歌っているのは客なのだから、著作権の話は店には関係ない。
カラオケを置いている店で、いちばん多い思い違いです。
客が歌っても、著作権の使用料を払うのは店です。
JASRACの使用料規程が「カラオケ伴奏による歌唱」を客の歌唱と定義しているためです。
金額は客席面積で決まり、10坪までの店なら月額3,500円です。
この記事では、払う根拠と、店の広さごとの金額を一次情報で整理します。
読み終えたら、自分の店の広さで月いくらかかるのかが分かります。
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スナックのカラオケに著作権使用料がかかる理由
根拠は著作権法22条です。
条文は一文で終わります。
著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
著作権法22条(上演権及び演奏権)
店で歌うことは「公に」演奏することになる
22条が括弧書きで定義しているとおり、「公に」とは公衆に直接見せたり聞かせたりすることを目的とする場合です。
店に来た不特定の客が聞いている状態は、ここに当たります。
自宅で1人で歌うのとは扱いが違うということです。
38条1項の例外は店には使えない
著作権法38条1項が例外を置いています。
公表された著作物は「営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合」には公に演奏できる、という規定です。
2つとも満たす必要があります。
飲食代をもらって営業している店は、どちらも満たしません。
「客が勝手に歌っている」は通らない
歌っているのは客であって店ではない、という理屈をよく聞きます。
ですがJASRACの使用料規程は、備考でこう定義しています。
カラオケ伴奏による歌唱とは、カラオケ設備により行う客の歌唱をいう。
JASRAC 使用料規程 第2章第1節8 社交場における演奏等(備考)⑤
規程がはじめから客の歌唱を対象にしていて、使用料を払う相手は設備を置いて営業している店です。
スナックのカラオケの使用料は客席面積で決まる
スナックは、規程の「社交場における演奏等」の区分1④に入ります。
規程は区分1④を「バー、スナック、居酒屋、レストランなど」と明記しています。
この区分でカラオケを置く場合、小規模な店には別の表が用意されています。
165平方メートルまでなら3段階
別表7の(2)が、客席面積165平方メートル(50坪)までの場所について、年間の包括的利用許諾契約を結ぶ場合の月額を定めています。
| 区分 | 客席面積 | 月額使用料 |
|---|---|---|
| 1 | 33.0㎡(10坪)まで | 3,500円 |
| 2 | 33.0㎡を超え66.0㎡(20坪)まで | 7,500円 |
| 3 | 66.0㎡を超え165.0㎡(50坪)まで | 12,000円 |
この金額に消費税相当額が加算されます。
規程は「当分の間」の扱いとしているので、改定の可能性がある前提で見てください。
客席面積には通路も入る
測り方は別表7(2)の注に書かれています。
客席面積とは「客に飲食もしくはダンスをさせ、又は歌唱させるために設けられた場所(客などが利用するための通路を含む)の面積を合算したもの」です。
カウンターの内側や厨房は入りませんが、席のあいだの通路は入ります。
10坪と20坪の境目にある店は、実測しておく価値があります。
舞台と司会を付けると別の表になる
同じ注に例外が書かれています。
「特別の舞台を設け、かつ、司会者の司会の下に客に歌唱を競わせるなど一定の目的をもって歌唱させる場合」は、別表7(1)が適用されます。
別表7(1)は座席数と標準単位料金で決まる表で、20席・標準単位料金2,000円までの区分でも月額9,000円です。
カラオケ大会のような催しを常設にすると、面積の特例から外れる読み方になります。
カラオケ以外の音楽にも別の使用料がかかる
規程は、音楽の使い方を分けて数えます。
カラオケを契約していれば店内の音楽が全部カバーされる、という作りではありません。
方法が2つ以上なら、原則として合算です。
生演奏とカラオケは別に数える
規程の備考②は、生演奏を「ピアノ、ギターなどの楽器を用いて行う演奏又は歌手などの歌唱」とし、ただしカラオケ伴奏による歌唱を含まないとしています。
ママが弾き語りをする日があるなら、そこは生演奏として別の計算になります。
備考21は、2つ以上の方法で利用する場合、原則として各利用方法ごとに算出した使用料を合算するとしています。
映像を流すとさらに加わる
備考⑨は、ビデオグラムの上映が行われる場合の使用料を定めています。
該当する別表の月額使用料の100分の60か、モニター1台あたり月額2,000円のいずれか少ない額です。
ただし歌唱の伴奏として流れる映像は、ここでいう上映に含まれません。
カラオケの画面そのものは、カラオケの使用料の側で見ます。
BGMは別の規定で扱う
備考③と⑥は、いずれも「第12節BGM規定の適用を受ける」ものを除いています。
開店前や客が少ない時間に流している音楽は、BGMの規定で別に見ることになります。
有線放送の業者と契約している場合、その契約に使用料が含まれていることがあります。
重複して払わないよう、契約書を確認してください。
カラオケの著作権使用料は経費になる
毎月の固定費として扱います。
10坪の店で月額3,500円なら、年間42,000円です。
カラオケ機器のリース料とは別に発生します。
機器のリース料に含まれる場合がある
業務用通信カラオケをリースしている場合、事業者が手続きをまとめていることがあります。
その場合、店が別途JASRACと契約する必要はありません。
どちらになっているかはリース契約書で確認してください。
中古機を自分で買った店や、リースを終えて使い続けている店は、契約が切れている可能性があります。
近隣からの音の苦情は別の問題なので、風営法の騒音規制とあわせて確認してください。
面積の線引きは制度ごとに違う
ここは混同しやすいところです。
JASRACの特例は客席面積165平方メートルまでで、区分の境目は33平方メートルと66平方メートルです。
一方、店内を喫煙可にできる既存特定飲食提供施設の基準は客席100平方メートル以下で、数字が違います。
喫煙側の要件は既存特定飲食提供施設の3要件にまとめました。
経費の科目や按分はスナック経営の経費一覧で扱っています。
機器のリース料と使用料は、開業資金ではなく毎月の固定費として置くものです。開ける前の見積もりはスナックの開業資金にまとめました。
まとめ:カラオケの著作権で押さえる4点
- 根拠:著作権法22条の演奏権。店で歌うことは「公に」演奏することに当たる
- 例外は使えない:38条1項は非営利かつ無料の両方が必要
- 払うのは店:規程が「カラオケ伴奏による歌唱=客の歌唱」と定義している
- 金額:客席33㎡までなら月3,500円、66㎡までなら7,500円、165㎡までなら12,000円
- 面積:通路を含めて合算する。舞台と司会を付けると別表7(1)になる
- 重複に注意:リース契約や有線放送の契約に含まれている場合がある
まずはリース契約書を出して、自分の店がどちらかを確かめるのが早いです。
開業まわりの手続き全体はスナック開業の手順にまとめています。
この記事は条文とJASRACの公表資料をもとにした一般的な整理です。
使用料の区分や金額は改定されることがあるため、契約前にJASRACの窓口で最新の規程を確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 著作権法(22条・38条)
- JASRAC 使用料規程 8 社交場における演奏等(区分1④・別表7)
- JASRAC 使用料規程(全文)

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