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水商売の確定申告|店とスタッフ、それぞれ何を出すのか

水商売の確定申告|店とスタッフ、それぞれ何を出すのか。シメルンノート

「水商売の確定申告」で調べても、自分に当てはまる説明が見つからない。

それもそのはずで、この言葉には性質の違う2つの話が混ざっています。

店を経営する側の申告と、店で働く側の申告は、必要な手続きも期限も別物です。

まとめて説明されていることが多いので、ここを分けないまま読むと答えが出ません。

この記事は、国税庁の案内と所得税法の条文をもとに、経営する側と働く側に章を分けて整理しました。

読み終えたら、自分がどちら側で、いつまでに何を出すのかが分かります。

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目次

水商売の確定申告は「店」と「働く人」で別の話

まず全体像です。

同じ店に関わっていても、立場によってやることがまったく違います。

店(オーナー側)働く人(スタッフ側)
年1回やること自分の事業の確定申告条件に当てはまれば確定申告
毎月やること源泉徴収して翌月10日までに納付なし
年明けにやること支払調書・法定調書合計表の提出なし
期限確定申告は3月15日確定申告は3月15日

混乱のもとは「毎月の源泉徴収」と「年1回の確定申告」が別物だという点です。

店側は両方やります。

源泉徴収を毎月していても、店自身の確定申告は別に必要です。

水商売で働く人の確定申告|給与か報酬かで変わる

働く側でまず確かめるのは、お店からもらっているお金が「給与」なのか「報酬」なのかです。

呼び方ではなく税法上の扱いの話で、ここで確定申告が必要かどうかが変わります。

自分では判断しづらいので、店に確認するのが早いです。

もっとも、店の側が好きなほうを選べるわけではなく、働き方の実態で決まります。

その分かれ目はキャバクラの業務委託と給与の境目にまとめました。

給与なら「給与明細」が出て年末調整の書類を書きますが、報酬なら年末調整がありません。

給与としてもらっている場合

時給で働いていて、店から給与として支払われている場合です。

この場合、店が年末調整をしてくれるので、原則として確定申告は要りません。

ただし、次のいずれかに当てはまると確定申告が必要になります(国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人)。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える
  • 給与を1か所から受けていて、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える
  • 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与と、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える
  • 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている

昼の仕事と掛け持ちしている場合は3番目に当たることが多いので、注意してください。

昼で年末調整を受けていても、夜の分が年末調整されていなければ合算して判定します。

報酬としてもらっている場合

ホステスとして働き、報酬・料金として支払われている場合です。

この場合年末調整がないので、原則として自分で確定申告をします。

店は支払いのときに源泉徴収をしていますが、それは概算の天引きです。

1年分を集計して正しい税額を計算し直すのが確定申告で、引かれすぎていれば戻ってきます。

衣装代や美容院代など、仕事のために使ったお金を経費として差し引ける場合もあります。

店の側から見た経費の線引きはスナック経営の経費一覧に、条文と国税庁の資料でまとめました。

源泉徴収の具体的な計算方法は、ホステス報酬の源泉徴収の記事で詳しく書いています。

自分がいくら引かれているのか確かめたい方はそちらへ。

確定申告が必要になる金額のライン

よく言われる「20万円」は、給与をもらっている人の、それ以外の所得についてのラインです。

給与が1か所もない人には当てはまりません。

また、これは所得税の話です。

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は必要な場合があります。

お住まいの市区町村に確認してください。

ここを見落として後から通知が来るケースがあります。

昼の仕事と掛け持ちしている場合は、判定に使う数字が変わります。20万円ルールの中身はダブルワークの確定申告にまとめました。

水商売の店側がやること|確定申告と毎月の源泉徴収

店側は、年1回の確定申告に加えて、毎月の源泉徴収と年明けの法定調書があります。

この3つは別々の手続きです。

個人の店は3月15日までに確定申告

個人で店を経営している場合、1月1日から12月31日までの所得について、翌年2月16日から3月15日までに確定申告をして所得税を納めます(国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき)。

売上から経費を引いた事業所得が対象です。

青色申告の承認を受けていれば控除が使えますが、そのためには事前に申請が必要です。

開業まわりの届出はスナック開業の手順にまとめています。

毎月の源泉徴収は確定申告とは別

ホステス等に報酬を支払うときは、その場で所得税を天引きして国に納めます。

これは所得税法204条1項6号で定められた義務で、店の確定申告とは無関係に毎月発生します。

居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金……の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金……について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。

所得税法 第204条第1項

税額は(報酬 − 5,000円×計算期間の日数)× 10.21% で計算します。

通常の給与とは式が違う特殊な計算で、「計算期間の日数」を出勤日数だと思って計算すると額を間違えます。

詳しくはホステス報酬の源泉徴収で解説しています。

なお、支払いの内容が給与に当たる場合は、報酬ではなく給与所得として源泉徴収します。

どちらに当たるかは実態で判断されるもので、店が選べるものではありません。

判断に迷う場合は税理士か所轄税務署に確認してください。

支払調書は年間50万円超から

年明けには「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を税務署に出します。

ホステス等の報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるものが提出範囲です(国税庁 No.7431)。

つまり誰にいくら払ったかを、1年分スタッフごとに集計できる状態にしておく必要があります。

月末の締めのたびに記録が残っていれば自動的に揃いますが、伝票と現金だけで回していると年明けに苦労します。

労働基準法で作成が義務づけられている賃金台帳も同じで、必要な記録は個人事業主が従業員を雇うときにまとめました。

現金で手渡していても、源泉徴収と納付の義務はそのままです。手渡しで抜けやすい義務はスナックの給料手渡しで整理しました。

店主自身の取り分をいくらにするかは、個人か法人かで手続きが変わります。器ごとの違いはバー経営の年収で整理しました。

水商売の確定申告をしなかった場合

期限に間に合わなかった場合は「期限後申告」として扱われ、本来の税金に加えて無申告加算税がかかります。

割合は、いつ申告したかで変わります。

加算税がかからなくなる条件、2026年から上がった延滞税の割合、そもそも還付になるケースまで含めた手順は夜職の確定申告で詳しくまとめています。

いつ申告したか無申告加算税の割合
調査の事前通知の前に自主的に申告5%
事前通知の後、調査を受ける前に申告10%(50万円超の部分15%/300万円超の部分25%)
調査を受けた後に申告15%(50万円超の部分20%/300万円超の部分30%)

※50万円超・300万円超の区分は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)の割合です。

加えて、納付が遅れた分の延滞税もかかります。

ただし、期限後申告が法定申告期限から1か月以内に自主的に行われ、税金の全額を法定納期限までに納めていて、過去5年間に無申告加算税等を課されていない場合は、無申告加算税はかかりません。

気づいた時点で早く出すほど軽くなる仕組みなので、遅れたと分かったらすぐ動いてください。

まとめ|水商売の確定申告で最初に確かめること

立場ごとに、最初に確かめることを並べます。

  1. 働く人:もらっているお金が給与か報酬かを店に確認する。報酬なら原則として確定申告が必要
  2. 働く人:給与でも、掛け持ちや他の所得が20万円を超えるなら確定申告が必要
  3. 働く人:所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要な場合がある
  4. 店:毎月の源泉徴収(翌月10日納付)と、年1回の確定申告は別物
  5. 店:支払調書は同一人・年間50万円超から。スタッフごとの年間支払額を集計できる形にしておく
  6. 共通:遅れたと気づいたら、調査の通知が来る前に自主的に出す

消費税の簡易課税を使う場合の事業区分は飲食店の簡易課税にまとめています。

調査で見られる箇所と加算税の実額はキャバクラの税務調査にまとめています。

2割特例は令和8年9月で終わります(2割特例はいつまで)。

この記事は国税庁の案内と所得税法の条文をもとに書いていますが、給与か報酬かの判定、経費として認められる範囲、青色申告の可否は、いずれも個別の事情で結論が変わります。

実際の申告にあたっては税理士か所轄税務署に確認してください。

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