朝5時まで開けている店で、深夜手当を何時から何時まで数えればいいのか毎回迷う。
日付をまたぐ勤務があると、時間帯の話だけでは足りません。
深夜手当が付くのは22時から翌朝5時までで、日付が変わっても勤務は始めた日の労働として通しで数えます。
この時間帯に働いた分は、通常の賃金に25%以上を上乗せして払う決まりです(労働基準法37条4項)。
朝まで開けている店だと、どの日の労働として数えるのかで結論が変わります。
この記事では、時間帯の根拠と、日またぎのシフトをどう数えるのかを条文で整理します。
読み終えたら、20時から翌5時のような勤務でも、深夜の時間数を正しく切り出せます。
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深夜手当は何時から何時まで?22時から翌5時
時間帯ごとに整理すると次のようになります。

深夜かどうかは時計の針だけで決まり、その人が正社員かアルバイトか、契約がどうなっているかは関係ありません。
| 時間帯 | 深夜手当 |
|---|---|
| 〜21:59 | つかない |
| 22:00 〜 翌4:59 | つく(25%以上の割増) |
| 翌5:00〜 | つかない |
「何時まで」は翌朝5時。6時ではない
ここを6時と覚えている人がときどきいます。
混ざりやすいのは、風営法のほうが「22時から翌6時」で線を引いているからです。
深夜手当の話は労働基準法なので5時までです。
この1時間のズレは、朝まで営業する店では実際に効いてきます。
あとの「18歳未満」のところで詳しく書きます。
22時をまたぐシフトは、またいだ分だけ対象になる
18時から23時までの勤務なら、深夜手当が付くのは22時から23時までの1時間だけです。
勤務全体が割増になるわけではありません。
逆に21時上がりなら1分も付きません。
| 勤務 | 労働時間 | うち深夜 |
|---|---|---|
| 18:00 → 23:00 | 5時間 | 1時間 |
| 20:00 → 翌2:00 | 6時間 | 4時間 |
| 21:00 → 翌5:00(休憩60分) | 7時間 | 7時間 |
| 翌0:00 → 翌8:00(休憩60分) | 7時間 | 5時間 |
自分のシフトで何時間が深夜に当たるかは、深夜手当の計算ツールに出退勤の時刻を入れれば1分単位で出ます。
深夜手当が22時からになる根拠(労基法37条4項)
時間帯を決めているのは、労働基準法37条4項です。
会社の就業規則ではなく法律が直接決めているので、「うちは0時からにしている」という取り決めがあっても、22時からの分は払う必要があります。
使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
労働基準法 第37条4項
ちなみに労働基準法の条文に「深夜手当」という言葉は出てきません。
法律上の呼び方は「割増賃金」です。
給与明細での名前は店ごとに違っていて構いませんが、名前が何であれ払う義務は変わりません。
割増率と計算方法は深夜手当とは?割増率25%と計算方法で解説しています。
23時から翌6時になる例外も条文にある
括弧書きのとおり、厚生労働大臣が必要と認めて地域や期間を定めた場合は「23時から翌6時」にずれます。
ただしこれは条文上の可能性の話で、通常の営業で当てはまることはまず考えなくて構いません。
実務では22時から翌5時で計算してください。
朝までの店で深夜手当を数えるときの日の区切り
ここが夜の店でいちばん間違えるところです。
20時に入って翌朝9時に上がった勤務を、多くの人は「月曜に4時間、火曜に9時間」と分けて考えます。
この分け方は認められていません。
また、1日とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいうものであり、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とすること。
昭和63年1月1日 基発1号(徳島労働局「労働時間について」より)
20時から翌9時は始業した日の12時間労働になる
月曜20時から火曜9時までなら、休憩1時間を引いて月曜1日の勤務として12時間労働です。
火曜には1分も付きません。
日をまたいだからといって、そこで勤務が切れるわけではないということです。
深夜の時間数の数え方は変わりません。
この例なら22時から翌5時までの7時間が深夜です。
変わるのは「どの日の労働時間として積むか」のほうです。
8時間を超えたかどうかも始業した日で見る
影響が出るのはここです。
1日8時間を超えた分には時間外の割増が付きます(労働基準法32条2項・37条1項)。
勤務を2日に分けて数えると、どちらも8時間以下に見えてしまい、本来払うべき時間外の割増が消えます。
さきほどの12時間の例なら、8時間を超えた4時間が時間外です。
そのうち深夜と重なっている分は時間外の25%と深夜の25%が足されて1.5倍になります(労働基準法施行規則20条1項)。
掛け算ではなく足し算です。
この重なりまで含めた金額は深夜手当の計算ツールが内訳を分けて出します。
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深夜手当と夜勤手当は同じではない
求人票で「夜勤手当あり」と書かれていても、それが深夜手当を満たしているとは限りません。
「夜勤手当」は法律用語ではなく、店や会社が独自に決めている名前だからです。
| 深夜手当(割増賃金) | 夜勤手当 | |
|---|---|---|
| 決めているもの | 労働基準法37条4項 | 店・会社の規則 |
| 時間帯 | 22:00〜翌5:00で固定 | 店ごとに違う |
| 金額 | 時給の25%以上 | 店ごとに違う(定額のことも) |
| 払わなかったら | 法律違反 | 規則の問題 |
夜勤手当を定額1,000円で払っている店は珍しくありませんが、計算した深夜割増が1,000円を超えるなら、その差額を払う必要があります。
定額にすること自体は問題ではなく、法定額を下回るのが問題です。
18歳未満は深夜手当より前に確認することがある
ここはオーナー向けです。
18歳未満については、割増を払えばいいという話ではなく、そもそも深夜に働かせること自体が禁止されています。
労働基準法と風営法の両方から制限がかかります。
労働基準法は22時から5時まで(61条)
使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。
労働基準法 第61条1項
61条4項には適用除外の定めもありますが、対象は農林・水産・保健衛生の事業です。
飲食店・接客業は別表第一の十四号で、この除外に入っていません。
スナックやバーにはそのまま適用されると読むのが素直です。
風営法は22時から翌6時まで(22条・32条)
風営法はさらに1時間長く線を引いています。
22時から翌6時までは、18歳未満を客に接する業務に就かせられません(22条1項4号)。
この4号は、許可のない飲食店にも法32条3項で準用されます。
接待そのものの禁止や、年齢を知らなかったでは済まない理由は風営法で18歳未満は雇えるかにまとめました。
労基法61条に違反して罰金を受けると、風営法の欠格事由に当たり、5年間は管理者にも許可の申請者にもなれません。
この連鎖は風俗営業の管理者で条文をたどりました。
接待をしない深夜酒類提供飲食店にも、32条3項によって同じ規定が準用されます。
| 根拠 | 制限される時間帯 | 内容 |
|---|---|---|
| 労働基準法61条1項 | 22:00〜翌5:00 | 18歳未満を使用してはならない |
| 風営法22条1項4号 | 22:00〜翌6:00 | 18歳未満を客に接する業務に就かせてはならない |
| 風営法22条1項3号 | 時間帯を問わず | 18歳未満に客の接待をさせてはならない |
| 風営法22条1項6号 | 時間帯を問わず | 20歳未満に酒類・たばこを提供してはならない |
5時になったから戻していい、とはなりません。
労基法の深夜が明ける5時と、風営法の制限が明ける6時のあいだに1時間の空きがあります。
営業時間そのものにも、風営法の側から別の制限がかかります。
接待をする店が原則0時までになる理由は風営法の接待とはで整理しました。
営業できる時間そのものの線引きは深夜酒類提供飲食店営業の届出で整理しています。
開業まわりの許可・届出はスナック開業の手順に、人を雇うときの手続きは個人事業主が従業員を雇うときにまとめています。
年齢の確認は採用時に必ず記録として残してください。
個別の事情で判断が変わるところなので、迷ったら所轄の警察署と労働基準監督署に確認してください。
まとめ|深夜手当は何時から何時までか
- 22時から翌朝5時まで。6時ではありません(労働基準法37条4項)
- またいだ分だけが対象。18時〜23時なら、割増が付くのは22時以降の1時間だけです
- 日をまたぐ勤務は、始業した日の労働としてまとめて数えます(基発1号)。2日に分けられません
- 8時間超の判定も始業した日で見る。分けて数えると時間外の割増が消えてしまいます
- 「夜勤手当」は法律用語ではありません。定額でも、法定の深夜割増を下回るなら差額が要ります
- 18歳未満は労基法で5時まで、風営法で6時まで働かせられません。1時間ずれています
営業形態で深夜割増の負担がどれだけ変わるかはガールズバーの営業時間で試算しました。
深夜業の回数は健康診断の要否も決めます(深夜業の健康診断)。
深夜割増が店の損益にどう効くかはバー経営が難しい理由で実額にしています。
この記事は一般的な整理です。
実際の賃金の支払いや、年齢による制限の判断は、社会保険労務士・所轄の労働基準監督署・所轄警察署に確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 労働基準法(32条・37条1項/4項・61条・別表第一)
- 労働基準法施行規則(20条1項)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(22条1項・32条3項)
- 厚生労働省「アルバイトで18時から23時まで働いています。深夜は割増になると聞きました」
- 徳島労働局「労働時間について〜適正な把握と管理のために〜」(昭和63年1月1日基発1号の内容・PDF)

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