人を入れたときに使える助成金を調べたら、風俗営業は対象外と書いてあって諦めた。
ここは業態をひとまとめにした説明が多く、正確に読むと結論が変わります。
不支給の対象になっているのは「接待飲食等営業」で、接待をしていない店は当たりません。
厚生労働省の雇用関係助成金支給要領が、風俗営業等関係事業主を不支給要件に挙げています。
ただし、要領には例外も書かれています。
この記事では、要領の条文を読んで、使えるものと使えないものを分けます。
読み終えたら、自分の店が不支給要件に当たるのかどうかを、要領のどこを見て判断すればいいかが分かります。
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風俗営業が助成金を受けられない根拠
根拠は法律ではなく、厚生労働省の支給要領です。
「雇用関係助成金支給要領」の0302が不支給要件を定めていて、そのニが風俗営業等関係事業主等です。
要領は1,500ページを超える文書ですが、この部分は冒頭近くにあります。
不支給要件は2つに分かれている
ニは(イ)と(ロ)の2つの型で書かれています。
- (イ):接待業務などに従事する人を対象労働者として、特定の2つの助成金を受けようとする場合
- (ロ):接待飲食等営業などを行う事業主が、(イ)以外の助成金を受けようとする場合
(イ)は「誰を対象労働者にするか」で決まり、(ロ)は「どんな営業をしているか」で決まります。
雇い入れの前提になる就業規則については就業規則は10人未満でも必要かにまとめました。
キャリアアップ助成金は(ロ)のほうに入ります。
対象は「2条1項1号に該当するもの」に限られる
ここが分かれ目です。
要領は対象を「風営法2条4項に規定する接待飲食等営業(同条1項1号に該当するものに限る)」と書いています。
2条1項1号は、接待をして飲食させる営業です。
つまり接待をしていない深夜酒類提供飲食店は、この不支給要件に当たりません。
接待に当たるかどうかの線引きは風営法の接待で6類型に分けて整理しました。
接客業務受託営業も対象に入っている
(ロ)が挙げているのは3つです。
接待飲食等営業、性風俗関連特殊営業、そして風営法2条13項の接客業務受託営業です。
キャストの派遣を受託している会社も対象になるという書き方です。
要領は、業務に従事する人が受託者と店の双方の指揮命令を受ける場合も含むと括弧書きで明記しています。
雇用関係助成金で例外になる3つの場合
(ロ)には「ただし」以下があります。
接待をしている店でも、この3つに当たれば助成金を受けられます。
一般の助成金の解説記事には、まず書かれていない部分です。
雇用調整助成金は受けられる
1つめは雇用調整助成金です。
要領は、接待飲食等営業または接客業務受託営業を行う事業主が雇用調整助成金の支給を受けようとする場合を除くとしています。
休業などで雇用を維持するための助成金なので、営業の種類で切らないという扱いです。
許可はあるが接待をしていない場合
2つめが「接待飲食等営業であって許可を得ているのみで接待営業が行われていない場合」です。
許可を取ったまま接待をやめている店が想定されています。
実態で判断されるので、営業の中身を説明できる資料を用意しておくことになります。
接待営業が事業全体の一部である場合
3つめが「接待営業の規模が事業全体の一部である場合」です。
飲食店を何店舗か営んでいて、そのうち1店だけが接待を伴う、という形が当たります。
「一部」がどこまでかは要領に数値がないので、労働局への確認が要ります。
接待業務に就かない人なら受けられる助成金
(イ)のほうは、対象労働者の業務で決まります。
ここには、はっきりした「したがって」の一文が入っています。
読めば使える場面が見えます。
事務・清掃・送迎運転・調理は除かれる
したがって、次のa及びbの助成金について、①~③以外の業務(事務、清掃、送迎運転、調理など)に従事する者を対象労働者として助成金の支給を受けようとする事業主等は除く。
雇用関係助成金支給要領 0302 ニ(イ)
①〜③は、接待業務、異性の客に接触する役務に係る業務、性的な行為を表す場面などを見せる業務の3つです。
調理場のスタッフや送迎ドライバーを雇い入れる場合は、接待をしている店でも対象になり得ます。
対象になる助成金は2つだけ
ただしこの例外が効くのは、要領がaとbで挙げている2つの助成金に限られます。
- a:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コースなど)
- b:トライアル雇用助成金(一般トライアルコースなど)
どちらも「雇い入れ」に対する助成金です。
キャリアアップ助成金は(ロ)の側なので、業務の内容では判定されません。
整理すると4つのパターンになる
| 店の状況 | 特定求職者雇用開発/トライアル雇用 | キャリアアップ助成金など |
|---|---|---|
| 接待をしていない(深夜酒類提供) | 対象 | 対象 |
| 接待あり・調理や送迎の人を雇う | 対象 | 対象外 |
| 接待あり・接客の人を雇う | 対象外 | 対象外 |
| 接待あり・雇用調整助成金 | ― | 対象 |
最終的な判断は労働局が行うので、着手前に必ず確認してください。
助成金の申請で風俗営業かどうかを確認される方法
要領には確認の手順も書かれています。
申立てだけで済むわけではありません。
複数の経路で突き合わされます。
支給要件確認申立書と登記情報で照合される
要領が挙げているのは、支給要件確認申立書(様式第1号)、ハローワークシステム、法人ベース・レジストリ、登記情報連携システムです。
さらに必要に応じて、定款・開廃業届・会社概要パンフレット等で事業内容が確認されます。
定款の目的に接待を伴う営業が書かれていれば、そこから確認されることになります。
なお要領は、登記情報連携システムについて令和8年中に廃止予定と注記しています。
労働関係法令の違反でも不支給になる
同じ0302のハが、労働関係法令の違反を不支給要件にしています。
ただし「違反を行った」とされるのは送検された場合に限られると要領が定義しています。
期間は支給申請日の前日から起算して1年前の日から、支給申請日の前日までです。
ロには労働保険料の未納も挙がっているので、申請前に納付状況を確認しておいてください。
労働保険の手続きそのものは業務委託キャストの労災で扱っています。
まとめ:風俗営業と助成金は接待の有無で分かれる
- 根拠:雇用関係助成金支給要領 0302 ニ。法律ではなく厚生労働省の要領
- 対象:風営法2条1項1号に該当する接待飲食等営業に限られる
- 接待なし:深夜酒類提供飲食店は不支給要件に当たらない
- 例外3つ:雇用調整助成金/許可のみで接待をしていない/接待が事業の一部
- 業務での例外:事務・清掃・送迎運転・調理なら、雇い入れ系の2つは対象になり得る
- 確認:申立書に加えて定款・開廃業届まで見られる
接待をするかしないかは、営業時間や許可だけでなく、助成金にまで効いてきます。
許可と届出の選び方は風営法の許可にまとめています。
この記事は厚生労働省の公表資料と条文をもとにした一般的な整理です。
支給の可否は事業の実態によって結論が変わるため、申請前に管轄の労働局またはハローワークに確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 厚生労働省 雇用関係助成金支給要領(0302 不支給要件・0501 確認)
- 厚生労働省 雇用関係助成金支給要領(掲載ページ)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(2条1項1号・2条4項・2条13項)

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