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既存特定飲食提供施設とは|飲食店が喫煙可にする3要件

既存特定飲食提供施設に当たる3つの要件と、喫煙可にする店がやる手続き

常連がタバコを吸える店にしたいが、いまから喫煙可にできるのかが分からない。

ここは「いつから営業しているか」で結論が変わります。

2020年4月1日の時点で営業していて、客席が100平方メートル以下の個人経営の店なら、店内を喫煙可にできます。

健康増進法の附則が「既存特定飲食提供施設」という経過措置を置いているためです。

ただし、標識の掲示・都道府県知事への届出・書類の備付けがセットで要ります。

そして20歳未満を店に入れられなくなります。

この記事では、3つの要件と、店がやることを条文で整理します。

読み終えたら、自分の店が経過措置を使えるかと、使うなら何を出すかが分かります。

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目次

既存特定飲食提供施設に当たる3つの要件

定義は健康増進法の一部を改正する法律の附則2条2項にあります。

飲食店のうち、括弧書きで除かれるものを外したものが該当します。

読み方を分けると3つです。

1つめ:2020年4月1日の時点で営業していたこと

条文は「この法律の施行の際現に存する第二種施設」と書いています。

全面施行は2020年4月1日なので、その時点で営業していた店だけが対象です。

これから開業する店は、この経過措置を使えません。

居抜きで引き継ぐ場合の扱いは所轄の保健所に確認してください。

2つめ:客席の床面積が100平方メートル以下

括弧書きが除いているのは「当該施設の客席の部分の床面積が百平方メートルを超えるもの」です。

店舗全体ではなく客席部分で測ります。

厨房・トイレ・控室は客席ではありません。

スナックやガールズバーの多くは、この条件で引っかかりません。

3つめ:大規模会社が営むものでないこと

除かれるのは、資本金または出資の総額が5,000万円を超える会社と、その系列です。

  • 大規模会社:資本金または出資の総額が5,000万円を超える会社
  • 系列その1:1つの大規模会社が発行済株式または出資の2分の1以上を持つ会社
  • 系列その2:大規模会社が3分の2以上を持つ会社

条文が「会社」と書いているので、個人経営の店はこの除外規定の対象になりません。

個人経営なら、あとの2つを満たせば該当します。

既存特定飲食提供施設は店の全部を喫煙可にできる

通常の飲食店(第二種施設)は、喫煙専用室を作らないと屋内で吸えません。

経過措置はここを読み替えます。

附則2条1項が、33条1項の「一部」を「全部又は一部」に、「喫煙専用室」を「喫煙可能室」に読み替えています。

全部を喫煙可にするなら排気設備は要らない

技術的基準は施行規則の附則2条1項にあります。

屋内の一部だけを喫煙可にする場合は、3つ全部を満たす必要があります。

  • 気流:出入口で室外から室内に流入する空気が0.2メートル毎秒以上
  • 区画:たばこの煙が流出しないよう壁・天井等で区画
  • 排気:たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されていること

一方、屋内の全部を喫煙可にする場合の基準は、室外が第二種施設等の屋内にあるときの区画だけです。

路面に面した独立の店舗で全部を喫煙可にするなら、気流や排気の設備投資は前提になりません。

複数階なら階ごとに分けられる

施行規則附則2条2項が、階で分ける場合を別に決めています。

喫煙できる階から、してはならない階に煙が流出しないよう壁・天井等で区画することなどが条件です。

2階建ての店で1階だけ喫煙可にする、という設計ができます。

喫煙可にする店が必ずやる4つの手続き

要件を満たしているだけでは足りません。

標識・届出・書類・広告の4つがセットになっています。

どれも過料の対象です。

標識は2枚。出入口と店の主たる出入口

読み替え後の33条2項で、喫煙可能室の出入口の見やすい箇所に喫煙可能室標識を掲示します。

記載事項は、そこが喫煙できる場所である旨と、20歳未満の立入りが禁止されている旨です。

さらに33条3項で、施設の主たる出入口に喫煙可能室設置施設標識を掲示します。

この3項の違反は、健康増進法76条2号で50万円以下の過料です。

都道府県知事への届出が要る

ここがいちばん見落とされます。

施行規則附則2条6項は、喫煙可能室を設置したときは速やかに、附則様式第一号により都道府県知事に届け出るとしています。

保健所を設置する市または特別区では、市長または区長が届出先です。

名称や所在地を変えたときは様式第一号の二、喫煙可をやめたときは様式第一号の三で届け出ます。

該当することを証明する書類を店に置く

附則2条3項が、既存特定飲食提供施設に該当することを証明する書類の備付けと保存を求めています。

中身は施行規則附則2条4項の2つです。

  • 床面積:客席部分の床面積に係る資料
  • 資本金:会社が営む場合は、資本金の額または出資の総額に係る資料

備え付けなかった場合は、附則2条8項1号で20万円以下の過料です。

広告にも喫煙可である旨を書く

附則2条4項は、営業について広告または宣伝をするときに、喫煙可能室設置施設である旨を明らかにすることを求めています。

施行規則附則2条5項は、その表示を「明瞭かつ正確に」としています。

看板やSNS、グルメサイトの掲載も対象になります。

広告には風営法16条の規制も別にかかるので、風営法の広告規制とあわせて確認してください。

喫煙可にすると20歳未満を店に入れられない

この記事でいちばん実務に効くのがここです。

読み替え後の33条5項は、20歳未満の者を喫煙可能室に立ち入らせてはならないとしています。

客だけの話ではありません。

19歳のスタッフを働かせられなくなる

条文は「立ち入らせてはならない」であって、客に限っていません。

店の全部を喫煙可能室にした場合、20歳未満のスタッフは働けなくなります。

風営法22条1項3号の「18歳未満」とは線が違うので、混同しないでください。

風営法側の年齢制限は風営法と18歳未満で扱っています。

18歳と19歳を採るなら店の一部に絞る

18歳・19歳を雇いたいなら、全部ではなく一部だけを喫煙可にする設計になります。

ただしその場合は、気流0.2メートル毎秒以上と排気の基準がかかります。

採用の方針と店内の設計は、セットで決めることになります。

採用時に確認する書類は従業者名簿テンプレートで扱っています。

立入検査と、いつか終わる経過措置

附則2条5項で、都道府県知事は報告を求め、立ち入って帳簿・書類を検査できます。

拒んだり虚偽の報告をしたりすると、附則2条8項2号で20万円以下の過料です。

そして附則2条1項は、この特例を「別に法律で定める日までの間」としています。

期限が決まっているわけではありませんが、恒久の制度ではありません。

まとめ:既存特定飲食提供施設は要件と手続きがセット

  • 3要件:2020年4月1日時点で営業/客席100平方メートル以下/大規模会社が営むものでない
  • 個人経営:条文が「会社」と書いているので資本金の除外は働かない
  • 全部を喫煙可にするなら、独立店舗では気流・排気の基準がかからない
  • 標識2枚:喫煙可能室標識と喫煙可能室設置施設標識。後者の未掲示は50万円以下の過料
  • 届出:設置したら速やかに附則様式第一号で都道府県知事へ
  • 書類:客席の床面積の資料を店に備える。未備付けは20万円以下の過料
  • 20歳未満:全部を喫煙可にすると、客もスタッフも立ち入れない

採用の年齢と店内の設計が連動するので、先に決めておくほうが早いです。

開業まわりの手続き全体はスナック開業の手順にまとめています。

この記事は条文をもとにした一般的な整理です。

該当するかどうかや届出の様式は自治体によって案内が異なるため、具体的な扱いは所轄の保健所に確認してください。

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