近隣から音の苦情が入ったが、何デシベルまでなら許されるのかが分からない。
条例を見に行っても、自分の店の地域と時間帯にどれが当たるのかで迷います。
条例が定められる上限は、政令が地域と時間帯ごとに9通りで決めています。
いちばん厳しい住居集合地域の深夜で45デシベルです。
そして測る場所と方法まで国家公安委員会規則が決めていて、営業所の境界線の外側で測定可能な直近の位置が基準です。
この記事では、数値・測り方・罰則の有無・届出だけの店への準用を条文で整理します。
読み終えたら、自分の店に当てはまる数値と、どこで測られるのかが分かります。
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風営法の騒音規制は条例の数値で決まる
根拠は風営法15条です。
条文自体に数値は書かれていません。
ここも営業時間や場所の制限と同じく、政令と条例に委ねられています。
15条が禁じているのは「営業活動に伴う」音
風俗営業者は、営業所周辺において、政令で定めるところにより、都道府県の条例で定める数値以上の騒音又は振動(人声その他その営業活動に伴う騒音又は振動に限る。)が生じないように、その営業を営まなければならない。
風営法15条
括弧書きに注目してください。
対象は人声その他その営業活動に伴う騒音又は振動に限られています。
店内の音楽やカラオケだけでなく、店の外で客が出す声も含まれる読み方になります。
0時以降まで営業を延長する店には、施行規則27条1項4号で周辺の定期巡視も義務づけられています(風営法の営業時間)。
風営法の騒音の数値は地域と時間で9通り
条例が定められる上限を、風営法施行令11条1項が表で示しています。
地域3区分×時間3区分の9通りです。
実際の数値は都道府県の条例で決まるので、これ以下になることはあっても超えることはありません。
政令11条1項の表
| 地域 | 昼間 | 夜間 | 深夜 |
|---|---|---|---|
| 住居集合地域その他特に静穏を保持する必要がある地域 | 55dB | 50dB | 45dB |
| 商店の集合している地域その他著しい騒音の発生を防止する必要がある地域 | 65dB | 60dB | 55dB |
| 上記以外の地域 | 60dB | 55dB | 50dB |
どの地域に当たるかも、都道府県の条例が定めます。
昼間・夜間・深夜の区切り
表の備考と法13条1項が時間帯を定義しています。
- 昼間:午前6時後から午後6時前まで
- 夜間:午後6時から翌日の午前0時前まで
- 深夜:午前0時から午前6時まで(法13条1項)
営業のピークにあたる夜間と深夜で、上限が5デシベルずつ下がっていきます。
振動は55デシベルまで
政令11条2項は、振動について地域も時間帯も分けていません。
条例が定められるのは55デシベルを超えない範囲とだけ書かれています。
重低音を出す店では、騒音とは別に振動でも見られることになります。
風営法の騒音はどこでどう測るか
ここがこの記事の核です。
測定方法は施行規則32条1項が細かく決めています。
「うるさい」という主観ではなく、条文どおりの測り方で判断されます。
測る場所は営業所の境界線の外側
規則32条1項は測定位置を、営業所の境界線の外側で測定可能な直近の位置としています。
苦情を言っている人の部屋の中ではありません。
店の出入口を出たすぐの場所、と考えると近くなります。
振動のほうは2項で、境界線の外側の緩衝物がなく表面が水平で堅い床または地面とされています。
5パーセント時間率騒音レベルで見る
測り方も指定されています。
- 計量法71条の条件に合格した騒音計を用いる
- 日本産業規格Z8731に定める騒音レベルの測定方法による
- 周波数重み付け特性はA特性、時間重み付け特性は速い動特性
- 5秒以内の一定時間間隔で50個以上の測定値をとり、その5パーセント時間率騒音レベルで判定する
5パーセント時間率騒音レベルは、測定値のうち上位5%にあたる値です。
つまり一瞬の最大値でも、平均値でもありません。
ドアの開閉で一度だけ大きな音が出たことより、繰り返し高い音が出ている状態のほうが数値に表れます。
風営法の騒音規制に罰則は置かれていない
罰則条文の49条から56条までを確認しました。
15条はどこにも出てきません。
営業時間の13条、料金表示の17条と同じ構造です。
効くのは25条の指示と26条の営業停止
25条は法令違反があったときの指示、26条1項は許可の取消しまたは6月を超えない範囲での営業停止です。
そして26条2項により、同じ施設で営む飲食店営業についても停止を命じられます。
罰金がないから軽いのではなく、店を開けられるかで効く義務です(風営法違反の一覧)。
騒音の苦情は帳簿に残す義務がある場合も
0時以降の延長営業をしている店は、施行規則28条の苦情処理簿に記載と3年保存の義務があります。
記載事項には原因究明の結果と改善措置が含まれます。
苦情への対応を記録として残す仕組みが、条文の側に用意されているということです。
風営法の騒音規制は届出だけの店にも準用される
15条は風俗営業者にかかる条文です。
しかし接待をしない店も対象外ではありません。
準用の規定があります。
深夜の飲食店営業には32条2項で準用
32条2項が、14条(照度)と15条(騒音・振動)を深夜において飲食店営業を営む者について準用しています。
数値の上限は政令26条により、11条1項の表の「深夜」の欄です。
つまり住居集合地域なら45デシベル、商店集合地域なら55デシベルが上限になります。
届出だけで営業している店も同じ数値で見られる、ということです(深夜酒類提供飲食店営業の届出)。
特定遊興飲食店営業も同じ深夜の数値
31条の23が15条を準用し、政令25条が数値の基準を定めています。
こちらも11条1項の表の深夜に係る数値が上限で、振動は55デシベルです。
測定方法は3つとも同じ規則32条が使われます。
まとめ|風営法の騒音で外さない点
最後に要点を並べます。
- 15条に数値はない。政令11条が条例の上限を決めている
- 対象は人声その他営業活動に伴う騒音・振動。店外の客の声も入る読み方
- 上限は地域3×時間3の9通り。最も厳しいのは住居集合地域の深夜で45デシベル
- 振動は地域も時間も分けず55デシベル
- 測る場所は営業所の境界線の外側で測定可能な直近の位置
- 判定は5秒以内・50個以上の測定値の5パーセント時間率騒音レベル。最大値でも平均値でもない
- 15条に罰則はない。25条の指示と26条の営業停止で効く
- 深夜の飲食店・特定遊興にも準用され、いずれも「深夜」の数値が上限
防音工事を検討する前に、自分の地域の条例の数値と、測定位置がどこになるかを確かめてください。
店で起きやすいトラブルを法令別に分けたものはスナック経営のトラブルにまとめています。
カラオケを置く場合の著作権使用料はスナックのカラオケと著作権で扱っています。
この記事は条文をもとにした一般的な整理です。
実際の数値と地域区分は所在地の条例で決まるため、所轄の警察署(生活安全課)に確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(13条・14条・15条・25条・26条・31条の23・32条)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(11条・25条・26条)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(27条・28条・32条)

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