営法の営業時間で外さない点
最後に要点を並べます。
- 原則は0時〜6時の営業禁止(13条1項)。対象は3条1項の許可を受けた風俗営業者
- 13条に罰金刑はない。効くのは25条の指示と26条の営業停止・許可取消し。26条2項で飲食店営業も止まる
- 延長できるのは1平方キロメートルに約300店以上の密集地域だけ(政令9条1号イ)。住居集合地域とその隣接地は外れる
- 逆に朝10時まで開けられない地域もある(13条2項・政令10条3号)
- 延長するなら義務が2つ増える。施行規則27条の5つの措置+従業員教育と、苦情処理簿(5項目・最終記載から3年保存)
- 深夜酒類提供は時間制限なし・接待不可。条例の禁止地域は住居集合地域内に限られ、既存の届出店には及ばない
- 特定遊興は13条1項が準用されない(31条の23)。ただし13条3項・4項は準用される
- 18歳未満は風営法が翌6時、労基法が翌5時。1時間ずれている
延長できる地域かどうかは物件で決まってしまうので、契約前に所在地の条例を確認してください。
店で起きやすいトラブルを法令別に分けたものはスナック経営のトラブルにまとめています。
深夜の営業で問題になりやすい音の基準は風営法の騒音規制で扱っています。
接待をしない店の営業時間はガールズバーの営業時間で業態別に整理しています。
接待をする店の実務はスナックの営業時間で業態別に整理しました。
1時間延ばしたときに採算が合うかの計算はバー経営が難しい理由に載せました。
この記事は条文をもとにした一般的な整理です。
実際に何時まで営業できるかは所在地の条例で決まるため、所轄の警察署(生活安全課)に確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(13条・22条1項・25条・26条・31条の23・32条3項・33条・41条)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(9条・10条・24条・27条)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(27条・28条・98条)
- 労働基準法(61条・別表第一)

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