エクセルでシフトを組むと、20時から翌2時の行だけ労働時間がおかしくなる。
退勤が出勤より前の時刻になるので、一般のテンプレートでは計算が壊れます。
日をまたぐシフトでも壊れないシフト表(Excel)を無料で配布しています。
20時から翌2時のような組み方でも労働時間が正しく出て、その日に何人・何時間入っているかが右端に出ます。
一般のシフト表テンプレートは日中の勤務を前提にしていますが、夜の店では日またぎが標準です。
この記事では、配布するファイルの使い方と、日またぎを処理している式の考え方を説明します。
読み終えたら、来月のシフトをこのファイルで組み始められます。
このシフト表テンプレートでできること
入力するのはスタッフ名と、日付・出勤・退勤だけです。
5人×31日分あります。
休憩は上の欄にまとめて入れると、全員・全日から一律で引かれます。
| 自動で出るもの | どこに出るか |
|---|---|
| 曜日 | 日付から自動で表示 |
| その日の出勤人数 | 右端 |
| その日の延べ労働時間 | 右端 |
| その日のうち深夜時間 | 右端 |
| スタッフごとの出勤日数・労働時間・深夜時間 | 表の下 |
組んだ時点で人件費の見当がつく
シフト表に人数だけ書いていると、月末になるまで金額が分かりません。
出したシフトを後から変えられるかどうかはシフトの一方的な変更は違法?にまとめました。
延べ労働時間と深夜時間が日ごとに出ていれば、組んだ段階でおおよその見当がつきます。
深夜(22時〜翌5時)の労働には25%以上の割増が必要です(労働基準法37条4項)。
夜の店では労働時間の多くが深夜に入るので、ここが見えているかどうかで見積もりの精度がまったく変わります。
計算結果は検証してあります
配布しているファイルに実際のシフトを入れて計算させ、手計算と一致することを確かめました。
休憩を1シフト60分として組んだ例です。
| その日のシフト | 出勤人数 | 延べ労働 | うち深夜 |
|---|---|---|---|
| 20:00→翌2:00/19:00→翌1:00/21:00→翌5:00 | 3人 | 17.00 | 14.00 |
| 20:00→翌2:00/18:00→23:00/22:00→翌4:00/20:00→翌1:00 | 4人 | 18.00 | 13.00 |
| 17:00→22:00/20:00→翌9:00 | 2人 | 16.00 | 7.00 |
3行目に注目してください。
17:00→22:00の人は深夜が0時間、20:00→翌9:00の人は労働12時間のうち深夜が7時間です。
同じ2人でも中身がまったく違うことが、表の上で分かります。
シフト表が日をまたぐと壊れる理由
市販のテンプレートが夜の店で使えないのは、労働時間を「退勤 − 出勤」で計算しているからです。
エクセルは時刻を「1日を1とした小数」で持っています。
| シフト | 退勤 − 出勤 | 結果 |
|---|---|---|
| 9:00 → 18:00 | 0.75 − 0.375 | 9時間(正しい) |
| 20:00 → 翌2:00 | 0.0833 − 0.8333 | マイナスになって「#####」 |
この配布ファイルはMOD関数で1日ぶんを足し戻しているので、退勤欄に翌日の時刻をそのまま入れれば正しく出ます。
「26:00」と書く必要はありません。
式の中身を自分で組みたい場合は、勤怠管理をエクセルでやる方法にそのまま貼れる形で載せています。
シフト表と勤怠の記録は別物
ここを兼用しようとすると、たいてい失敗します。
シフト表は予定、タイムカードは実績です。
予定と実績は必ずずれます。
| シフト表 | タイムカード | |
|---|---|---|
| 何のため | 人を配置する | 働いた時間を記録する |
| いつ書く | 月の前に | その日のうちに |
| 単位 | 全員×1か月 | 1人×1か月 |
| 賃金の根拠になるか | ならない | なる |
賃金の計算に使えるのは実績のほうです。
労働時間の把握は使用者が自分で確認して記録するか、タイムカードなど客観的な記録を基礎にするのが原則とされています(厚生労働省のガイドライン)。
予定表をそのまま賃金台帳の代わりにはできません。
実績はタイムカードのExcelテンプレートで1人1か月ずつ残してください。
支給額まで出すなら給与明細テンプレートがあります。
3つとも同じ計算式なので、数字が食い違うことはありません。
シフト表を作るときに気をつけること
組む段階で見ておくと、あとで揉めにくくなる点を挙げます。
どれも配布ファイルの右端と下の集計で確かめられます。
1日8時間・週40時間を超えていないか
労働基準法32条は1日8時間・1週40時間を上限としています。
超える場合は36協定の届出が要りますし、超えた分には割増が付きます。
シフトを組む段階で8時間を超えているなら、それは予定された時間外労働です。
深夜と時間外が重なると1.5倍になります。
組み合わせごとの率は深夜割増賃金の割増率にまとめました。
休憩を取れる組み方になっているか
労働時間が6時間を超えるなら45分以上、8時間を超えるなら1時間以上の休憩が必要です(労働基準法34条1項)。
1人しか入っていない時間帯が長いと、そもそも休憩を取れません。
出勤人数の列を見て、1人の日が続いていないかを確かめてください。
18歳未満を深夜に入れていないか
これは割増の前の話です。
労働基準法61条1項により、満18歳未満は22時から翌5時に働かせることができません。
さらに風営法22条1項4号は、22時から翌6時に18歳未満を客に接する業務に就かせることを禁じています。
労基法は5時まで、風営法は6時までで1時間ずれています。
詳しくは深夜手当は何時から何時までかに書きました。
年齢の確認は採用時に必ず記録として残してください。
年5日の取得義務があるので、有給の希望はシフトを組む段階で拾っておくと後が楽です。付与日数はシフト制の有給休暇で確認できます。
エクセルのシフト表で足りなくなるとき
このファイルで回るのはスタッフが5人くらいまでの間です。
次のどれかが起き始めたら、続けるほうがコストになります。
- 希望をLINEで受けて、それを見ながら手で表に打ち込んでいる
- 組み直すたびに全員へ送り直していて、どれが最新か分からなくなる
- 当日の変更が表に反映されず、実績と食い違う
- 「その日はもう入れないと言った」で揉める
根っこは、希望の収集と表の更新がオーナー1人に集中していることです。
スタッフ本人が入れて、全員が同じものを見る形にすると、この4つは同時に消えます。
まとめ|シフト表テンプレートの使いどころ
- 黄色のセルだけ入力すれば、人数・延べ時間・深夜時間が出ます
- 日をまたぐシフトに対応。退勤欄に翌日の時刻をそのまま入れてください
- 組んだ時点で人件費の見当がつきます。深夜が何時間かが日ごとに出ます
- シフト表は予定です。賃金の根拠になるのは実績のタイムカードのほうです
- 8時間超・休憩・18歳未満は組む段階で確かめる。あとから直すほうが大変です
- Q列より右は補助列です。消すと集計が壊れます
このテンプレートは一般的な計算を補助するものです。
実際の賃金支払いや年齢による制限の判断は、社会保険労務士・所轄の労働基準監督署・所轄警察署に確認してください。
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この記事で参照した一次情報
- 労働基準法(32条・34条・37条4項・61条)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(22条1項4号)
- 山口労働局「労働時間の『切り捨て』はダメ!」(労働時間の適正な把握/PDF)

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