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スカウトバックは違法か|風営法と職業安定法で整理

スカウトバックにかかる風営法と職業安定法の違いを解説する記事のアイキャッチ

スカウトバックが法律で禁止されたと聞いて、支払いを止めるべきか迷っている。

改正の対象がどの業態なのかは、条文を見ないと分かりません。

2025年の風営法改正で禁止されたスカウトバックの対象は性風俗店であって、キャバクラやホストクラブではありません。

ただし「だから接待飲食等営業なら自由に払える」という話にはなりません。

業態を問わずかかってくるのが職業安定法で、こちらのほうが罰則は重くなっています。

この記事では、風営法と職業安定法を分けて、どの店に何がかかるのかを条文で整理します。

読み終えたら、いまのスカウトへの支払いがどちらの法律に触れるのかを確かめられます。

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目次

スカウトバックを規制する法律は2つある

スカウトから人を紹介してもらい、その対価を払う。

この形をめぐる規制は、風営法と職業安定法の2本立てです。

かかる範囲も罰則の重さも違うので、混ぜて理解すると判断を誤ります。

かかる店罰則
風営法28条13項性風俗店(2条6項1号・2号と、準用で2条7項1号)6月以下の拘禁刑/100万円以下の罰金(53条7号)
風営法18条の2第2項接待飲食等営業罰則なし(行政処分)
職業安定法40条労働者の募集を行う者(業態を問わない)6月以下の拘禁刑/30万円以下の罰金(65条6号)
職業安定法63条2号紹介した側(目的によっては店側も)1年以上10年以下の拘禁刑/20万円以上300万円以下の罰金

警察庁が公表した改正法の概要でも、スカウト自体には「※ 職業安定法で規制」という注記が付けられています。

スカウトバックにかかる風営法28条13項と職業安定法40条を比べた図。風営法の対象は店舗型性風俗特殊営業でキャバクラ・ホストクラブは対象外、職業安定法40条の主語は労働者の募集を行う者で業態を問わない
いちばん重い罰条は職業安定法63条2号のほうです。

風営法がスカウトバックを禁じたのは性風俗店

2025年の改正で新しく入ったのが28条13項です。

報道では「スカウトバックが禁止に」とだけ伝えられることがありますが、条文には主語が書かれています。

そこを読むと対象がはっきりします。

28条13項の主語は2条6項1号・2号の営業

第二条第六項第一号又は第二号の営業を営む者は、営業所で異性の客に接触する役務を提供する業務に従事しようとする者の紹介を受けた場合において、当該紹介をした者又は第三者に対し、当該紹介の対価として金銭その他の財産上の利益を提供し、又は第三者をして提供させてはならない。

風営法28条13項

2条6項1号は浴場業の施設として個室を設けて異性の客に接触する役務を提供する営業、2号はそれ以外で個室を設けて異性の客に接触する役務を提供する営業です。

いずれも店舗型性風俗特殊営業で、接待飲食等営業とは別の区分です。

禁止されているのは「紹介の対価として金銭その他の財産上の利益を提供すること」で、第三者に提供させる形も含まれます。

無店舗型の派遣型にも準用される

31条の3第1項が、28条13項を2条7項1号の営業に準用しています。

読み替えで「営業所で異性」が「異性」となるので、営業所を持たない派遣型にも同じ禁止がかかります。

罰則は53条7号で、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

キャバクラ・ホストクラブはこの条文の対象ではない

2条1項1号の接待飲食等営業は、28条13項の主語に含まれていません。

スナック、キャバクラ、ガールズバー、ホストクラブは、この条文では規制されていないということです。

ただし次に見るとおり、別の義務が入っています。

改正全体の構成は風営法改正2025の4つの変更点にまとめています。

接待飲食等営業のスカウトバックには別の義務が入った

同じ改正で、接待飲食等営業の側には18条の2第2項が加わりました。

紹介料の支払を直接禁じるのではなく、受け入れる側に確認と対応を求める形です。

読み取りにくい条文なので、要素に分けて見ます。

18条の2第2項が求めていること

接待飲食等営業を営む風俗営業者は、接客業務受託営業を営む者が当該接客業務受託営業に関し第三十五条の三の規定に違反する行為又は売春防止法第九条、第十条若しくは第十二条の罪に当たる違法な行為をしている疑いがあると認められるときは、当該接客業務受託営業を営む者の使用人その他の従業者で当該違反行為の相手方となつているものが営業所で客に接する業務に従事することを防止するため必要な措置をとらなければならない。

風営法18条の2第2項

整理すると次のようになります。

  1. 接客業務受託営業を営む者が、35条の3違反または売春防止法9条・10条・12条の罪に当たる行為をしている疑いがあると認められるとき
  2. その相手方になっている従業者が
  3. 自分の営業所で客に接する業務に従事することを防止するため必要な措置をとる

「疑いがあると認められるとき」が起点なので、確定した違反でなくても動く必要があります。

18条の2には罰則が置かれていないため、効くのは25条の指示と26条の営業停止・許可取消しです(風営法違反の一覧)。

35条の3は紹介業者の側への規制

18条の2第2項が引いている35条の3は、接客業務受託営業を営む者への規制です。

禁じられているのは2つで、いずれも18条の2第1項と同じ構造になっています。

  • 1号:辞めたら直ちに残債務を完済することを条件として、支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させること
  • 2号:そうした債務を負担させた者の旅券等(旅券・運転免許証など)を保管し、または第三者に保管させること

違反があると35条の4で公安委員会の指示、さらに6月を超えない範囲での営業停止があります。

店側が自分の従業者に同じことをした場合は18条の2第1項の問題になります(キャバクラの売掛金)。

スカウトバックと職業安定法の関係

ここからが業態を問わずかかる部分です。

職業安定法は、人を紹介してその対価を受け取る行為そのものを免許制にしています。

払う側にも条文があります。

相手が許可を持っているかで扱いが変わる

有料の職業紹介事業を行うには、30条1項により厚生労働大臣の許可が必要です。

無許可で行えば64条1号で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

許可を受けた事業者であれば、32条の3により省令で定める種類・額の手数料か、あらかじめ届け出た手数料表に基づく手数料しか受け取れません。

つまり相手が許可事業者かどうかで、支払が正規の紹介手数料になるのか、そうでないのかが分かれます。

委託募集なら36条の許可と報酬額の認可が要る

紹介ではなく「自分の店の求人を、自社の従業員以外の人に手伝ってもらう」形は委託募集です。

36条1項は、被用者以外の者に報酬を与えて労働者の募集に従事させるには厚生労働大臣の許可が必要としています。

さらに36条2項で、その報酬の額についてもあらかじめ認可を受けなければなりません。

報酬を与えない形であれば、36条3項の届出で足ります。

認可のない報酬は40条違反になる

労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。

職業安定法40条

主語は「労働者の募集を行う者」なので、業態を問わず店側にかかります。

例外は賃金・給料などの支払と、36条2項の認可を受けた報酬だけです。

違反すると65条6号で6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金になります。

スカウトバックで最も重い罰条は職安法63条2号

ここまで見てきた罰則のなかで、桁が違うものがひとつあります。

職業安定法63条です。

他の条文と作りが違うので、条文のまま引きます。

次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以上十年以下の拘禁刑又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
一 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集、募集情報等提供若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。

職業安定法63条

罰金に下限が付いている異例の条文

注目してほしいのは「一年以上」「二十万円以上」という書き方です。

ここまで見てきた風営法の罰則はすべて「〇年以下」「〇円以下」でしたが、63条は下限のほうが定められています。

2号の「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務」に何が当たるかは、個別の事案で判断されます。

断定はできませんが、風営法の改正がこの流れへの対策として組まれたことは、警察庁の概要が示す背景から読み取れます。

スカウトバックを払う前に確認すること

ここまでを踏まえて、店側が事前に確かめられることを挙げます。

いずれも相手に聞けば分かることです。

払ってから調べるのでは順番が逆になります。

許可番号と手数料表

有料職業紹介事業の許可を受けた事業者には許可番号があります。

そして32条の3により、受け取れるのは省令で定める手数料か、届け出た手数料表に基づく手数料に限られます。

許可番号と手数料表を示せるかどうかが、最初の分かれ目です。

求職者から徴収する形はとれない

32条の3第2項は、有料職業紹介事業者が求職者から手数料を徴収することを原則として禁じています。

省令で定める場合の例外はありますが、原則は求人者側の負担です。

紹介料を本人の給与から差し引く形は、労働基準法24条1項の賃金全額払いの原則にも関わります。

採用したら従業者名簿と本人確認が必要になる

誰の紹介であっても、採用して客に接する業務に就かせるなら風営法の義務がかかります。

36条の従業者名簿と、36条の2の生年月日・国籍等の確認です。

どちらも54条で100万円以下の罰金の対象になっています(風営法の従業者名簿)。

まとめ|スカウトバックで外さない点

最後に要点を並べます。

  • 風営法28条13項の主語は性風俗店(2条6項1号・2号、準用で2条7項1号)。罰則は53条7号
  • キャバクラ・ホストクラブはこの条文の対象外。入ったのは18条の2第2項の防止措置義務(罰則なし・行政処分)
  • 職業安定法40条は業態を問わず店側にかかる。認可のない報酬は65条6号で6月以下・30万円以下
  • 相手が30条1項の許可事業者かどうかが分かれ目。許可事業者なら32条の3で手数料の種類と額が縛られる
  • 委託募集なら36条1項の許可+36条2項の報酬額の認可が要る
  • 63条2号は罰金に下限がある(1年以上10年以下の拘禁刑/20万円以上300万円以下の罰金)
  • 求職者からの徴収は原則できない(32条の3第2項)。給与から引く形は労基法24条1項にも関わる

風営法だけを見て「うちは対象外」と判断すると、職業安定法のほうを見落とします。

2025年改正の全体像は風営法改正2025の4つの変更点で扱っています。

この記事は条文と警察庁の公表資料をもとにした一般的な整理です。

個別の取引がどの規定に当たるかは事情によって結論が変わるため、所轄の警察署(生活安全課)、労働局の需給調整事業部門、または弁護士に確認してください。

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