ガールズバーを開けたいが、許可が要るのか届出で足りるのかが調べても定まらない。
物件や内装を決める前に、ここをはっきりさせておく必要があります。
ガールズバーの開業は、カウンター越しの接客に徹して届出で営業する形が基本です。
キャストが客席に座って話し相手を続けると接待になり、許可が必要になります。
そして許可を取ると、原則として深夜0時で閉めることになります。
深夜に稼ぐ業態なのに深夜が使えなくなるので、ここを取り違えると事業計画が崩れます。
この記事では、必要な手続き、接待の線引き、構造の基準、人を雇うときの義務を条文で整理します。
読み終えたら、自分の店の接客スタイルで届出のまま営業できるかを判断できます。
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ガールズバーの開業に要る手続きは3つ
まず全体像を押さえます。
飲食店である以上、保健所と警察の両方に手続きがあります。
そのうえで、接待をするかどうかで3つめが変わります。
| 手続き | 窓口 | いつ |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 保健所 | 開業前。食品衛生責任者が必要 |
| 深夜酒類提供飲食店営業の届出 | 公安委員会(所轄の警察署) | 深夜に酒を出すなら。接待はできない |
| 風俗営業の許可 | 公安委員会(所轄の警察署) | 接待をするなら。原則0時まで |
2つめと3つめは、どちらかを選ぶ関係です。
届出の具体的な流れは深夜酒類提供飲食店営業の届出にまとめています。
ガールズバーの開業で最初に決めるのは接待の有無
物件より先に決めるべきなのがここです。
接待をするかしないかで、手続きも営業時間も変わります。
接待は法2条3項で「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。
カウンター越しなら接待に当たらない
特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たる。
警察庁 解釈運用基準(令和8年7月1日)第2の4(1)
これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は、接待に当たらない。
ガールズバーがカウンター中心の作りになっているのは、この一文が根拠です。
注文に応じて出すことと、若干の世間話までは接待になりません。
ただし「継続して」話し相手を続ければ、カウンター越しでも接待に傾きます。
一緒に歌う、隣に座るは接待
営業中にやってしまいやすいのが次の行為です。
- 客席に座って話し続ける|特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手になる行為
- 客と一緒に歌う|デュエットは明示的に接待とされている
- 近くで手拍子や拍手|客の歌を褒めはやす行為も接待
- 客と一緒にゲームをする|特定少数の客と共に遊戯・ゲームを行う行為
- 身体を密着させる|握手や酔客の介抱は除かれる
届出だけで深夜営業している店がこれをやると、無許可の風俗営業になります。
類型ごとの線引きは風営法の接待とはで全部引用しました。
無許可営業は5年以下の拘禁刑または1,000万円以下
罰則の重さも先に知っておいてください。
法49条1号により、許可を受けずに風俗営業を営むと5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金です。
法人には3億円以下の罰金が科されます(法57条1項1号)。
2025年の改正で引き上げられた金額で、改正前は2年以下・200万円以下でした。
ガールズバーの開業では店の作りも基準に縛られる
内装にも条件があります。
深夜に営業するなら、施行規則99条の技術上の基準を満たす必要があります。
とくに照度と仕切りが効きます。
照度は20ルクスを下回らない
施行規則99条5号は、営業所内の照度が20ルクス以下とならないように維持することを求めています。
一方、照度を10ルクス以下にすると法2条1項2号の風俗営業になり、許可が要ります。
暗くして雰囲気を作る方向は、深夜営業と両立しません。
6つの基準の全体は深夜酒類提供飲食店の構造基準にまとめました。
見通しを妨げる設備を置かない
施行規則99条2号が、客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこととしています。
加えて、他から見通すことが困難で広さが5平方メートル以下の客席を設けると、法2条1項3号の風俗営業になります。
小さなブースやVIP席を作る設計は、この2つに同時に触れます。
ガールズバーの開業後に続く義務
開けてからのほうが義務は多くなります。
人を雇う業態なので、名簿と年齢確認が中心になります。
どちらも罰則つきです。
従業者名簿と生年月日等の確認
法36条が従業者名簿の備付けを、法36条の2が接客従業者の生年月日等の確認を求めています。
名簿の不備は法54条3号で100万円以下の罰金です。
確認に使える書類は限定されていて、運転免許証は本籍の記載がないため使えません。
書く項目と保存期間は風営法の従業者名簿にまとめています。
18歳未満は22時以降の接客に就かせられない
年齢は特に重く扱われます。
法22条1項4号は、22時から翌6時までの時間に18歳未満を客に接する業務に従事させることを禁じています。
この規定は法32条3項により、許可のない飲食店にも準用されます。
しかも法51条2項が、年齢を知らないことを理由に処罰を免れることはできないとしています。
確認の仕方は風営法で18歳未満は雇えるかで扱いました。
給与計算は深夜割増から始まる
労務の側では、深夜割増が毎月の計算に効いてきます。
労基法37条4項により、22時から翌5時までの労働には25%以上の割増が必要です。
営業時間の大半が深夜帯に入るので、時給に出勤時間数を掛けるだけでは足りません。
手順は給与計算のやり方にまとめています。
キャストを紹介してもらって対価を払う場合は、風営法ではなく職業安定法のほうがかかります。線引きはスカウトバックは違法かにまとめました。
まとめ|ガールズバーの開業で外さない点
この記事の要点をまとめます。
- 手続きは3つ。保健所の飲食店営業許可に加えて、届出か許可のどちらかを選ぶ
- 最初に決めるのは接待の有無。物件より先に決める
- カウンター越しなら接待でない。注文に応じて出す、若干の世間話までは含まれない
- デュエットと同席は接待。届出だけの店がやると無許可営業になる
- 無許可営業は5年以下または1,000万円以下。法人は3億円以下(2025年改正)
- 照度は20ルクス以上。10ルクス以下にすると2号営業で0時まで
- 名簿と年齢確認は罰則つき。18歳未満は22時以降の接客に就かせられない
事業計画を作るときは、深夜に営業できる前提で組めるかを最初に確かめてください。
スナックの場合の手順はスナック開業の手順にまとめています。
必要な手続きの切り分けは風営法の許可4種類にまとめています。
物件の用途地域で結論が変わる部分は風営法と用途地域にまとめています。
未開栓のボトルを持ち帰らせる形は酒類販売業免許の対象です。
実際にどの違反で処分が出ているかはガールズバーの摘発に実数でまとめています。
この記事は条文と警察庁の通達をもとにした一般的な整理です。
接待に当たるかや構造が基準を満たすかは個別の判断になるため、契約前に所轄の警察署(生活安全課)や風営法に詳しい行政書士に確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(2条1項1号〜3号・2条3項・3条1項・13条1項・22条1項4号・32条3項・33条1項・36条・36条の2・49条・51条2項・54条3号・57条1項1号)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(99条)
- 労働基準法(37条4項)
- 警察庁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(令和8年7月1日付)

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