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風営法の広告規制|指名数・売上額の強調が対象に

風営法16条の広告規制で対象になる表示と、対象にならない店名・料金の表示

「今月の指名No.1」「売上1,000万円達成」とSNSに上げている。

集客のつもりでやっていることが、規制の対象に入りました。

接客従業者の指名数や売上額を殊更に強調する広告は、風営法16条の規制対象になりました。

条文が変わったのではありません。

2025年改正で新設された18条の3の趣旨に鑑みて、警察庁の解釈運用基準が16条の解釈にそう書き足しました。

現行版は令和8年7月1日付で、それ以前の通達を引いている解説は古い内容です。

この記事では、対象になるものとならないもの、違反したときに何が起きるかを整理します。

読み終えたら、いま出している投稿や店頭の掲示のどれを下げるべきかが判断できます。

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目次

風営法の広告規制は16条の一文しかない

まず条文を確認します。

キャバクラ・ホストクラブ・スナックなどの風俗営業について、広告を正面から規制しているのは16条だけです。

その16条は、次の一文で終わっています。

風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。

風営法16条(広告及び宣伝の規制)

中身は通達を読まないと分からない

「清浄な風俗環境を害するおそれのある方法」が何を指すかは、条文からは読み取れません。

解釈を示しているのが警察庁の解釈運用基準です。

現行は令和8年7月1日付(警察庁丙保発第3号ほか)で、それ以前の通達は廃止されています。

広告の話は第17の5にあります。

16条そのものに罰則は無い

先に押さえておくと、16条に違反しても直接の刑事罰はありません。

風営法で罰則が無い条文は13条・15条・16条・17条・18条・18条の2・18条の3の7つです。

ただし後で見るとおり、効いてくるのは営業停止のほうです。

違反全体の見取り図は風営法違反の罰則にまとめています。

指名数・売上額の強調が広告規制の対象に入った

ここが2025年改正のあとで変わった部分です。

解釈運用基準 第17の5(2)イは、従来からの卑わいな描写などに続けて、新しい類型を並べています。

根拠にしているのは18条の3の趣旨です。

通達の書きぶりをそのまま読む

客が接待により作出された歓楽的雰囲気の影響下にあることに乗じて遊興又は飲食をさせ、不当な不利益を生じさせることを防止するという法第18条の3の趣旨に鑑みると、接客従業者の指名数、売上額等の営業成績や役職を殊更に強調するなど著しく客の遊興若しくは飲食をする意欲をそそり、又は接客従業者間に過度な競争意識を生じさせ、営業に関する違法行為を助長するような歓楽的・享楽的雰囲気を過度に醸し出すものも規制の対象となる。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準 第17の5(2)イ(令和8年7月1日付)

「ナンバーワン」「年間売上◯億」といった表示が、ここに直接あたります。

役職を強調するものも並べられているので、肩書きを大きく打ち出す手法も同じ枠です。

見られているのは客と従業者の両方

この一文には理由が2つ書き込まれています。

1つは「著しく客の遊興若しくは飲食をする意欲をそそり」で、客に向けた影響です。

もう1つは「接客従業者間に過度な競争意識を生じさせ、営業に関する違法行為を助長する」で、店の中に向けた影響です。

客向けの広告だけでなく、店内やSNSでの売上ランキングの見せ方も同じ理屈で読まれることになります。

18条の3の中身も確認しておく

広告の判断が18条の3の趣旨から導かれているので、本体も見ておきます。

  • 1号:17条の料金について事実に相違する説明、または客を誤認させるような説明をすること
  • 2号:客が恋愛感情等を相互に抱いていると誤信しているのに乗じて困惑させ、遊興・飲食をさせること
  • 3号:客が注文等をする前に遊興・飲食を提供して困惑させ、それによって遊興・飲食をさせること

対象は2条1項1号の営業、つまり接待をする営業に限られています。

接待に当たるかどうかの線引きは風営法の接待で6類型に分けて整理しました。

風営法の広告規制の対象にならないもの

通達は、規制されないものも同じ段落で明示しています。

ここを読まずに「派手な看板はすべてだめ」と考えると、必要以上に縮こまることになります。

書かれているのは3つです。

店名と料金だけの表示は対象外

なお、単に店名及び料金のみを表示する広告・宣伝、単に色彩が派手である広告・宣伝等は、清浄な風俗環境を害するおそれがあると認められる場合を除き、規制の対象とならない。また、建物の外観は、それが広告又は宣伝に当たるものと解されない限り、本条による規制の対象となるものではない。

解釈運用基準 第17の5(2)イ

店名と料金だけの看板、色が派手なだけの看板、そして建物の外観の3つです。

料金を明示すること自体は、17条の表示義務の側からも求められています。

料金表示の要件は風営法の料金表示で扱っています。

規制されるのは公衆の目に触れやすいもの

通達 第17の5(1)アは、憲法上の表現の自由と営業の自由に触れたうえで、規制する範囲を絞っています。

視覚に訴える広告については「公衆の目に触れやすいものの規制に限る」としています。

公道や駅前広場のように多数が通行する場所なら、付近(数メートル程度離れた場所)にいる人間に判別できる程度のものが対象です。

プラカードのように広告物自体を動かす場合は、すぐ近くで判別できれば足りるとされています。

ビラは大きさを問わない

同じ箇所に例外が書かれています。

「ビラ配り等公衆の各人に手渡す場合は、ビラ等の大きさを問わない」とされています。

手渡しなら小さくても対象になるということです。

聴覚に訴える広告は、通常周囲の騒音との関係で、付近にいる公衆が聞くことのできる程度のものが対象とされています。

広告規制に違反したときに効くのは営業停止

16条に罰則が無いことは先に書きました。

ではどうやって実効性が担保されているかというと、26条の行政処分です。

ここが罰金より重くなる場合があります。

許可の取消しか、6月以内の停止

26条1項は、風俗営業者が当該営業に関し法令の規定に違反した場合に、著しく善良の風俗・清浄な風俗環境を害するおそれなどがあると認めるときの処分を定めています。

公安委員会は、許可を取り消すか、6月を超えない範囲内で期間を定めて営業の全部または一部の停止を命じることができます。

罰金と違い、営業そのものが止まります。

飲食店営業も一緒に止められる

見落とされやすいのが26条2項です。

風俗営業の許可を取り消し、または停止を命じるときは、同じ施設を用いて営む飲食店営業についても停止を命じることができると定めています。

期間は6月(停止のときはその停止期間)を超えない範囲です。

「接待をやめて深夜の飲食店として続ける」という逃げ道を塞ぐ作りになっています。

風俗営業は届出が無くても広告自体はできる

最後に、混同されやすい点を分けておきます。

性風俗関連の営業には、広告そのものを全面的に禁じる条文があります。

風俗営業にはそれがありません。

27条の2・31条の2の2との違い

27条の2は店舗型性風俗特殊営業について、届出書を提出していない者が広告または宣伝をすることを禁じています。

31条の2の2が無店舗型について同じ規定を置いています。

通達は、ここでいう広告・宣伝に新聞、雑誌、インターネット等を利用して行うものも全て含まれるとしています。

風俗営業にはこの入口の禁止が無いので、規制は方法と内容にかかる16条だけということになります。

届出だけの店に16条が準用されていない根拠は32条2項にあります。準用の範囲と、それでも及ぶ処分はバーの集客で先に見る数字にまとめました。

まとめ:風営法の広告規制で押さえる3点

  • 条文:16条の一文だけ。中身は令和8年7月1日付の解釈運用基準で決まる
  • 新しく入ったもの:指名数・売上額等の営業成績や役職を殊更に強調する表示
  • 理由の片方は店内:接客従業者間に過度な競争意識を生じさせるかも見られる
  • 対象外:店名と料金だけの表示、色が派手なだけのもの、建物の外観
  • 範囲:公衆の目に触れやすいもの。ただし手渡しのビラは大きさを問わない
  • 効くのは処分:16条に罰則は無いが、26条で許可取消しか6月以内の停止。飲食店営業も止まる

看板やSNSを作り直す前に、通達の現行版を一度開いて確認してください。

2025年改正の全体像は風営法改正のポイントにまとめています。

喫煙可の店は広告にその旨を明示する義務もあります(既存特定飲食提供施設の3要件)。

この記事は条文と警察庁の公表資料をもとにした一般的な整理です。

個別の表示が規制に当たるかは事情によって結論が変わるため、具体的な判断は所轄の警察署に確認してください。

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