カウンターの奥にパーテーションを1枚足すだけなら、届出も要らないだろう。
改装のときに、いちばん軽く考えられている部分です。
内装をいじるときに承認が要るかどうかは、内閣府令の「軽微な変更」を裏返して読むと分かります。
条文は「次に掲げる変更以外の変更」を軽微としているので、そこに並んだ4つに当たれば承認が必要という作りです。
並んでいるのは、大規模の修繕・模様替、客室の位置と数と床面積、内部を仕切る設備、そして営業の方法に係る変更です。
パーテーションを1枚足すだけでも3つめに当たります。
この記事では、承認が要る変更と届出で済む変更の線引き、深夜酒類提供の店との違い、そして無承認でやったときの罰則を条文で整理します。
読み終えたら、これからやる改装が承認待ちになるのか届出で済むのかを、発注前に判断できます。
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風営法の変更承認は「あらかじめ」受ける
まず根拠と手順を確認します。
法9条1項が、構造や設備を変えるときの手続きを定めています。
効いているのは「あらかじめ」という言葉です。
工事のあとでは間に合わない
風俗営業者は、増築、改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならない。
風営法 第9条1項
変更しようとするときに、先に承認を受ける仕組みです。
工事が終わってから申請する形は想定されていません。
承認には図面の提出と実査が伴うので、着工日から逆算して余裕を持って動く必要があります。
基準に適合していれば承認される
承認そのものは、公安委員会の裁量で自由に決められるものではありません。
法9条2項は、変更後の構造・設備が技術上の基準と許可の条件に適合していると認めるときは、承認をしなければならないとしています。
基準を満たす設計にできていれば通る、という前提で準備してください。
申請には手数料がかかります。
地方公共団体の手数料の標準に関する政令の別表は、営業所の構造又は設備の変更の承認の申請に対する審査を9,900円としています。
許可証の記載事項が変わる場合は、書換えに1,500円、再交付に1,200円が別に必要です。
変更承認が要るかは「軽微な変更」の裏返しで決まる
ここがこの記事の本題です。
法9条1項は軽微な変更を除いているので、軽微でなければ承認が要ります。
その軽微な変更を定めているのが内閣府令2条です。
内閣府令2条は除外リスト方式
法第九条第一項の内閣府令で定める軽微な変更は、営業所の構造及び設備に係る変更のうち、次に掲げる変更以外の変更とする。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令 第2条
一 建築基準法第二条第十四号に規定する大規模の修繕又は同条第十五号に規定する大規模の模様替に該当する変更
二 客室の位置、数又は床面積の変更
三 壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更
四 営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更
読み方に注意してください。
1号から4号が軽微なのではなく、1号から4号「以外」が軽微です。
つまりここに並んだ4つに当たれば、軽微ではないので承認が必要になります。
パーテーション1枚でも3号に当たる
実務でいちばん引っかかるのが3号です。
「壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備」とあるので、間仕切りに使うものが広く入ります。
ボックス席を区切るパーテーションや衝立を足す、位置を変える、外す。
いずれも仕切るための設備の変更なので、軽微には当たりません。
風俗営業では客室の見通しが基準に含まれるため、仕切りの増減が重く扱われる、という背景があります。
承認が要る変更と、届出で済む変更
軽微な変更をしたときは、何もしなくてよいわけではありません。
法9条3項2号が、軽微な変更をしたときの届出を定めています。
| 変更の内容 | 手続き |
|---|---|
| 大規模の修繕・大規模の模様替 | 事前に承認(法9条1項) |
| 客室の位置・数・床面積の変更 | 事前に承認 |
| 壁・ふすま等の仕切り設備の変更 | 事前に承認 |
| 営業の方法の変更に係る構造・設備の変更 | 事前に承認 |
| 上記以外(軽微な変更) | 変更後に届出(法9条3項2号) |
| 氏名・営業所の名称などの変更 | 届出(法9条3項1号)。許可証の書換えが要る場合あり(同条4項) |
許可証の記載事項に当たる変更をしたときは、書換えも受ける必要があります。
深夜酒類提供の店は変更承認ではなく届出
接待をせず、届出だけで深夜営業している店は扱いが違います。
法9条は風俗営業者の規定なので、届出の店には適用されません。
代わりに法33条2項が、変更があったときの届出書の提出を定めています。
照明を変えただけでも届出が要る
こちらの「軽微な変更」は内閣府令22条にあり、中身が少し違います。
法第三十三条第二項の内閣府令で定める軽微な変更は、営業所の構造及び設備に係る変更のうち、次に掲げる変更以外の変更とする。
内閣府令 第22条
一 ……大規模の修繕又は……大規模の模様替に該当する変更
二 客室の位置、数又は床面積の変更
三 壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更
四 照明設備の変更
五 音響設備又は防音設備の変更
4号と5号が追加されています。
深夜酒類提供の店では、照明器具を入れ替えただけでも軽微ではなくなります。
照度が基準を下回ると営業の前提が崩れるので、照明が名指しされているわけです。
カラオケ機器の入れ替えも音響設備の変更に当たりえます。
届出の基本的な流れは深夜酒類提供飲食店営業の届出にまとめています。
風営法の変更承認を受けずに工事したときの罰則
承認を受けずに変更した場合の扱いも決まっています。
届出漏れより重い罰則が用意されています。
根拠は法51条1項1号です。
1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
風営法 第51条
一 第九条第一項……の規定に違反して第九条第一項の承認を受けないで営業所の構造又は設備……の変更をしたとき。
同じ51条の2号は、偽りその他不正の手段で承認を受けた場合です。
図面と実際の内装が違う状態も、ここに近づきます。
営業停止の対象にもなる
罰金とは別に、行政処分もあります。
法26条1項は、法令に違反した場合に許可の取消しか6月を超えない範囲の営業停止を命じることができるとしています。
内装を変えたあとの立入りで図面との食い違いが見つかる、という形で発覚することが多い部分です。
立入りで何を見られるかは風営法の立入検査で扱っています。
まとめ|風営法の変更承認で外さない点
この記事の要点をまとめます。
- 承認は「あらかじめ」。工事のあとに出す形にはなっていない(法9条1項)
- 軽微な変更は除外リスト方式。内閣府令2条の1〜4号「以外」が軽微で、並んでいる4つは承認が要る
- パーテーション1枚でも3号。仕切るための設備の変更は軽微に当たらない
- 客室の位置・数・床面積も承認。席のレイアウトを変えるときは要確認
- 軽微でも届出は要る(法9条3項2号)。何もしなくてよいわけではない
- 深夜酒類提供の店は照明と音響が追加(内閣府令22条4号・5号)。照明器具の入れ替えでも届出
- 無承認変更は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法51条1項1号)。営業停止の対象にもなる
改装を考えたら、図面を引く前に所轄の警察署へ相談するのがいちばん早い順序です。
開業時の手続き全体はスナック開業の手順にまとめています。
変更の承認は3条1項の許可を受けた店の義務です。許可の全体像は風営法の許可4種類で整理しています。
営業所の場所そのものの制限は風営法と用途地域で扱っています。
遊技設備を入れるときの線引きはバーと風営法にまとめています。
この記事は条文をもとにした一般的な整理です。
どの工事が軽微に当たるかは個別の判断になるため、着工前に所轄の警察署(生活安全課)や風営法に詳しい行政書士に確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(9条・26条1項・33条2項・51条1項1号および2号)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(2条・22条)
- 建築基準法(2条14号・15号)

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